
こんにちは
どうなさいましたか?

脳貧血にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
突然立ち上がった時に目の前が真っ暗になったり、ふらつきを感じたりした経験はありませんか?これは「脳貧血」と呼ばれる症状で、多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
特に女性に多いこの症状は、単なる貧血とは異なり、東洋医学的には複雑なメカニズムが関係しています。今回は、36歳女性の方から寄せられた脳貧血のお悩みについて、東洋医学の視点から原因と対策を探っていきます。
この記事では、脳貧血が起こる仕組みから体質に合わせた自然療法、さらには改善が期待できる漢方薬まで詳しく解説します。長年悩まされている方も、最近症状が出始めた方も、ぜひ参考にしてみてください。
今回の相談者の外見的な特徴とお悩みの症状
相談者の方の基本情報は以下の通りです:
- 36歳の女性
- 身長:162cm
- 体重:47kg
- BMI:17.91
主な症状:
- 脳貧血(立ちくらみ)
- あかぎれ
外見的特徴:
- 顔色が白っぽい
- 皮膚が乾燥している
- 髪の毛が細い
- 舌の色が赤みが強く厚い
- 舌に歯の痕が残っている
- 舌苔の上の水分が水っぽく、苔は少ない
- 舌の裏の静脈は細いがよく見える
これらの特徴から、東洋医学的な体質分析を行っていきましょう。
脳貧血とは?立ちくらみが起こるメカニズム
脳貧血は、脳の血流が一時的に不足することで起きる様々な症状を指します。
一般的には以下のような症状が現れます:
- 頭痛
- あくび
- 冷や汗
- 吐き気・嘔吐
- めまい
- 耳鳴り
- 意識障害
特に多いのが、座った状態から急に立ち上がった時や、寝ている状態から起き上がった時に発生するケースです。これは、重力の影響で足の方へ集まっていた血液を、脳へと素早く送ることができないために起こります。
東洋医学では、血液の流れを以下の3つの要素が支えていると考えます:
- 心気 – 心臓から血液を拍出する力
- 脾気 – 血管の弾力性を保つ力
- 肝気 – 血管の収縮・拡張を調整する力
そして、これらの働きを支えるのが体の芯部の熱源(腎陽)です。これらのいずれかに不調があると、脳への血流が適切に保たれず、立ちくらみなどの症状として現れるのです。
脳貧血が起こる4つの原因
東洋医学的に見ると、脳貧血が起こる主な原因は以下の4つに分類できます。
1. 心気の機能低下
長期間の病気や、大量の発汗・下痢などで気血が損傷することで心気の機能が低下し、血液を運ぶ力が不足します。
これは、ビルの屋上へ水を送るポンプが弱ってしまい、上層階まで水を押し上げられなくなった状態に似ています。心臓から送り出す力が弱くなると、脳まで血液が届かなくなるのです。
2. 脾気の機能低下による血管弾力性の低下
水をビルの上層階に送るには、ポンプの力だけでなく、ホース(血管)の弾力性も重要です。
血管の弾力性は脾気によって維持されているため、脾気が弱ると血管が緩んでしまい、特に静脈を通って下から上へ血液を戻す力が弱まります。静脈は心臓からの強力なポンプ作用を直接受けないため、血管自体の弾力性が重要になるのです。
3. 肝気の乱れによる血流調整の障害
血液は心臓から押し出された後、肝気の働きによって血管の収縮・拡張が調整され、必要な部位へ誘導されます。
しかし、ストレスなどで肝気が滞ると、血液の流れのコントロールが乱れ、脳へ適切に血液を送ることができなくなります。肝気は自律神経を介した血管神経の働きをコントロールしているため、その乱れは全身の血流に影響するのです。
4. 体の芯部の熱源不足
上記すべての働きを支えているのが**体の芯部の熱源(腎陽)**です。
お風呂の水が循環するためには熱によって温められる必要があるように、体内の血液も腎陽の熱によって温められることで上昇していきます。体の芯部が冷えていると、重い血液を上部へ送る力が弱まり、脳貧血の原因となるのです。
東洋医学で見る脳貧血の体質分析
相談者の方の症状と特徴を分析すると、以下のような体質的な特徴が見えてきます。
まず、BMIが17.91とやや低めですが、食欲不振の訴えはなく、排便も1日1回で普通の硬さとのことから、消化吸収機能に大きな問題はないと考えられます。
一方で、**「鼻血が出やすい」「あざや皮下出血しやすい」**といった症状があり、舌の裏の静脈も「細いけどよく見える」という特徴から、脾気の弾力性維持機能の低下が示唆されます。これにより血管の弾力性が低下し、血液を体の上部へ戻すことが難しくなっていると考えられます。
また、**「ゲップやガスが出ると楽になる」という症状からは気の流れの滞りが、「のぼせることが多い」「眼が充血しやすい」「皮膚が乾燥しやすい」「不眠になりやすい」「夢を見ることが多い」**といった症状からは、潤いの消耗による乾燥や熱の症状が考えられます。
さらに、「頭が重く感じられることが多い」「動くと汗が多く出やすい」という症状からは、体内の水分が上方へ向かい停滞していることがうかがえます。これが白っぽい痰の原因になっていると考えられます。
総合すると、この方の場合は:
- 体の上部を中心とした血の不足
- 脾気の弾力性の低下による血管の緩み
- 肝気の巡りの異常による血流コントロールの乱れ
これらが複合的に作用し、身体が何らかの行動を起こした際に、必要な血液を脳に届けることができず、脳貧血(立ちくらみ)が起きていると考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この体質の方には、以下の自然療法がおすすめです:
- 現在の治療の継続 現在受けている針灸や漢方薬の治療が体に合っているようであれば、継続することをお勧めします。
- 適度な運動の導入 鼻血が出やすい、皮下出血しやすいなどの症状は脾気の弾力性の不足を示しています。適度な運動を取り入れることで、体がエネルギーを作る必要性に迫られ、脾気の働きが活発になります。これにより血管の弾力性も改善し、上向きに偏っていた気の巡りも正常化します。無理のない範囲で体を動かす習慣を取り入れてみましょう。
- 水分摂取の見直し 舌に歯の痕がある、苔の上が水っぽい、頭が重く感じられる、白い痰が出るなどの症状から、体内に水分が停滞している可能性があります。東洋医学では「脾は湿を嫌う」と言われるように、過剰な水分は脾気に負担をかけます。熱中症の心配がない季節は、喉の渇きを感じてから水分を摂るようにするのも一つの方法です。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
このような体質の方に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します:
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血虚と水滞が合わさった状態に用いられる漢方薬で、血を補い、水の巡りを改善します。冷えやすく、むくみがある方に適しています。
- 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):めまいや立ちくらみを伴う症状に用いられる漢方薬です。脾気の機能を高め、水分代謝を改善する効果があります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):肝気の巡りを改善し、のぼせやイライラ、不眠などの症状を緩和します。特に女性ホルモンの変動による不調にも効果が期待できます。
※これらは特定の体質の改善に効果が期待できる漢方薬の一般的な紹介であり、個人の症状や体質によって最適な漢方薬は異なります。症状が複雑な場合には、単独では効果が十分でない場合もありますので、ピヨの漢方での漢方相談をご利用いただくことをお勧めします。
まとめ
脳貧血(立ちくらみ)は、東洋医学的に見ると心気・脾気・肝気の働きと体の芯部の熱源が複合的に関係する症状です。
今回の相談者の方のように、血の不足、脾気の弾力性低下、肝気の巡りの異常が複合的に作用して起こっていることが多いのです。
改善のためには:
- 適度な運動を取り入れて脾気の働きを活発にする
- 水分摂取のタイミングを見直す
- 必要に応じて適切な漢方薬を活用する
これらの対策を継続的に行うことで、体質の根本から改善していくことが期待できます。
ただし、体質改善には個人差があり、症状によっては専門家の指導が必要な場合もあります。脳貧血の症状が頻繁に起こる場合や、改善が見られない場合は、ぜひ漢方専門家への相談をご検討ください。
YouTubeでも解説しています。

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。



