古くから食卓に親しまれてきたニラ。そのピリッとした香りと風味は料理のアクセントになるだけでなく、東洋医学的にも非常に優れた効能を持つ食材です。
ニラは中国原産のユリ科の植物で、日本には古代に伝わったとされています。『万葉集』にも登場するほど歴史ある食材ですが、その健康効果についてはあまり知られていないかもしれません。
今回は、東洋医学の観点からニラの効能や使い方、注意点などを詳しく解説していきます。日々の食生活に取り入れて、自然の恵みをしっかり活用していきましょう。
ニラの基本情報とは?
ニラは東洋医学では「韮白(きゅうはく)」とも呼ばれ、以下のような特徴を持っています。
【性味/帰経】
- 性味:温・辛
- 帰経:肝・胃・腎
ニラには硫化アリルという成分が含まれており、これがあの独特の香りの正体です。この成分には血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化の予防に役立ちます。
また、ビタミンB群やビタミンCも豊富で、疲労回復や免疫力向上にも効果的です。食物繊維も多く含まれているため、「食べる下剤」とも呼ばれるほど腸内環境を整えるのに役立ちます。
ニラにはどのような薬効があるの?
東洋医学的に見ると、ニラには以下のような効能があります。
1. 温陽解毒(体を温め、毒を解消する)
- 胸の痺れや痛み
- お腹や腰、膝の冷えによる痛み
- げっぷや嘔吐の改善
2. 下気散血(気を下げ、血の巡りを良くする)
- 吐血
- 鼻血
- 血尿
- 不正出血
3. 食欲増進・疲労回復
- 食欲不振の改善
- 疲労回復効果
ニラには腎陽(じんよう)を高める効果があります。腎陽とは東洋医学で「体の根本的な熱源」とされるもので、これを高めることで体を芯から温めることができるのです。
また、ピリッとした辛味の成分が気血の巡りを良くし、停滞しているものを発散させる働きもあります。この作用によって、体の表面へと気を巡らせ、外からの邪気(病邪)から体を守る効果も期待できます。
ニラを食べる際の注意点は?
効能の高いニラですが、以下のような禁忌や注意点があります。
【禁忌・使用上の注意】
- 肝陽上亢(かんようじょうこう:肝の潤いが不足して相対的な熱が強すぎる状態)や陰虚(いんきょ:体の水分や潤いが不足した状態)の方は摂取を避けましょう
- 気血両虚(体の気と血が共に不足した状態)や胃が弱い方、小児は控えめに摂取するようにしましょう
体質や体調によっては、ニラの温性や辛味が強すぎることもあります。自分の体調と相談しながら、適量を摂るようにしましょう。
おすすめのニラの食べ方は?
ニラは様々な料理に活用できる万能食材です。以下に、東洋医学的な効能を活かした美味しい食べ方をご紹介します。
ニラと生姜の炒め物
ニラと生姜を炒めたものに溶き卵を入れて食べると、お互いの効能が引き立ち、冷え症に効果的です。生姜の温性とニラの温性が合わさることで、より強力な温め効果が期待できます。
ニラとヨモギの味噌和え
ニラとヨモギを味噌で和えて一晩置くと、臭みが抜けて美味しく食べられます。ヨモギの解毒作用とニラの温陽作用が組み合わさり、免疫力向上に効果的です。
その他のおすすめレシピ
- ニラ玉(ニラと卵の炒め物)
- ニラレバ炒め
- 餃子の具材(たっぷりと入れるのがおすすめ)
ニラは炒めることで香りがマイルドになり、食べやすくなります。また、加熱することでビタミンCは減少しますが、硫化アリルの吸収率は高まるというメリットもあります。
ニラの種(韮子)についても教えてください
ニラの種(韮子)も東洋医学では薬効があるとされています。ニラ本体とは少し異なる以下のような効能があります。
- 体を温める作用
- 出すぎて困るものを体内に引き留める作用
これらの効能から、以下のような症状に効果があるとされています。
- 夜間の頻尿や尿漏れ
- 早漏
- 帯下(おりもの)の過多
- 胃の冷えによる便秘や嘔吐
韮子は漢方薬としても使用されることがありますが、一般的な食用としてはあまり流通していません。これらの症状でお悩みの方は、医師に相談されることをおすすめします。
まとめ:毎日の食卓にニラを取り入れよう
ニラは東洋医学的に見ても、現代栄養学的に見ても、非常に優れた効能を持つ食材です。
冷え性の方、免疫力を高めたい方、疲労回復したい方にとって強い味方となってくれます。ニラを積極的に取り入れることで、以下のような効果が期待できます。
- 体の芯からの温め効果
- 血行促進による代謝アップ
- 腸内環境の改善による免疫力向上
- ビタミン摂取による疲労回復
ただし、体質や体調によっては合わない場合もありますので、自分の体調と相談しながら適量を摂るようにしましょう。特に熱の強い体質の方は控えめに。
季節の変わり目や寒い時期には特に積極的に取り入れて、体調管理に役立ててみてはいかがでしょうか。
ぜひ、あなたも今日からニラの効能を活かした食生活を始めてみましょう!
参考文献

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