頻尿に効く八味地黄丸とは?中医学の視点から効果を解説

尿の悩み
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

頻尿にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

夜中に何度もトイレで目が覚めてしまう。トイレが近くて外出が不安。そんな頻尿のお悩みを抱えていませんか?

頻尿は、体の芯部が冷えて機能が低下することで起こることが多いのです。冬場や冷房の効いた室内で症状が悪化する方も少なくありません。

今回は、体の芯部を温めて機能を高めることで頻尿や尿漏れを改善する漢方薬「八味地黄丸(はちみじおうがん)」をご紹介します。

どうして頻尿になるのですか?

体の芯部の働きが冷えて機能低下すると、水の巡りや留めておく機能が低下して頻尿になります。

水分が体を巡るメカニズム

食べたり飲んだりして体内に入った水分は、お腹の働きで消化吸収されます。有効なものに変えられた後、体の芯部の熱で温められて軽くなり、全身を巡っていきます。

水分は、まず体の深い部分へ向かいます。次に芯部の熱で温められることで、体の中を循環するための原動力をもらって、上へと向かっていきます。

上に向かった水分は、全身の筋肉を調整して隅々まで配られます。脈管によっても運ばれて、体の表層である頂上まで届けられます。

頂上まで届いた水分は、皮膚表層の働きによって分けられます。皮膚を潤すために使われる水分と、内臓を潤したり栄養したりする水分に分かれます。

内臓を潤し終わった水分は体の中心部へ戻ってきます。まだ使えるものは、また芯部の熱で温められて全身を巡ります。

余った水分の一部は、次の水分と合わせて使うために体に蓄えられます。沢山余っている場合や不要な水分は、尿となって膀胱へ向かい、体の外へ排出されます。

芯部が冷えると頻尿になる理由

ところが、体の芯部が冷えて機能低下を起こしていると問題が起こります。

入ってきた水分を体の頂上まで持ち上げるために、十分なだけ温めることができなくなります。温まらなかった水分は、体の下の方に向かい頻尿になります。

これは、火力の弱いお風呂と同じです。

また、お腹の働きが弱ると、平滑筋の緊張度が緩んでしまいます。脈管の緊張度や内臓そのものが弛んで落ち込んでしまうこともあります。

そうなると、水分を上へ持ち上げることができなくなります。水分は体の下の方に向かってしまいます。

さらに、筋肉の調整をして全身の巡りを調整する働きが低下する場合があります。皮膚表層の働きが低下して、水分の行く道を調整する働きに不具合が出る場合もあります。

これらが原因となって水分が一か所に集まってしまいます。それが水の重さで下の方へ降りてくることでも頻尿になります。

**これらの働きは、すべて芯部の熱源によって原動力を得ています。**芯部が冷えると、これらも同時に弱ってしまうことがあります。

膀胱の働きと頻尿の関係

尿が排出されるメカニズムとして、膀胱に尿を溜めておく働きと、膀胱から尿を押し出す働きのバランスも大切です。

尿を膀胱の中に溜めておく括約筋の働きを超えて、押し出そうとする働きが強いとすぐに尿意を感じます。これは緊張やストレスなどによって起こります。

逆に、尿を押し出す力は普通なのに、尿を膀胱の中に押しとどめておく括約筋の働きが弱っていると、すぐに尿意を感じるようになります。

場合によっては、急いでトイレに行って排尿しようとしても、留めておく力が弱いため、トイレに間に合わずに失禁してしまうこともあります。

同じ理由から、留めておく括約筋の力が弱いと、排尿の後に出し切ったつもりでも、しっかりと止めておけず少し漏れ出てしまうこともあります。

**この括約筋を適度に締めておく働きを調整しているのは、やはり体の芯部の機能です。**芯部の働きが低下していると頻尿や尿漏れの原因になってしまいます。

八味地黄丸はどんな漢方薬ですか?

八味地黄丸は、八種類の生薬で構成されている漢方薬です。それぞれの生薬が協力して、体を温め、潤いを補充し、余分な水分を排除していきます。

八味地黄丸に配合されている生薬をご紹介しますね。

  • 地黄(じおう): 体の深部に潤いを補充する
  • 山茱萸(さんしゅゆ): 気や熱を補い緩みを引き締める
  • 山薬(さんやく): 潤いを補充し括約筋を引き締める
  • 茯苓(ぶくりょう): 余分な水分を巡らせる
  • 沢瀉(たくしゃ): 余分な水分を体外へ追い出す
  • 牡丹皮(ぼたんぴ): 停滞した血液を巡らせる
  • 附子(ぶし): 体の芯部を強力に温める
  • 桂皮(けいひ): 体の芯部を温め流れを通す

これらの生薬が協力することで、頻尿や尿漏れを改善していきます。

どうして頻尿が良くなるのですか?

八味地黄丸は、体を温め、潤いを補充し、余分な水分を排除して、血液の巡りを改善することで頻尿を解消してくれます。

体の材料を補充する働き

まずは、地黄によって体の深い部分に潤いや血液の材料を補充します。

体の材料や燃料となる濃厚な材料を補充することは、ロウソクの火力を大きくするために考えられています。炎だけを強くするのではなく、ロウソク自体を太くすることで火力を大きくするのです。

さらに、山茱萸、山薬で気や熱を補いながら、やはり潤いを補充してくれます。しかも山茱萸、山薬には、緩んでしまった括約筋などの働きを引き締める働きがあります。

括約筋の緩みによる頻尿を解消する助けになってくれるのです。

邪魔なものを排除する働き

ロウソク自体を太くするのに必要な材料が入ってきたところで、今度は体に停滞している邪魔モノを排除する働きに入ります。

芯部が冷えて機能低下を起こしていると、体のあちこちに余分なモノが停滞してしまいます。それが体の機能を下げることにつながることもあります。

そのため、**茯苓で少しお腹の働きを応援しながら、余分な水分を巡らせます。**排除するために体の下の方へと持ち込みます。

その持ちこまれた水分を沢瀉に渡し、今度は沢瀉によって体の外へと追い出します。

**牡丹皮も、滞ったことで熱を持ちドロドロしてしまった血液を巡らせます。**体の中を綺麗にしてくれますので、届かなかったところに新鮮な材料が届くようになります。

体の各部の細胞の働きがよみがえります。

芯部を温めて機能を高める働き

これらの働きを、附子によって体の芯部を中心にして、身体全体をかなり強力に温めることで機能を高めていきます。

また、桂皮も体の芯部を温めるとともに、通りづらい部分を通す働きがあります。茯苓や牡丹皮などと一緒になって働くことで、停滞している水の流れや血液の流れを改善してくれます。

八味地黄丸の働きをまとめると

もう一度、八味地黄丸の働きをまとめてみましょう。

  • 地黄、山薬、山茱萸によって体の材料を補充して、燃やすための綺麗な燃料を増やす
  • 茯苓、沢瀉、牡丹皮で停滞している余分なモノを排除する
  • 体の中を綺麗な材料と取り替える
  • 附子、桂皮によって温める

**ロウソクの材質を綺麗に大きくして、火力も強まるように、体の機能が芯部から高まります。**水分の巡りが良くなりますし、括約筋の働きも増強されます。

尿を適度な状態に留めておくことができるようになります。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

八味地黄丸は、以下のような体質の方に特に向いています。

体の芯部が冷えているタイプの方に最適です。夜中に何度もトイレで目が覚める、トイレが近くて外出が不安、といった症状がある方におすすめです。

腰の冷えや痛みを感じる方にも適しています。下半身の冷えとともに頻尿がある場合は、体の芯部の機能低下が考えられます。

尿漏れや失禁が気になる方にも向いています。括約筋の働きが弱って、トイレに間に合わないことがある方にお試しいただきたい漢方薬です。

加齢とともに頻尿が気になり始めた方にもおすすめです。体の芯部の機能は年齢とともに低下しやすくなります。

皮膚の乾燥が気になる方にも適しています。体の水分の巡りが悪くなっている証拠です。八味地黄丸で潤いを補充しながら巡りを改善できます。

まとめ

今回は、頻尿や尿漏れを解消する漢方薬として、八味地黄丸をご紹介しました。

頻尿になる原因には、芯部の冷え、隅々へと配る働き、お腹の働き、皮膚表層の働きなどの低下といった幾つかの原因があります。その原動力は芯部から受け取っていますので、芯部の機能低下が起こることで、これらのどこか、あるいは全部が弱ってしまうことがあります。

そこで、八味地黄丸によって材料を補充して、体の芯部を温めて機能を高めていくことで改善が期待できます。水の巡りが改善して、括約筋の締まりが良くなると、全身の水分の循環が良くなります。

膀胱に溜めておくことができるようになるので、頻尿や尿漏れが改善します。

八味地黄丸は、その他にも体質の傾きによっては、腰の痛みやしびれ、皮膚の乾燥などにも効果があります。頻尿とは逆に、排尿困難や尿量の減少などにも効果が期待できる漢方薬です。

症状が複雑な場合には、八味地黄丸単独では効果が不十分な場合もあります。当店では一人ひとりの体質に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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ピヨ先生
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