冬の定番フルーツといえば、やはりみかん。こたつに入りながら、パカッと皮をむいて食べる瞬間は、日本の冬の風物詩と言っても過言ではありませんね。
でも、このみかん、単においしいだけではないことをご存知でしょうか?実は古来から東洋医学では「蜜柑(みかん)」は重要な生薬としても扱われ、さまざまな効能が認められてきました。
今回は、そんなみかんの驚くべき効能と活用法について、漢方の知恵と現代の栄養学の両面からQ&A形式でご紹介します。普段何気なく食べているみかんの新たな魅力を発見してみましょう!
みかん(蜜柑)とは?その基本情報を教えてください
みかん(蜜柑)は柑橘類の一種で、中国南部やインド東部が原産とされています。約4000年以上前から栽培されていた歴史ある果物です。
日本へは奈良時代(8世紀頃)に伝わったとされ、特に温暖な気候の地域(和歌山・愛媛・静岡など)で盛んに栽培されるようになりました。
「みかん」という名前の由来は、中国から輸入された、それまでの柑橘類と違い甘かったことから「蜜柑(みつかん)」と呼ばれたことに由来し、そこから「みかん」と短縮されたと言われています。
漢方医学における蜜柑の性質は以下の通りです:
- 性味/帰経:
- 性味:温、甘、酸
- 帰経:肺、脾
この基本的な性質から、みかんは体を温め、肺や脾(消化器系)に特に働きかける食材とされています。
みかんの漢方的な効能・効果はどのようなものですか?
漢方医学では、みかん(特にその皮)には主に二つの重要な働きがあるとされています。
1. 理気健胃(りきけんい)作用
理気健胃とは、気の流れを整え、胃腸の働きを高める効果です。具体的には次のような症状に効果があるとされています:
- 胸腹脹満(胸やお腹の張り)
- 嘔吐
- 食欲不振
特に、みかんの皮と大根を組み合わせると、腹部の張りに効果的だと言われています。
2. 止渇潤肺・燥湿化痰(しかつじゅんぱい・そうしつけたん)作用
のどの渇きを鎮め、肺を潤す効果と、余分な湿気を取り除き痰を除去する効果です。次のような症状に効果があるとされています:
- 口渇(のどの渇き)
- 咳
- 痰が多い状態
- 下痢
特に、みかんの皮と杏仁(アンズの種)を組み合わせると、咳や痰に効果的だと言われています。
現代の研究でも、みかんの皮に含まれる成分には、気の巡りをよくして胃の働きを活発にし、食欲不振を解消する働きがあることが分かっています。果汁には豊富なビタミンCやクエン酸が含まれ、疲労回復に効果的で、免疫力を高める働きもあります。
みかんの果実以外の部位にも効能があるのですか?
はい、みかんは果実だけでなく、種、白い筋、葉など様々な部位が漢方医学では利用されてきました。それぞれの部位には独自の効能があります。
みかんの種(橘核)
- 性味/帰経:
- 性味:平、苦
- 帰経:肝、腎
- 効能:理気散結止痛(気の流れを整え、滞りを散らし、痛みを止める)
- 適応症状:
- 乳房の疼痛
- 睾丸の疼痛
- 腸ヘルニア
みかんの白い筋(橘絡)
- 性味/帰経:
- 性味:平、甘、苦
- 帰経:肝、肺
- 効能:
- 宣通経絡(経絡の流れを促進する)
- 行気化痰(気の流れを良くし、痰を取り除く)
- 順気活血(気の流れを整え、血行を促進する)
実は、多くの方が取り除いてしまうこの白い筋ですが、食物繊維が豊富で腸内環境を整える効果があります。取らずに食べても問題ありませんよ。
みかんの葉(橘葉)
- 性味/帰経:
- 性味:平、辛、苦
- 帰経:肝、胃
- 効能:
- 疏肝行気(肝の気の巡りを良くする)
- 消腫散結(腫れやしこりを散らす)
- 適応症状:
- 乳房の疼痛
- 腫瘤
- 脇の痛み
みかんの皮(陳皮・青皮)
未成熟果の皮を干したものを「青皮」、成熟果の皮を干したものを「陳皮」として利用します。特に陳皮は漢方薬として広く用いられ、多くの漢方処方に配合されています。
陳皮には気を巡らせ余分な水分を排出させるため、咳止めや痰を切る作用があり、湿性の痰を伴う咳や喘息などの呼吸器系疾患の治療によく使われています。また、精油はアロマテラピーにも活用されています。
Q: みかんの皮の活用法を教えてください
A: 陳皮にして料理やお茶に使ったり、お風呂に入れたりできます。また、乾燥させた皮は部屋の消臭剤としても使えますよ。
みかんの現代栄養学的な効能は?
みかんは漢方的な効能だけでなく、現代栄養学的にも多くの健康効果が認められています。
主な栄養成分と効果
- ビタミンC:
- 免疫力を高める
- 風邪予防に効果的
- コラーゲン生成を助け、肌の健康維持に貢献
- クエン酸・リンゴ酸:
- 疲労回復を促進
- 消化を助ける
- 食欲増進効果
- ベータクリプトキサンチン:
- 抗がん作用があるとされる
- 皮膚や粘膜の健康維持に貢献
- 食物繊維:
- 腸内環境を整える
- 便秘改善に効果的
みかんの栄養成分の特徴
みかんに含まれる栄養成分の中でも特筆すべきは、ベータクリプトキサンチンです。この成分は、発がん抑制作用をはじめ、内臓脂肪や皮下脂肪の低減があるとされています。
みかんを食べる際の注意点はありますか?
みかんは非常に健康的な果物ですが、いくつか注意点もあります。
漢方的な注意点
- 熱がりやのぼせ(顔が赤くなる、ほてりを感じるなど)の症状がある方は食べ過ぎには注意しましょう。
- 日本のみかんは甘みが強く、体をほてらせやすいので、食べ過ぎには注意が必要です。
現代医学的な注意点
- 糖分の摂りすぎに注意: みかんは比較的糖分が多い果物です。特に血糖値が高めの方や糖尿病の方は摂取量に注意しましょう。
- 柑皮症に注意: みかんを大量に食べ続けると、カロテノイド(β-クリプトキサンチン)の影響で、一時的に手のひらなどの皮膚が黄色くなることがあります(柑皮症)。
- 胃腸への負担: 一度にたくさん食べると、胃腸への負担が大きくなる可能性があります。適量を心がけましょう。
みかん(蜜柑)のまとめ
みかん(蜜柑)は単なる美味しい果物ではなく、古来から漢方医学で重宝されてきた貴重な生薬でもあります。理気健胃や止渇潤肺などの効能があり、現代栄養学的にも、ビタミンCやベータクリプトキサンチンなどの栄養素が豊富で健康維持に役立ちます。
特に日本では冬の風物詩として親しまれていますが、食べ過ぎると体をほてらせる可能性があるので適量を心がけましょう。果実だけでなく、皮(陳皮)、種(橘核)、白い筋(橘絡)、葉(橘葉)など、様々な部位が漢方的に活用できる点も魅力です。
日常生活の中で、みかんの果実を楽しむだけでなく、皮をお茶にしたり、お風呂に入れたりと、様々な形で活用してみてはいかがでしょうか。古来からの知恵と現代の科学が証明する、みかんの素晴らしさを日々の健康維持に取り入れていきましょう。
参考文献

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。
