爽やかな香りと酸味が特徴的なレモン。私たちの身近にあるこの果実には、料理や飲み物の風味付けだけでなく、実は知られざる健康効果がたくさん隠されています。
インド北部からヒマラヤ山麓が原産とされるレモンは、その後中東を経てヨーロッパへ伝わり、日本には江戸時代後期に伝来しました。現在では広島県や愛媛県などで多く栽培されています。
この記事では、レモンの持つ東洋医学的な効能や日常生活での活用法について、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。さあ、レモンの隠された力を一緒に探っていきましょう!
レモンとは?東洋医学における基本情報
【性味/帰経】
- 性味:平(涼)、酸、甘
- 帰経:脾、胃、肺
東洋医学では、レモンは平(涼)性で、酸味と甘味を持ち、主に脾、胃、肺に作用すると考えられています。つまり、消化器系や呼吸器系の調子を整える効果が期待できるのです。
レモンにはどのような薬効があるの?
レモンには主に4つの重要な薬効があります。
1. 生津止渇(せいしんしかつ)
のどの渇きを癒し、体内の潤いを保つ効果があります。特に暑い季節や、のどが渇きやすい症状に効果的です。
2. 利肺潤喉(りはいじゅんこう)
肺を潤し、のどの炎症を和らげる作用があります。特に次のような症状に有効です:
- 肺の乾燥によるせき
- 痰が絡むせき
- のどの炎症や痛み
3. 開胃消食(かいいしょうしょく)
胃腸の働きを活発にし、食欲を増進させる効果があります。具体的には:
- 食欲不振
- みぞおちや腹部の膨満感
- 消化不良による下痢
4. 安胎(あんたい)
妊娠中の不調を和らげる効果があります:
- つわりの軽減
- 胎動不安の緩和
レモンの応用例:どんな症状に使えるの?
暑さによる口渇や胎動不安の場合
レモンの絞り汁に砂糖を加えて飲むと効果的です。さっぱりとした飲み物になり、のどの渇きを癒すとともに、妊婦さんの不安も和らげます。
ハチミツレモン緑茶:夏バテ・熱中症対策に
夏の暑さ対策に最適な飲み物として、ハチミツレモン緑茶がおすすめです。簡単に作れて効果抜群の健康ドリンクです。
材料
- レモン(できれば国産の農薬使用の少ないもの)
- 緑茶
- ハチミツ
- お好みで:ハッカ、少量の塩
効能の組み合わせ この飲み物は東洋医学的に考えられた相乗効果が特徴です:
- レモンの酸味:汗の出過ぎを抑制し、喉の渇きを和らげるとともに、胃液分泌を促して食欲不振を解消します
- レモンの香り:気の巡りを良くし、暑さによるストレスを緩和します(特に皮に含まれる成分が効果的なので、安全なレモンなら皮ごと使用するとより効果的です)
- 緑茶:体内の熱を冷まし、熱による頭痛や喉の渇きを解消します
- ハチミツ:体に潤いを与え、疲労回復を促進します
- ハッカ(オプション):体の熱を皮膚から発散させる効果があります
- 塩(オプション):汗で失われたミネラルを補給します
作り方と摂取の注意点 緑茶を淹れ、そこにレモン果汁(できれば皮も細かく刻んで)を加え、お好みでハチミツを溶かします。大量に汗をかく場合は、1リットルあたり1~2gの塩を加えると良いでしょう。塩分濃度は0.1~0.2%が目安です。
ただし、緑茶は漢方の世界では「温めて少量」が原則です。冷やし過ぎや大量摂取は体を冷やし過ぎてしまい、吐き気や動悸、めまいの原因になることがあります。特に空腹時に多量に飲むと、腰痛や膀胱の痛みを引き起こす可能性があるため注意が必要です。
熱中症予防の水分摂取量は、一日に200mlのコップで6~8杯が目安とされています。ただし、冷たい飲み物の飲み過ぎは胃腸の働きを弱め、かえって熱中症に対抗するエネルギーが不足する可能性があります。適温での摂取を心がけましょう。
レモンを使用する際の注意点は?
禁忌
胃酸過多の方は使用を避けてください。レモンの酸味が胃酸を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
その他の注意点
- 空腹時の摂取は避けましょう
- アレルギー反応が出た場合は、すぐに使用を中止してください
レモンの皮にも効能があるの?
はい、レモンの皮にも優れた効能があります。皮には「疏肝理気行滞(そかんりきぎょうたい)」という作用があり、肝気の流れを改善し、気の巡りを促します。具体的には次のような症状に効果があります:
- 肝気鬱結(かんきうっけつ)
- 胸脇部の張り
- 吐き気、嘔吐
- 早期満腹感
レモンに含まれる有効成分とその効果は?
クエン酸
レモン独特の強い酸味の元であるクエン酸は、疲労回復に効果的です。運動後や疲れを感じる時にレモン水を飲むと、体が回復しやすくなりますよ。
シトラール
レモンには「シトラール」と呼ばれる酸味の強いさわやかな香り成分があります。この成分はストレス解消に効果があり、アロマテラピーなどでも活用されています。
ビタミンC
レモンには豊富なビタミンCが含まれており、古くは壊血病の予防にも使われていました。免疫力の向上や美肌効果にも役立ちます。
リモネン
レモンの香り成分であるリモネンにはリラックス効果があるとされています。香りを嗅ぐだけでも気分がすっきりする理由はここにあるのですね。
レモンの便利な活用法は?
レモン水
レモンの輪切りや果汁を水に加えるだけで、爽やかな風味の飲料が楽しめます。ビタミンC補給やリフレッシュに最適です。
保存方法
レモンは冷蔵庫で保存すると鮮度が保たれます。また、果汁を絞って製氷皿で凍らせておくと、必要な時に少量ずつ使えて便利です。これなら無駄なく使い切ることができますね。
料理での活用
魚料理の風味付けや、唐揚げなどの揚げ物、サラダのドレッシング、デザートの材料としてレモンを活用してみましょう。酸味が食材の臭みを消し、唾液や胃酸の分泌を促す効果もあります。
まとめ:レモンの薬効と上手な活用法
レモンは単なる調味料ではなく、東洋医学的にも価値の高い果実です。その主な効能をまとめると:
- のどの渇きを癒し、体内の潤いを保つ「生津止渇」
- 肺を潤し、のどの炎症を和らげる「利肺潤喉」
- 胃腸の働きを活発にする「開胃消食」
- 妊娠中の不調を和らげる「安胎」
さらに、レモンに含まれるクエン酸やシトラール、ビタミンC、リモネンなどの成分が、疲労回復やストレス解消、免疫力向上に役立ちます。
ただし、胃酸過多の方は摂取を控え、適量を守ることが大切です。日常生活にレモンを取り入れて、その健康効果を実感してみてはいかがでしょうか?
爽やかな香りと酸味のレモンで、心も体も健やかに保ちましょう!
参考文献

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