【解説】首から上だけ異常に汗をかく原因とは?仕事の日だけ症状が悪化する理由

口臭
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

汗の異常にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

「仕事中だけ頭や顔から汗が止まらない…」「満員電車に乗るとどっと汗が…」とお悩みの方はいませんか?

首から上だけ異常に汗をかく症状は、単なる体温調節の問題ではなく、東洋医学的に見ると体内のバランスの乱れを示すサインかもしれません。特に仕事の日だけ症状が悪化するケースでは、心理的要因も大きく関わっていることがあります。

今回は、33歳女性からいただいた「首から上の激しい発汗」に関するお悩みについて、東洋医学の視点から原因と対策を解説します。

この方の外見的な特徴とお悩みの症状

外見的な特徴

  • 33歳の女性
  • 身長149cm
  • 体重43.4kg
  • BMI 19.55
  • 顔色は白っぽい
  • 皮膚は乾燥している
  • 髪の毛は乾燥して細い
  • 舌は白っぽくて厚く、歯の痕がある
  • 舌の裏の静脈は太く膨らんでいる

主な症状:

  • 首から上の激しい発汗(特に仕事中に悪化)
  • 寝汗がひどい
  • 仕事中は頭が熱くなって熱を持つ感覚がある
  • 午前中のみ口臭が気になる
  • 月に一度は胃炎になる

特筆すべき点として、休日には激しい発汗はなく、口臭も気にならないとのこと。満員電車や仕事中など、緊張状態にあるときに症状が悪化し、平日はずっと緊張状態のように感じるそうです。

歯科に定期的に通い、フロスも毎日使用されていますが、歯科医からは「口臭はない」と言われるものの、平日のみ口臭を自覚されています。

汗はどのようにして出るのか?

まずは、汗の仕組みについて東洋医学的な観点から説明します。

体温が上昇すると、体は温度を一定に保つために皮膚表面の汗腺から汗を出します。この汗が蒸発するときに熱を奪われることで、体温調節が行われます。

東洋医学では、この汗のコントロールは以下のプロセスで行われると考えます:

  1. 飲食物から摂取した水分が、脾気(消化吸収機能)によって体内に吸収される
  2. その水分が腎陽(体を温める力)によって活性化された腎陰(体の潤い)と結びつき、「津液」(体の役に立つ水分)となる
  3. 肝気(運搬機能)によってこの津液が体の上部にある肺まで運ばれる
  4. 肺気(調節機能)によって必要な量の水分が放出され、不要な水分は回収される

これらの機能のどこかに不具合があると、発汗の異常が生じるのです。

発汗異常はなぜ起こる?4つの原因

1. 肺気の異常

肺気は体の表層を覆い、バリアとして機能しながら水分の巡りを調整します。いわば「門番」のような役割です。

肺気の働きが低下すると、汗を体内に戻す機能が弱まるため、多汗になります。門番の数が少なくなり、門が開きっぱなしになってしまうイメージです。

この場合、あまり動いていなくても自然と汗が出てきたり、少し動いただけでも汗が止まらなくなります。また、外からの邪気も侵入しやすくなるため、風邪をひきやすくなることも。

2. 肝気の異常

様々なストレスや強い緊張状態があると、汗を押し出す肝気の働きが強くなり過ぎて、肺気の制御を押し破って汗が出てしまいます。

これは門番よりも、出ていこうとする人の流れが強くなっているイメージです。この状態では、過剰な肝気の働きによって熱が生じやすく、イライラや熱感を伴う多汗になりやすいです。

3. 体の潤いの不足

水分を運ぶ肝気の働きを制御する潤いが不足していると、相対的に肝気の働きが過剰になり、汗を押し出す力が強くなります。

特にこれは寝汗として現れることが多いです。起きている間は体表面を通っている気が、睡眠時に内側に戻りますが、過労や夜更かしなどで体全体の潤いが不足していると、内側に戻った気とのバランスが崩れ、余った気が強い勢いで外に出ていき、表面の水分を巻き込んで寝汗となります。

4. 心気の乱れ

肝気は心気(精神活動)からの指令を受けてコントロールされています。心気に不具合があると、感情のコントロールが難しくなり、穏やかな状態を保てなくなります。

国のトップである王様が乱れた行動をとることで、家来である兵士たちが混乱して暴れているようなイメージです。そうなると肝気も正常に働けなくなり、緊張が強まって気の外向きの力が増し、多汗につながります。

この方の体質分析

この方の症状を見ると、以下のような特徴が見られます:

  1. 心理的要因が強い:仕事の日や満員電車で症状が悪化し、休日には症状がなくなる点から、心因的な要素が大きいと考えられます。
  2. 心気の乱れ:平日は緊張状態が続き、不安感が強いなど、心の機能の乱れが背景にあります。この心の乱れが肝気の働きも乱しています。
  3. 熱の過剰:「頭が熱くなって熱を持っている感じ」とあるように、肝気の滞りによる熱の過剰があります。肝気の滞りにより手足は冷えるものの、中心部にこもった気が上昇して顔が熱くなります。
  4. 潤いの不足:夜間の寝汗や皮膚の乾燥から、体の上部に熱がこもり、潤いを消耗させていることがわかります。不眠などの生活習慣によって潤いの補充も不足しがちです。
  5. 水分代謝の異常:こもった熱は喉の渇きを誘発し、1日2リットルの水を飲むことで水を巡らせる機能に負担がかかっています。
  6. 血の巡りの悪さ:静脈瘤があり、舌の裏が太く膨らんでいることから、血の巡りも良くない状態です。

まとめると、心の働きの乱れを背景に、肝気の乱れがあり、体の潤いの不足こもった熱が相まって、首から上の発汗や口臭などの症状を引き起こしていると考えられます。さらに、喉の渇きで摂取する水分が汗の材料となるだけでなく、お腹の機能に負担をかけ、気の滞りと胃熱による口臭も生じています。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

1. 水分摂取の見直し

気になるのは「1日に2リットル水を飲む」という点です。激しい運動で喉が渇くなら問題ありませんが、健康のためにわざと飲んでいるのであれば控えた方が良いでしょう。

東洋医学では、顔とお腹は密接に関係していると考えます。お腹に余分な水分が溜まり、緊張による熱で「煮詰められる」と、湿熱(熱と水が結びついたドロドロしたもの)が生じます。これが口臭や胃炎の原因となり、発汗も促進します。

熱中症の危険がない季節では、喉が渇いてから少量ずつ水分を摂ることをおすすめします。喉の渇きを感じてから少し飲み、また渇いたらまた少し飲む、というように適度な水分補給を心がけましょう。

2. 睡眠習慣の改善

夜更かしは体の潤いを減少させ、気の滞りやこもった熱を生じやすくします。早めに就寝して、しっかりと睡眠をとることが重要です。

眠れない場合でも、体を休めるつもりで横になり、仰向けの状態でお腹を気持ち良い範囲でマッサージすると良いでしょう。手の温かさで硬くなった部位を溶かすイメージで行うと、緊張感が和らぎます。

3. 呼吸法で副交感神経を優位に

長い呼吸を繰り返すことで、副交感神経が優位になり、緊張感を緩め、熱を冷まし、イライラを穏やかにすることができます。

特に、吐く息を長くするように意識すると、リラックス効果が高まります。1日に数回、3分程度の深呼吸を取り入れてみましょう。

4. 緊張箇所をチェック

無意識の緊張が現れやすい場所として、顎の噛みしめ、喉を締める癖、前腕の緊張、みぞおちの張りなどがあります。

特に噛みしめは無意識のうちに行っている方が多く、それにより体全体が緊張し、気血の巡りも悪くなります。普段から上下の歯が合わさっていないか、顎の上にシワができていないかを確認し、力みに気づいたらすぐに緩めるよう心がけましょう。

また、顔の体操として口を大きく開けて口角を上げるだけでも、気持ちに変化が現れます。緊張感が強いときに試してみてください。

この体質改善に効果が期待できる漢方薬

この体質の方には、以下の漢方薬が効果的かもしれません。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、個人の体質や症状によって合う漢方薬は異なります。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん):肝気の乱れを整え、ストレスによる熱を冷まし、のぼせやイライラを改善します。
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):精神不安を和らげ、肝気の滞りを解消し、のぼせや汗を改善します。
  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう):体内の熱を冷まし、口臭や胃の不調を改善する効果が期待できます。

症状が複雑な場合は、単独の漢方薬では効果が現れにくいことがあります。専門家による漢方相談で、あなたの体質に合った組み合わせを見つけることをおすすめします。

まとめ

首から上の激しい発汗は、単なる体質や汗っかきというわけではなく、東洋医学的に見ると心と体のバランスの乱れのサインかもしれません。

特に仕事中や緊張状態でのみ症状が悪化する場合は、心気の乱れが根本にあり、それが肝気の乱れや体の潤いの不足を引き起こしている可能性があります。

改善には:

  1. 適切な水分摂取(喉が渇いてから少量ずつ)
  2. 早めの就寝でしっかりとした睡眠
  3. 深い呼吸法で緊張を和らげる
  4. 顎の力みなど無意識の緊張に注意する

これらの自然療法を日常に取り入れることで、症状の緩和が期待できます。根本的な体質改善には時間がかかりますが、継続することが大切です。

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ピヨ先生
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