
こんにちは
どうなさいましたか?

口角炎にお困りの方から
質問をいただきましたよ。
口の端が切れて痛む「口角炎」。ちょっとした会話や食事の際にも痛みを感じ、見た目も気になるこの症状に長期間悩まされている方は少なくありません。
特に市販薬やステロイド薬で一時的に改善しても、また繰り返し発症することが多く、根本的な解決に至らないケースが多いのが現状です。
今回は、10年もの間ステロイド薬を使い続けてきたものの、最近効果がなくなってしまったという方のお悩みを取り上げながら、東洋医学的視点から口角炎の根本原因と対策法について詳しくご紹介します。
口元のトラブルは単なる皮膚の問題ではなく、体の内側からのSOSサインかもしれませんよ。
口角炎が繰り返し発生する原因は何ですか?
まずは今回ご相談いただいた方の症状を確認してみましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 口角炎が10年間続いており、ステロイド薬で対処してきた
- 食べ物の種類によって口角が切れやすい
- ケーキを食べた後に口周りが赤く腫れた
- ステロイド薬が効かなくなり使用中止
- 脱ステロイド1週間目で赤みが増加
- 鼻の下に小さなブツブツが発生
- 鼻から下、口角、顎下が赤くなっている
- ヒリヒリする時はプロペトを塗布
これらの症状からわかるのは、単なる一時的な口角炎ではなく、長期間にわたる慢性的な問題であるということです。東洋医学ではこのような症状をどのように捉えるのでしょうか?
口角炎とお腹の働きには関係があるのですか?
東洋医学では、口角炎などの口唇に現れる症状に対して、「脾気(ひき)」という臓腑の働きの乱れを重視します。
脾気とは、西洋医学でいう消化器系の機能に近いもので、食べ物の消化・吸収に関わる重要な働きをしています。なぜ口角炎とお腹の働きが関連するのでしょうか?
それは東洋医学の「開竅部(かいきょうぶ)」という考え方に基づいています。開竅部とは、内臓が外部と直接つながっている場所のことで、「脾胃は口に開竅する」と考えられています。
また「唇は脾胃の華」とも言われ、唇の状態を見ることで脾胃の機能状態を知ることができるのです。つまり、口角炎は単なる口元の問題ではなく、消化器系の不調が外に現れた症状と捉えることができます。
この方の場合、食べ物の種類によって症状が悪化し、特にケーキを食べた後に症状が悪化したという点から、脾気の働きの乱れが関与していることは間違いないでしょう。
しかし、長年食事に気をつけていたにもかかわらず改善せず、胃腸に関する症状の記載がないことから、脾気の問題だけではない可能性があります。
口角炎と精神活動には関係があるのでしょうか?
実は口唇を含めた口腔には、「心気(しんき)」の働きも深く関わっています。東洋医学では、心気は精神活動や思考を司る場所とされ、意識状態や睡眠にも関連すると考えられています。
私たちが頭の中の考えを外に表現する時、口唇は舌の動きと共に言葉を形作る重要な役割を担っています。このため、口唇と心気には密接な関連があるのです。
心気の働きが乱れて熱を持った状態(心火)や、心の潤いが不足した状態(心陰虚)があると、口唇に影響が出やすくなります。この方の場合、口唇という場所や特に胃腸症状の訴えがないことから、心気の働きの乱れも口角炎の原因となっている可能性が高いのです。
ブツブツができる原因は何ですか?
この方は口角炎だけでなく、鼻の下から顎にかけての顔の下部にブツブツができていると訴えています。この症状からも原因を探ることができます。
鼻の下から顎にかけての部位は、東洋医学的には脾気の影響を受けやすい場所です。ケーキのように体に「湿邪(しつじゃ)」を生じさせやすい食べ物で悪化したことから、「脾胃の湿熱(しつねつ)」が影響していると考えられます。
湿熱とは、体内に余分な水分(湿)と熱が溜まった状態を指し、皮膚トラブルとして現れやすい状態です。しかし、口唇という場所や特に胃腸症状の訴えがないことを考慮すると、心気の働きの乱れも大きく関わっている可能性が高いでしょう。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方のように口角炎や顔の下部にブツブツができるケースでは、心気の熱を冷まし、脾胃に停滞している湿熱を追い払う対策が効果的です。
生活習慣の改善ポイント
- 適度な運動:お腹の働きを応援し、心気にこもった熱を解消するために、ウォーキングやストレッチなど適度に体を動かしましょう。
- 食事の摂り方:空腹感を感じてから、よく噛んで食べることを心がけてください。
- 十分な睡眠:早めに就寝し、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
この症状に効果が期待できる漢方薬
以下は特定の口角炎や脾胃の湿熱、心気の乱れに効果が期待できる漢方薬です。なお、これらは一般的な情報であり、個人の体質や症状の複雑さによっては単独では効果が現れない場合もあります。
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう):体の余分な熱を冷まし、炎症を抑える効果があり、顔の赤みやほてりにも効果的です。
- 温清飲(うんせいいん):体内の余分な熱を冷まし、皮膚の炎症を抑える作用があります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):精神的なストレスからくる体の熱を冷まし、皮膚トラブルを改善します。
お悩みの症状が複雑な場合は、当店での漢方相談をご利用いただくことをおすすめします。専門家が体質や症状に合わせた漢方薬を選定いたします。
まとめ
口角炎は単なる皮膚の問題ではなく、東洋医学的には脾胃の働きの乱れや心気の乱れが原因となって起こることが多いのです。
特にこの方のケースでは、食べ物で悪化することから脾胃の湿熱が関与していること、長期間改善しないことから心気の乱れも影響していると考えられます。
改善のためには、適度な運動、正しい食事の摂り方、十分な睡眠といった生活習慣の見直しが大切です。また、症状に合わせた漢方薬の活用も効果的でしょう。
何年も悩まされてきた口角炎も、根本原因にアプローチすることで改善が期待できます。ぜひ今回ご紹介した対策を試してみてください。
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