小麦の驚くべき薬効と生薬としての活用法

穀物類など

私たちの食卓に欠かせない小麦。パンやパスタ、うどんなど様々な形で日常的に食べている身近な食材ですが、実は東洋医学では古くから「生薬」として重要な位置を占めてきました。

小麦は単なる炭水化物源ではなく、心を落ち着かせ、胃腸の働きを整える貴重な薬効を持っています。お米と一緒に炊いたり、サラダに入れたりと日常的に取り入れることができる小麦の薬効について、今回は詳しくご紹介します。

東洋医学の観点から見ると、小麦は「甘、微寒」の性質を持ち、「養心安神」と「補益脾胃」という二つの主要な効能があります。これらの効能が私たちの心と身体にどのように作用するのか、一緒に見ていきましょう。

小麦とは何ですか?その基本情報

小麦は東洋医学では「小麦(しょうばく)」と呼ばれ、以下のような特性を持っています。

【性味/帰経】

  • 性質:涼(微寒)
  • 味:甘
  • 作用する臓器:心、脾、胃

【主な働き】

  1. 養心安神(心を養い、精神を安定させる)
  2. 補益脾胃(脾と胃の働きを補い、強める)

小麦の歴史は非常に古く、メソポタミアなど西アジアで約1万5000年前に栽培が始まったと言われています。初期の頃は大麦や雑穀と混ぜて石で砕いたものを焼いて食べていました。土器が発明されると、お粥のように煮て食べるようになり、石臼の発明により、粉にして加工する食べ方が主流になりました。

なぜ小麦はお米のように粒のまま食べないのでしょうか?それは小麦の構造に理由があります。お米は外皮や内皮が剥れやすく、胚乳部も硬いため、簡単に食用部分を取り出せます。一方、小麦は外皮が硬く、柔らかい胚乳部分にぴったりとくっついているため、粉にして分離する方が効率的だったのです。

小麦にはどんな薬効がありますか?

1. 養心安神 – 心を養い精神を安定させる効果

養心安神とは、脳を調整している「心気」に潤いを補うことで、脳の働きを穏やかにする効果を指します。具体的には以下のような効果が期待できます:

  • 不安感の軽減
  • 不眠の改善
  • 抑うつ感の緩和
  • 精神の安定

東洋医学では、精神活動をコントロールしている働きを「心気」と呼びます。心気の機能が正常で、気血も満ち盛んに巡っていれば、意識ははっきりとし、思考も穏やかで頭の回転も良くなると考えられています。

心気の働きは大脳の機能と深く関連しており:

  • 記憶
  • 判断力
  • 言語機能
  • 運動指令

などをコントロールしています。つまり、外部からの情報を知的に処理し、身体全体に指令を出す「王様」のような役割を担っているのです。

しかし、この心気の働きに不具合が生じると、考えや感情の働きが過剰になり、落ち着いた状態を保つことが難しくなります。小麦は心気の熱を少し冷まし、潤いを補充することで、過剰な精神活動を穏やかにしてくれるのです。

実用的なアドバイス: 漢方薬「甘麦大棗湯」は情緒不安に使われますが、この薬は小麦、ナツメ、甘草から作られています。自宅でも簡単に取り入れるなら、全粒粉の小麦粉で皮を作り、ナツメを包んで蒸したお饅頭がおすすめです。イライラした時のおやつにぴったりですよ。甘草は手に入りにくく味に癖があるので、お好みの甘味料で代用しても良いでしょう。

2. 補益脾胃 – 胃腸の働きを補う効果

補益脾胃とは、弱っている胃腸の働きを補い強化する効果です。具体的には以下のような効果があります:

  • 食欲不振の改善
  • 消化機能の向上
  • 下痢の改善

小麦、特に外皮や胚芽を含んだ全粒粉には、豊富な栄養素が含まれています:

  • ビタミンB1:糖質を分解し、胃腸が弱く疲れが取れない方に効果的
  • ビタミンB2:脂質の代謝を助け、エネルギーに変換。また皮膚や粘膜、髪の毛や爪などの細胞再生に役立ち、肌荒れ改善に効果的
  • 不溶性食物繊維:水分を吸収して便の容積を増やし、腸を刺激して排便を促進

これらの栄養素により、胃腸の機能が整い、食欲不振や便秘、下痢の解消に役立ちます。

小麦を摂取する際の注意点はありますか?

小麦の薬効を得るためには、精白していない全粒粉を選ぶことが重要です。通常私たちが使う精白された小麦粉では、栄養豊富なふすま(外皮)の部分が取り除かれているため、期待する薬効が得られません。

注意すべきポイント:

  • 精白された小麦粉では薬効は期待できない
  • 小麦の持つ粘性がお腹に負担をかけることがあるため、食べ過ぎには注意
  • グルテン過敏症(セリアック病)や小麦アレルギーの方は摂取を避ける必要がある

まとめ:小麦の生薬としての価値

小麦は私たちの食卓に欠かせない食材ですが、東洋医学の観点からは貴重な生薬としての価値も持っています。特に全粒粉として摂取することで、以下のような効果が期待できます:

  • 精神の安定:不安感や不眠、抑うつ感を改善
  • 胃腸機能の向上:食欲不振や下痢の改善
  • 栄養の補給:食物繊維やビタミンB1、B2、Eなどの栄養成分を豊富に摂取

日常的に小麦を取り入れる際は、ぜひ全粒粉製品を選ぶことで、その薬効を最大限に活かしましょう。パンやパスタだけでなく、お米に混ぜて炊いたり、サラダのトッピングにしたりと、様々な形で取り入れることができます。

健康維持のために、古来から伝わる東洋医学の知恵を現代の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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