
こんにちは
どうなさいましたか?

気象病にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
気圧の変化を感じると体調が崩れてしまう…そんなお悩みを抱える方は意外と多いものです。特に「頭がボワンボワンする」「喉がつかえる感じがする」「不安感が強くなる」といった症状は、日常生活を送る上で大きな負担となりますよね。
今回は、気圧の変化で耳鳴りやめまい、頭痛になりやすい方の体験談をもとに、漢方的な視点からその原因と対策をご紹介します。このような症状でお悩みの方の参考になれば幸いです。
どんな症状に悩まれているのでしょうか?
今回ご相談いただいた方は、めまいや頭痛とは少し違う「頭がボワンボワンする」という独特の症状に悩まされています。また、喉がヒリヒリしてつかえを感じやすく、身体に震えがあり、心配や不安感を強く感じるとのこと。
現在、パーキンソン病、甲状腺機能低下症、パニック障害と診断されているそうです。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:67歳女性
- 身長:158cm
- 体重:47kg
- BMI:18.83
主な症状:
- 頭がボワンボワンする(めまいや頭痛とは異なる感覚)
- 喉がヒリヒリしてつかえを感じる
- 身体に震えがある
- 心配や不安感が強い
特徴的な所見としては、髪の毛が細く薄く白髪が目立ち、舌は厚みがあって白っぽい色をしています。また部分的に紫色になっている箇所があり、舌に歯の跡が残り、溝があるのが特徴です。舌苔は水っぽくベタベタした状態です。
この方の漢方的な体質分析は?
この方の症状を漢方的な視点で分析してみましょう。
まず、体の熱の状態を見ていくと、甲状腺機能低下症の診断があることから、体の熱が不足していると考えられます。甲状腺はエネルギーや糖の代謝に関わり、細胞活動を活発にしてエネルギーを生成・消費させる重要な役割を担っています。この機能低下は、体の熱源や気の不足として現れます。
寒がりであること、舌の色が白い、舌に歯の跡が残るといった症状は、まさにこの状態を示しています。さらに、耳が聞こえにくい、腰や膝に疲れや脱力感があることから、体の芯部の働きである腎気の弱りも影響していることがわかります。
次に、水分の巡りを見ると、舌が厚く水っぽい苔があり、歯の跡が残る、足のすねに浮腫みがある、動くと汗が出やすい、雨の日は体調が悪いなどの症状から、動きの悪い水分が体内に停滞している状態が見られます。
また、髪の毛が細く薄い、舌の色が白っぽい、夢をよく見る、不安感が強い、目が疲れやすく乾燥しやすい、爪が脆い、筋肉が痙攣しやすい・つりやすいなどから、体の上部を中心に血の不足があると考えられます。
この状況を総合すると、材料となる血液の不足は、気や熱の不足によって十分に作られないことが原因となっています。さらに、動かす原動力となる気や熱の不足により、水が停滞して体内に充満している状態と言えるでしょう。
加えて、体温が高くないのに熱っぽく感じる、体のあちこちが痛む、喉に何かがひっかかる感じがするなどから、気の滞りがあり、巡りを調整する働きにも不具合が生じているようです。
なぜ頭がボワンボワンするのでしょうか?
頭がボワンボワンする症状(めまいや頭痛とは異なる)の原因として、脳の働きを支える何かが不足している状態が考えられます。
その主な原因は熱の不足です。体の熱によって気や血液は上方へと運ばれますが、甲状腺機能低下や体の冷えがあることで、重い材料である血液を頭部へと十分に持ち上げられない状態になっています。
さらに、血の不足もあるため、不足している上に十分に頭部へ運べないことで、脳を養うことができなくなっているのです。特に脳の構造的な部分と関係の深い腎気の潤いの不足も、耳が聞こえにくい、腰や膝の疲れ、髪の毛が細く薄いことなどから関連していると考えられます。
喉のつかえと不安感はなぜ起こる?
喉がヒリヒリする、つかえやすいという症状は、気の滞りが関係しています。喉は周囲の部位と比べて狭く、流れが滞りやすい構造をしています。そこに気の滞りが生じると、潤いの供給が阻害され、喉の表面で乾きが生じてヒリヒリとした感覚につながります。
さらに、喉における気の流れがうまく下向きに降りていけず逆流することで、つかえ感を生じさせているのでしょう。これは、ゲップやガスが出ると楽になる、肩こりがある、体のあちこちが痛むといった症状にも関連しています。
ただし、勢いの強い滞りというよりは、芯部の冷えによる運行力の低下と、動きの悪いものが充満していることが背景にあると考えられます。そのため、舌の色が部分的に紫色になり、静脈瘤として現れています。
震えや筋肉の痙攣はなぜ起こる?
震えや筋肉の痙攣、つりやすい症状は、血や潤いの不足が関わっています。筋肉が活動するにはエネルギーである気やその燃料となる血が必要です。同時に、血などの潤いは筋肉の活動を穏やかにする冷却水としての働きも持っています。
血や潤いが不足すると、筋肉の活動を適切に冷却できなくなり、過剰に働くようになってしまいます。その結果、筋肉をうまく制御できなくなり、震えや痙攣、足のつりといった症状が現れるのです。
これにより、寒がりで冷えているにもかかわらず、気が余計にこもってしまい、体温が高くないのに熱っぽく感じる状態になります。
また、血や潤いの不足は脳の働きも穏やかにできなくなるため、考えが空回りして心配や不安感を強く感じるようになります。眠りを維持するためにも血や潤いが必要なため、不足すると夢を見ることが多くなるのです。
では、この方におススメの自然療法を教えて下さい
現在取り組まれているローラー鍼、ストレッチ、ウォーキング、アロマなどは大変良い習慣です。ぜひ継続されることをお勧めします。
また、体質的な特徴から、体内に余分な水分が停滞している可能性があります。喉の渇きを感じていないようですが、これは必要以上に水分を摂取している可能性も考えられます。特に雨の日に体調が悪くなるということは、湿度や低温が体内の水の巡りを悪化させ、停滞した余分な水分が気や血液の正常な流れを妨げている可能性があります。
食事面でのアドバイス
水分摂取は喉の渇きに従って飲むようにしましょう。また、体を冷やす性質のある食べ物や飲み物はバランス的に少なめにし、以下のような食材を積極的に取り入れることをお勧めします:
- 体を温める食材:ニラ、タマネギ、春菊
- 栄養を補給する食材:エビ、クルミ
これらの食材は体を温めながら必要な栄養を補給し、余分な水分の排出を促してくれます。体の機能が高まることで、停滞しがちな水分の流れが改善し、気血の巡りが良くなれば、様々な症状の改善につながるでしょう。
おススメの呼吸法
おへその下にある丹田に意識を向けたまま呼吸をする方法もおススメです。継続することで丹田が強くなり、気血の巡りが良くなり、身体に力強さが出てきます。
無理に強い呼吸をする必要はなく、意識を丹田に向けておくだけで十分です。眠る前の布団の中や、夜中に目が覚めたときなど、深い意識状態のときに軽く丹田に意識を向け、そこで何かが躍動してくるのを感じるとよいでしょう。
この体質の改善に効果が期待できる漢方薬
甲状腺機能低下や気血両虚の状態には、以下のような漢方薬が効果的と考えられます:
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):気虚(体力低下)を改善し、気の巡りを整えます
- 帰脾湯(きひとう):気血両虚(気と血の両方が不足した状態)を改善し、不安感の軽減にも役立ちます
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腎気の不足を補い、体の芯からの冷えに効果があります
ただし、これらは一般的な薬効であり、個人の体質や症状の複雑さによっては単独では効果が現れないことがあります。当店では詳しい漢方相談も行っておりますので、より詳しいアドバイスをご希望の方はぜひご相談ください。
まとめ
今回ご紹介した方の症状は、漢方的に見ると主に以下の要因が絡み合っています:
- 気や熱の不足による血液生成の低下と運行力の低下
- 水分の停滞による気血の巡りの悪化
- 血や潤いの不足による筋肉や脳の働きの不安定化
これらが複合的に作用することで、頭のボワンボワン感、喉のつかえ、不安感、震えなどの症状が現れています。
自然療法としては、適切な水分摂取、体を温める食材の摂取、丹田呼吸法などがおすすめです。これらの取り組みを継続することで、体内環境が徐々に整い、症状の緩和が期待できるでしょう。
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