冬の味覚の王様として親しまれている蟹(カニ)。日本で特に人気があるのは冬が旬のズワイガニやタラバガニ。一方、中国では秋に旬を迎える上海ガニが珍重されています。
それぞれの地域で、その土地に合った食べ方や調理法が発展してきました。その美味しさだけでなく、実は漢方的にも様々な効能を持つ食材なのをご存知でしょうか?
古くから東洋医学では食材にも「性味」という性質があるとされ、体調や季節に合わせた食材選びが健康維持に役立つと考えられてきました。今回は、そんな視点から見た「蟹」の魅力と効能についてご紹介します。
蟹とは?基本情報を教えてください
蟹(カニ)は古くから世界中で食されてきた人気の甲殻類です。日本では縄文時代の貝塚からカニの甲羅が発見されており、非常に長い食文化の歴史があります。
【性味/帰経】
- 性味:寒、甘、鹹(しおからい、塩辛い)
- 帰経:肝、腎
蟹にはどんな薬効があるの?
蟹には主に以下のような効能があります:
1. 清熱散血(せいねつさんけつ)
体内にこもった熱を取り除き、血液の巡りを良くする効果があります。これによりうっ血(血液の停滞)を改善し、体内環境を整えます。
2. 滋肝養陰(じかんよういん)
肝に潤いを与える効果があり、肝陰不足による肝気の過剰な働きを緩和する効果があります。
栄養面での効果
- タウリン:蟹の身に含まれるタウリンはコレステロールの抑制、血圧低下、うっ血性心不全の予防などに効果があります。
- キチン:殻に含まれるキチンには整腸作用と免疫力を高める効果があり、がん予防にも良いとされています。鍋料理など、殻の成分も摂れる料理にすると効果的でしょう。
蟹を食べる際の注意点は?
蟹は栄養価が高く美味しい食材ですが、以下の点に注意が必要です:
1. アレルギーに注意
蟹はアレルギー反応を起こしやすい食材の一つです。特に蟹みそにアレルギー反応が出る場合があるので注意しましょう。初めて食べる方や、他の甲殻類でアレルギー反応が出たことがある方は少量から試すことをおすすめします。
2. 寒性食材としての注意
蟹は体を冷やす「寒性」の食材です。特に冷え性の方や、寒い季節に食べる際には体を温める工夫をしましょう。
3. 妊婦さんへの注意
薬膳的な体を冷やすという観点から、妊婦さんは蟹の摂取を控えたほうが良いとされています。
蟹の応用例や美味しい食べ方を教えてください
腸熱便秘(腸の熱による便秘)に効果的なレシピ
- 蟹を湯がいて身を取り出し、ほぐしておきます
- 蟹の身、湯がき汁、山芋のすりおろし、白菜の千切りでスープを作ります
- 酒、塩、胡椒で味を調えます
- 別に湯がいたモロヘイヤを上から飾れば完成です
このスープは腸の熱を冷まし、便秘解消に役立ちます。
その他の便利な食べ方
カニを簡単にむく方法:
- カニの甲羅を外し、関節部分をひねると簡単に外れます
- キッチンバサミを使うと、手を汚さずにスムーズに身を取り出せます
おすすめレシピ:
- カニ雑炊:茹でたカニの身をほぐしてご飯と一緒に煮込むだけの簡単レシピ
- カニクリームコロッケ:カニの身とホワイトソースを混ぜて衣をつけて揚げる
- カニパスタ:ほぐしたカニの身をオリーブオイルとにんにくで炒めてパスタと絡める
まとめ:蟹の魅力と上手な取り入れ方
蟹は単に美味しいだけでなく、漢方的にも優れた効能を持つ食材です。特に血液循環を良くする効果や、タウリン・キチンなどの栄養素は現代人の健康維持にも役立ちます。
ただし、寒性の強い食材なので、特に冷え性の方や冬場に食べる際は生姜など温性の食材と組み合わせると良いでしょう。また、アレルギーや食べ合わせにも注意が必要です。
蟹の旬を楽しみながら、その栄養や効能も意識して、健康的に取り入れてみてはいかがでしょうか?鍋料理にすれば殻からもキチンなどの栄養素が出るので、より効果的に蟹の恵みを受けることができますよ。
参考文献

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