
こんにちは
どうなさいましたか?

ストレスにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
「最近イライラしやすい」「夜なかなか眠れない」「ストレスで胃の調子が悪い」
そんなお悩みを抱えていませんか?
現代社会では、仕事や人間関係、環境の変化など、さまざまなストレスにさらされる機会が多いですよね。
そんなストレスが原因となる不調には、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) という漢方薬が力を発揮してくれることがあります。
この漢方薬は、イライラしやすい、怒りっぽい、不眠、更年期障害、吐き気、食欲不振 など、ストレスが関わるさまざまな症状に使われています。
今回は、抑肝散加陳皮半夏がどのようにストレスによる不調を改善してくれるのか、やさしく解説していきますね。
抑肝散加陳皮半夏とストレスにはどんな関係がありますか?
抑肝散加陳皮半夏は、気の滞りを解消して、ストレスによる症状を和らげてくれる漢方薬 です。
東洋医学では、心が穏やかでのびのびと安らかな状態でいるためには、肝気(かんき) の働きが正常であることが大切だと考えています。
肝気とは、全身の気の流れをスムーズにコントロールする働きのことです。
この肝気には、全身の筋肉をコントロールする働き もあります。
肝気が滞ってしまうと、胸が張る、脇が痛むなど、全身の筋肉が緊張した状態が続きます。
この緊張状態が長く続くと、脳の興奮が強まって、イライラや怒りっぽさにつながるのです。
これは、交感神経が興奮しているときの状態 ととてもよく似ています。
交感神経が優位になると、体では次のような変化が起こります。
- 瞳孔が開く
- 涙の分泌が減る
- 胃腸の働きが低下する
- 筋肉が緊張する
- 呼吸が速くなる
- 血圧が上がる
- 心拍数が増える
- 血糖値が上昇する
同じように、気が滞っていると、ある場所では体の働きが高まり、別の場所では働きが低下してしまいます。
体全体の勢いが盛んな方 の場合、肝気が滞ることで気の勢いがさらにコントロールできなくなります。
強い勢いによって熱が生じ、頭の方へと向かうことで、イライラ、不眠、発熱、吐き気 などの症状が現れやすくなります。
一方、体の弱い方 の場合は、気が内側にこもって抑圧されたような滞りの状態になります。
全体的に巡りの勢いが弱く、中心部に集中して広がりのない状態です。
そうなると、気によって体の中の水分や血液も巡らなくなり、むくみ、乾燥による不眠、食欲不振 などの症状につながります。
抑肝散加陳皮半夏はどんな漢方薬ですか?
抑肝散加陳皮半夏は、9種類の生薬 で構成されています。
これらの生薬が協力して、肝気の滞りを解消し、気血の巡りを改善することで、ストレスによるさまざまな症状を和らげてくれます。
含まれる生薬:
- 柴胡(さいこ): 滞った肝気を発散させる
- 釣藤鈎(ちょうとうこう): 脳や筋肉の興奮を鎮める
- 白朮(びゃくじゅつ): お腹の働きを高める
- 茯苓(ぶくりょう): 余分な水分を排出する
- 当帰(とうき): 血液を補充する
- 川芎(せんきゅう): 血行を改善する
- 陳皮(ちんぴ): 気を下向きに降ろす
- 半夏(はんげ): 停滞した水分を動かす
- 甘草(かんぞう): 気と潤いを補う
どうしてストレスの症状が良くなるのですか?
抑肝散加陳皮半夏に含まれる生薬は、それぞれが役割を持って働いています。
柴胡 は、滞ってこもっている肝気を巡らせて、体の表面へと気を導きながら熱を発散させます。
釣藤鈎 は、肝気や脳の働きと関係の深い心の熱を冷まし、気を下向きに引き降ろすことで、脳や筋肉の興奮や痙攣を鎮めてくれます。
釣藤鈎には血圧を下げる働きもあるため、高血圧によるめまいやふらつき、手足のしびれにも効果があることが知られています。
これら柴胡と釣藤鈎の働きによって、滞っていた気は発散しながら外向きに動き始め、気の滞りで生じていた熱も解放されます。
さらに、陳皮と半夏 も気を下向きに引き降ろしてくれます。
上向きに強い勢いで頭の方へ上昇していた気を、停滞している余分な水分と一緒に、尿から排出してくれるのです。
白朮と茯苓 は、お腹の働きを高めながら、停滞している余分な水分の巡りを改善してくれます。
当帰と川芎 で、血液を補充しながら血行を改善し、血液を体の上の方へと届けることで、血が届かなかったことによる症状を緩和します。
川芎にも気の滞りを解消する働きがあり、柴胡とともに滞った気を発散してくれます。
これらの働きを、甘草 による気と潤いの補充が支えています。
9種類の生薬の働きをまとめると:
- こもった気と熱は発散しつつ下向きに引き降ろす
- 水は巡らせながら下に誘導して尿から排出する
- 血は上向きに届ける
このように、気の固まった状態を解消することを中心に、水も血も全身を巡るように構成されているのです。
また、白朮、茯苓、陳皮、半夏によってお腹の働きを応援することで、ドロドロになってしまった余分な水分を排除するとともに、肝気を穏やかにするための潤いの補充も助けてくれます。
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
抑肝散加陳皮半夏は、肝気の滞りによって起こる全身的なさまざまな症状 に使われます。
ただし、当帰や甘草を除いては潤す作用のものはなく、その他のほとんどの生薬が乾かす作用を持っています。
抑肝散加陳皮半夏が向いている方:
気の滞りによって、体の中に余分な水分が停滞してしまった状態の方に効果的です。
具体的には、次のような症状がある方におすすめです。
- 神経性の下痢がある
- ストレスでお腹が張って食欲不振になる
- ストレスで吐き気がする
- お腹の中に余分な水分が停滞している感じがある
注意が必要な方:
気の滞りによるストレスはあるけれど、体全体が乾燥してしまっている方 は注意が必要です。
抑肝散加陳皮半夏を単独で使っていると、全体的に乾きの症状が強くなり、場合によっては症状が悪化することがあります。
また、熱を冷ます作用はほとんどありません ので、ストレスによって熱の症状が強くなるような場合にも配慮が必要です。
このような場合には、体を潤してくれる漢方薬や、熱を冷ます漢方薬を合わせて使うと、お互いの働きを助け合ってくれます。
まとめ
今回は、ストレスと関係のある症状を改善する漢方として、抑肝散加陳皮半夏をご紹介しました。
抑肝散加陳皮半夏は、気の滞りを解消して神経の興奮を鎮め、筋肉の痙攣を穏やかにしながら、気血の巡りを改善してくれます。
イライラしやすい、怒りっぽい、不眠、更年期障害、吐き気、食欲不振 などの症状でお悩みの方に役立つ漢方薬です。
気が上下に解放され、血行も改善し、お腹の中に停滞している水分も排除されることで、ストレスによって滞っていたものが全身で巡りを回復していきます。
ただし、漢方薬全体としては乾燥させる働きに偏っていますので、体の熱の勢いが強い方や乾燥の症状が目立つ方 は、単独での使用に注意が必要です。
症状が複雑な場合や、ご自身に合った漢方薬がわからない場合には、単独では効果が出にくいこともあります。
当店では漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談くださいね。
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