
こんにちは
どうなさいましたか?

陰嚢湿疹にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
夜、ようやく一日の疲れを癒すために布団に入ったのに、陰部のかゆみが襲ってくる…。そんな悩みを抱えている方は意外と多いのではないでしょうか。特に症状が長期間続くと、睡眠の質も低下し、日常生活にも影響を及ぼします。
この記事では、布団に入ると陰部がかゆくなる症状について、東洋医学の観点から原因を探り、自然な方法で改善するためのアプローチをご紹介します。西洋医学とは異なる視点から体質を見直すことで、根本的な改善を目指しましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 61歳の男性
- 身長は170cm
- 体重は61kg
- BMIは21.11
主な症状:
- 布団に入ると陰部がかゆくなる(約8割の確率)
- この状態が10年位続いている
- 昼間は週に1回程度しかかゆくならない
- 舌に溝や割れ目がある
- 舌の苔は剥れているところがある
- 舌の苔の水分が水っぽい
生活習慣:
- 睡眠時間は9時間
- 脂っこいものはほとんど食べない
- 玄米、豆腐、魚、味噌汁、鶏肉などが中心の食生活
- 仕事のストレスはあまり感じていない
- 通院歴はなく、市販薬を5〜6回使用した程度
- 掛け布団を剥いで風通しを良くするとかゆみが収まる傾向
陰部のかゆみはなぜ起こるのでしょうか?
陰部のかゆみの根本的な原因は、気血の流れが悪くなってギクシャクしていることにあります。特に陰部の表層において気血の流れが滞っていると考えられます。
陰部は体の下部に位置しているため、余分な水分などが停滞しやすく、「湿痰(しつたん)」や「湿熱(しつねつ)」といった状態になりやすい部位です。このような状態が痒みを引き起こす主な要因となっています。
なぜ布団に入ると症状が悪化するのでしょうか?
この方の場合、布団に入ると痒みが強くなるという特徴があります。これは、布団が体の熱を外に逃がさないガードの役割をしているからです。布団に入ることで陰部に熱がこもりやすくなります。
また、昼間はあまり痒くないのに夜になると症状が強まることから、体の潤いが少し不足気味である可能性が高いです。夜は陰の時間帯であり、潤いの不足がある場合は症状が強まりやすくなります。
舌に溝や割れ目があり、舌の苔が剥れているところがあることも、潤いの不足を示唆しています。
さらに、喉の渇きがないことから、体が必要とする以上に水分を摂取している可能性があります。過剰な水分は体内で適切に巡らず、重力によって陰部周辺に停滞します。
潤いの不足から生じる相対的な熱は、停滞している水分を濃縮してドロドロにし、気血の流れを乱します。これが布団で熱がこもることで痒みとなって現れていると考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
1. 水分摂取の見直し
喉の渇きがないという症状から、必要以上に水分を摂っている可能性があります。体内の水分は本来、体の熱で温められて巡っていますが、過剰な水分は途中で取り残され、重さで下へと落ちていきます。
そうして落ちた水分は動きが悪くなって停滞し、症状の原因となります。もし水分の摂りすぎに心当たりがある場合は:
- 喉の渇きを感じてから水分を取るようにする
- 一度にたくさん飲まないよう心がける
2. 適度な運動の実施
夢を見ることが多い、舌に溝や割れ目があるなどの症状から、潤いの不足も見られます。また、舌の苔が剥れている、舌の苔の水分が水っぽいといった点から、体内の水の動きが悪いことも察せられます。
局所的な潤いの不足にも繋がっていると考えられますので、運動不足の場合は:
- 軽めの散歩をするなど体を動かす
- 適度な運動で体内に熱を作り、水の巡りを良くする
3. 寝具環境の改善
症状が布団に入った時に悪化し、掛け布団を剥ぐと改善するという特徴から:
- 通気性の良い寝具を選ぶ
- 就寝前に部屋の換気を行う
- 寝る前に陰部周辺の血行を促進するためのストレッチを軽く行う
この体質に効果が期待できる漢方薬
この方のような症状改善に効果が期待できる漢方薬としては以下のようなものがあります。ただし、あくまで水分代謝の乱れと熱のこもりがある体質の一般的な改善薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。
- 六味丸(ろくみがん):腎陰虚(じんいんきょ)といわれる水分バランスの乱れを整える漢方薬で、体の潤い不足を改善します。
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):下半身の熱や湿りを取り除き、陰部のかゆみや熱感に効果が期待できます。
- 清心蓮子飲(せいしんれんしいん):心と腎の不調を整え、水分代謝を改善する働きがあります。
症状が複雑な場合には、これらの漢方薬を単独で使用しても十分な効果が得られないことがあります。当店では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
布団に入ると陰部がかゆくなる症状は、東洋医学の観点から見ると、体内の水分バランスの乱れと気血の流れの停滞が原因と考えられます。
この改善には:
- 適切な水分摂取(喉が渇いてから飲む)
- 軽い運動による気血の流れの促進
- 寝具環境の見直し
といった自然療法が効果的です。症状が長く続いている場合は、専門家による漢方相談も検討してみてください。
根本的な体質改善によって、夜の不快なかゆみから解放され、質の良い睡眠を取り戻しましょう。
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