私たちの食卓でおなじみのイカ。刺身やから揚げ、煮物など様々な料理で楽しまれていますが、実は東洋医学的にも優れた効能を持つ食材なのをご存知でしょうか?
イカは古くから「烏賊」と親しまれてきました。カラスがイカを食べようとして逆に捕らえられたという故事から「烏賊」という漢字が付いたという面白い由来もあります。
今回は、そんなイカの薬膳としての効能や活用法について詳しく解説していきます。健康維持や特定の症状改善に役立つイカの驚くべきパワーを知って、日々の食生活に取り入れてみませんか?
イカとは?基本情報を知ろう
性味と帰経は、東洋医学において食材の性質を理解する重要な要素です。
性味と帰経
【性味/帰経】
- 性味:平、鹹
- 帰経:肝、腎
イカは「平」の性質を持ち、極端な寒熱の偏りがなく、体を穏やかに整えてくれます。味は「鹹(かん)」で、塩味を持ちます。東洋医学では鹹味は腎に作用するとされ、イカも肝と腎に作用します。
イカの薬膳効果について
イカにはどのような薬効があるのでしょうか?
イカには「養血滋陰(ようけつじいん)」という大きな効能があります。これは血を養い、陰液を増やす働きのことです。
【主な薬効】
- 養血滋陰(血を養い陰液を増やす)
- 貧血の改善
- 血虚閉経(血の不足による月経不順)の改善
- 出血症状の緩和
- 帯下(おりもの)の異常改善
特に女性の方にとって、イカは月経不順や貧血に効果を発揮する心強い味方と言えるでしょう。
また、現代医学的な観点からみると、イカには以下のような効果も期待できます:
- 動脈硬化の予防
- 視力低下の防止
- 心筋梗塞のリスク軽減
- 肝機能の増強
これらの効果は、イカに含まれる豊富なタウリンの働きによるものです。タウリンは脂質代謝を改善し、血中コレステロールの増加を抑制する効果があります。毎日の食事にイカを取り入れることで、心血管系の健康維持に役立てることができますね。
イカを食べる際の注意点
Q:イカを食べる際に注意すべきことはありますか?
イカは多くの方に適した食材ですが、体質によっては控えめにした方が良い場合もあります。
【禁忌・使用上の注意】
- 気血両虚証(気と血の両方が不足している状態)の方
- 陽虚証(体を温める陽の気が不足している状態)の方
- 食積痰湿証(消化不良や痰、湿の停滞がある状態)の方
- 高齢者は控えめに摂取すること
特に体が冷えやすい方や消化機能が弱っている方は、イカを食べる量や頻度に注意しましょう。また、アレルギー体質の方はイカによるアレルギー反応に注意が必要です。
イカの豆知識と活用法
Q:イカに関する豆知識はありますか?
イカにまつわる興味深い情報をいくつかご紹介します。
イカの骨は「鳥賊骨(うぞくこつ)」という漢方薬として使われています。収れん作用があり、おりものの異常や早漏の改善のほか、胃腸病の治療薬としても活用されているんですよ。
【便利な食べ方】
- 炒め物:短時間で火が通るため、野菜と一緒に炒めると歯ごたえのある食感と旨味を楽しめます
- 煮物:大根や里芋と一緒に煮ると、イカの旨味が染み込み、家庭的な味わいになります
- 干物:スルメイカを干した「するめ」は保存性が高く、炙って食べると香ばしさが引き立ちます
- 刺身:新鮮なイカは刺身として食べると、甘みと独特の食感を楽しめます
まとめ:薬膳食材としてのイカの価値
イカは単においしい海の幸というだけでなく、東洋医学的な観点からも価値の高い食材です。「養血滋陰」の働きで血を養い、肝と腎の機能を高める効果があります。
タウリンをはじめとする栄養成分が豊富に含まれ、動脈硬化予防や視力低下防止にも効果があることが分かっています。中医学ではは補血、血脂低下、免疫力向上などの効果がある」と言われています。
ただし、体質によっては向かない場合もあるので、自分の体調に合わせた適切な摂取を心がけましょう。日々の食卓にイカを取り入れて、おいしく健康的な食生活を送ってみてはいかがでしょうか。
様々な調理法で楽しめるイカを、これからは薬膳的な視点も取り入れながら味わってみてください。きっと新たな発見があるはずです。
参考文献

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