ヒステリー球の原因と半夏厚朴湯の効果について【筋肉の緊張を緩めよう】

喉に何かが詰まったような違和感があるのに、検査をしても異常がない…そんなヒステリー球の症状でお悩みではありませんか？

半夏厚朴湯を試してみたけれどなかなか良くならない、できれば薬に頼らずに改善したいという方も多いでしょう。なぜヒステリー球が起こるのか、そして薬以外の方法で改善する方法があるのかについて、今回は詳しくご紹介します。

本記事では、30年以上にわたり漢方薬、気功、自然療法を実践してきた世界中医薬学会連合会認定の国際中医専門員が、ヒステリー球と半夏厚朴湯についての専門知識をわかりやすくお伝えします。

ヒステリー球とは？なぜ起こるのか？

ヒステリー球とは、喉に違和感を感じるのに、飲み込もうとしても吐き出そうとしても取れない状態のことです。そして検査をしても何も異常が見つからないのが特徴です。

ヒステリー球の主な原因

ヒステリー球の根本的な原因は、ストレスや過度の緊張による気の滞りにあります。喉元は解剖学的に狭くなっている場所であり、本来下向きに流れるはずの「気」が、ストレスにより滞ったり逆流したりすることで違和感が生じます。

さらに詳しく見ていくと、以下のような要因が関わっています：

• 気の滞りに水分が巻き込まれる: 単なる気の滞りであれば咳払いで解消されるはずですが、ヒステリー球では「何か詰まっている」という実体感があります。これは余分な水分が関与していることを示しています。
• 食べ過ぎや無理な食事: 食欲がないのに無理して食べると、体内の余分な水分となりヒステリー球の材料になります。
• 喉の軽い炎症: 炎症によって周辺の水分が粘り気を持ち、違和感につながることもあります。

つまり、気の滞りと水の滞りが喉の周辺で起こることが根本的な原因なのです。

半夏厚朴湯はなぜ効かないことがあるのか？

半夏厚朴湯は漢方薬の中でもお腹を中心に気の滞りを解消し、余分な水分を排除する働きがある薬です。以下の5つの生薬で構成されています：

• 半夏: ドロドロした水分を排除し、気の滞りを下向きに動かす
• 厚朴: お腹の動きが悪い場合に気の滞りを下向きに引き降ろし、余分な水分を排除する
• 茯苓: 停滞している水分の巡りを促し、体内の水の動きを良くする
• 蘇葉: 滞っている気を発散させ、腸管の動きを促進する
• 生姜: お腹の働きを応援し、停滞している水分を外向きに動かす

これらの働きにより、喉元に停滞している気とドロドロした水分による違和感が解消されるはずなのですが、効果を感じられない方も少なくありません。

半夏厚朴湯が効かない主な理由

1. 喉に炎症がある場合: 半夏厚朴湯は茯苓以外の成分がすべて体を温める作用があります。喉の炎症による熱がある場合、かえって症状を悪化させることも。
2. 体の乾燥が原因の場合: 過労や夜更かしによる長期的なストレスで体が乾燥している方の場合、半夏厚朴湯の乾燥させる働きがさらに体質を悪化させることがあります。

このような場合には、単に半夏厚朴湯を飲むだけでなく、原因に合わせた漢方薬を選ぶ必要があります。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

ヒステリー球体質を改善するには、全身の筋肉の緊張を緩めることが最もおすすめです。

ヒステリー球の主な原因である「ストレスや過度の緊張」は、体の筋肉の緊張と密接に関連しています。リラックスした状態でストレスを感じることは稀です。実際、精神科で処方される薬の中には筋肉の緊張を緩める作用を持つものもあり、これは身体の緊張をほぐすことで心の緊張も和らげる効果を狙っています。

特に緊張しやすい部位とその緩め方

緊張が強く見られる場所:

• 顎の噛みしめ
• 喉を締める癖
• 前腕の緊張
• みぞおちの張り
• 背骨両脇の筋肉の突っ張り
• 下肢のスジの突っ張り（運動不足が原因）

緊張を緩める簡単な方法:

1. まずは顎の噛みしめや喉を締める癖を意識的に緩める習慣をつけましょう
2. お風呂上がりや寝る前に、前腕、足、みぞおちなど気になる部分をマッサージやストレッチで緩めていきましょう
3. 背中は自分でマッサージしにくいので、仰向けになってテニスボールを背中の下に置き、体重をかけて気持ちよく押すのがおすすめです（ケガに注意してください）

マッサージやストレッチを行う際のコツは、一か所にじっくり時間をかけて、ジワーと穏やかに緩めることです。無理せず、気持ちよさを感じながら続けることが大切です。

ヒステリー球に効果が期待できる漢方薬

ヒステリー球の症状改善に効果が期待できる代表的な漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これらはあくまで一般的な情報であり、個人の体質や症状によって合う漢方薬は異なります。

• 半夏厚朴湯: 気の滞りと余分な水分を排除する基本的な漢方薬。ストレスによる喉の違和感に。
• 柴胡桂枝湯: ストレスによる気の滞りに加え、筋肉の緊張を和らげる作用がある漢方薬。
• 加味逍遙散: 体の熱を冷まし、イライラを鎮める作用がある漢方薬。

症状が複雑な場合には、これらの漢方薬を単独で使用しても効果が見られないことがあります。ピヨの漢方では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ：ヒステリー球の改善に向けて

ヒステリー球は、ストレスや過度の緊張による気の滞りと余分な水の停滞が原因で起こります。食べ過ぎや喉の炎症、過労や夜更かしによる体の乾燥なども関係しています。

半夏厚朴湯は気と水の滞りを解消する効果がありますが、体を温めて乾かす作用があるため、体質や原因によっては効果が現れにくいこともあります。

ヒステリー球体質を改善するためには、マッサージやストレッチで筋肉の緊張をほぐすことが効果的です。特に顎や喉、前腕、背中などの緊張を意識的に緩めることで、気や水分の巡りが良くなり、症状の改善につながります。

体質に合わせた漢方薬と生活習慣の改善を組み合わせることで、ヒステリー球の症状はより効果的に改善できるでしょう。

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