不安感が止まらないときに使われる漢方薬「柴胡桂枝乾姜湯」とは?

不安感
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

不安感にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

まだ起きていないことに対して、あれこれと考えが止まらなくなってしまう。そんな経験はありませんか?

「これをしたら、こうなって、それがこうなって…」と頭の中で考えがぐるぐると巡り、不安感が増していく。夜、布団に入っても考えが止まらず、どんどん頭が冴えてきて眠れなくなってしまう。

こうした症状は、脳の活動が過剰になっていることが原因かもしれません。

本記事では、不安感が強くなる仕組みと、それを和らげる漢方薬「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」について、中医学の視点からやさしく解説します。

どうして不安感が強くなるのですか?

脳は、働きを穏やかにするための潤いが不足すると、活動が過剰になりすぎてしまいます。その結果、考えが止まらなくなったり、心が落ち着かなくなったり、不安感を強く感じるようになります。

脳の働きと「心」の関係

東洋医学では、脳の働きを「心(しん)」と呼びます。心は、様々な情報を判断し、体に必要な命令を与える、いわば体全体を統括する王様のような存在です。

王様は常に活動を求められますから、その活動によって生じた熱を適度に冷却しないと、働きすぎてしまうのです。

コンピューターで例えると

これはコンピューターのCPUに似ています。CPUは常に計算を行い、熱を発生させます。そのため、ファンや冷却水で適温に保つ必要がありますね。

脳も同じです。活動によって生じた熱が適度に冷却されていないと、脳の活動が過剰になりすぎてしまいます。

その結果、次のような症状が現れるようになります:

  • 考えがぐるぐると止まらなくなる
  • 精神が穏やかさを保てなくなる
  • 不安感を強く感じるようになる
  • 心が渇いたように感じ落ち着かなくなる

その他の症状について

東洋医学では「心は血脈を司る」ともいい、心臓のポンプ作用にも関係しています。そのため、心の働きが過剰になると、動悸となって現れることもあります。

また、心の活動が盛んになると、気を巡らせる働きが滞るようになります。その熱が喉で停滞して乾燥させると、喉の渇きを感じるようになります。

さらに、喉が渇くからといって水分を取り続けてしまうと、気の滞りの影響で水の巡りが悪くなります。体の内側が冷えて、さらに水が喉に届けられなくなる悪循環に陥ることもあるのです。

柴胡桂枝乾姜湯はどんな漢方薬ですか?

柴胡桂枝乾姜湯は、7種類の生薬で構成される漢方薬です。体の芯部を温めながら、停滞している気を発散させて熱を冷まし、脳の活動を穏やかにしてくれます。

配合されている生薬は以下の通りです:

  • 柴胡(さいこ): 滞った気を発散させる
  • 黄芩(おうごん): こもった熱を冷ます
  • 桂枝(けいし): 体の芯部を温める
  • 乾姜(かんきょう): お腹を温める
  • 栝楼根(かろこん): 熱を冷まし潤いを補う
  • 牡蛎(ぼれい): 心の過剰な働きを鎮める
  • 甘草(かんぞう): 潤いを補充する

どうして不安感が良くなるのですか?

柴胡桂枝乾姜湯は、3つのステップで不安感の解消をサポートします。

ステップ1:滞りを解消する

まず、柴胡と黄芩が、滞っている気や熱、余分な水分を排除します。

柴胡は滞った気を解放して上向きに上昇させ、体の表面から発散させます。黄芩は体の上を中心とした部位のこもった熱を冷まし、利尿を促すことで余分な水分を下向きに引き降ろします。

ステップ2:芯部を温めて巡りを改善する

次に、桂枝と乾姜が、体の芯部を温めて、お腹の中の気や水の巡りを応援します。

特に桂枝には、体の上の方に浮き上がっている熱を、体の芯部に引き降ろしてくる働きがあります。これによっても、心の過剰な働きの解消につながります。

ステップ3:熱を鎮めて潤いを補充する

最後に、栝楼根、牡蛎、甘草が、心の過剰な働きに対して、熱を鎮め、潤いを補充することで解決してくれます。

栝楼根は、体の表面部分の熱を冷ましながら潤いを補充してくれます。牡蛎は、心の過剰な働きを熱を引き降ろすことによって解消し、精神活動が穏やかになるのを手助けします。

甘草は、体全体に潤いを補充しつつ、気の材料を補うことでこれらの働きをバックアップしてくれます。

結果として

これらの働きによって、熱による脳の過剰な働きが解消され、気や水の巡りが改善されます。

そうなることで、精神活動が穏やかになり、不安感が解消される土台が提供されます。また、喉の周辺の渇きが解消され、体の芯部が温められることで、喉の渇きの解消にもつながっていきます。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

柴胡桂枝乾姜湯は、次のような特徴を持つ方に向いています。

こんな方におすすめです:

  • まだ起きていないことへの不安が止まらない方
  • 考えが堂々巡りになってしまう方
  • 夜、布団に入っても考えが止まらず眠れない方
  • 動悸を感じることがある方
  • 喉の渇きを感じやすい方
  • 体の芯部に冷えを感じながらも、上半身に熱がこもる感じがある方

特に効果的なのは:

脳の過剰な働きによって、精神活動が穏やかに落ち着いていられない状態の方です。頭に熱が集中しているような感覚があり、それが不安感や不眠につながっている場合に適しています。

まとめ

今回は、不安感を感じる原因と、気や水の巡りが悪くなったことによって起きる喉の渇きを解消する漢方薬として、柴胡桂枝乾姜湯をご紹介しました。

不安感は、脳の過剰な働きによって、考えが止まらなくなってしまうことや、精神活動が穏やかに落ち着いていられないことによって起こっています。

まだ起きてもいないことに対して、誰であってもある程度は次に起きることを予測して行動しています。しかし、脳の活動が過剰になりすぎると、考えがいつまでも延々と続く堂々巡りに陥るようになってしまいます。

柴胡桂枝乾姜湯は、体の芯部を温めながら、停滞している気を発散させて熱を冷まし、脳の活動を穏やかにしてくれる漢方薬です。

日常生活でできるケアも

頭に上がった熱を、日中に適度に運動することで巡らせたり、瞑想や呼吸法で丹田に意識を集中することで降ろすことも、不眠も含めた脳の過剰な働きによる不安を解消するのに効果的です。

特に、**吐く呼吸を長めにすると、副交感神経の働きが優位になって、心が穏やかな状態になります。**深い瞑想に入りやすくなるため、興奮しやすい方が瞑想をする場合には便利ですので、お試しください。

症状が複雑な場合には、柴胡桂枝乾姜湯単独では十分な効果が得られないこともあります。当店では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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