
こんにちは
どうなさいましたか?

生理痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
毎月訪れる生理痛。痛み止めを飲んでも効果がなく、夜は眠れない、吐き気がする、座っていても横になっていてもクラクラするほど痛い…。そんな辛い症状に悩まされていませんか?
生理痛は「血の巡りの問題」が原因であることがあります。中医学では、この血の巡りが悪い状態を「瘀血(おけつ)」と呼んでいます。
今回は、**つらい生理痛を根本から改善する漢方薬「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」**について、詳しくご紹介します。血の巡りを整えることで、生理痛だけでなく頭痛や肩こりまで楽になる可能性がありますよ。
生理痛はどうして起こるのですか?
生理の仕組みから理解しましょう
古い東洋医学の本『黄帝内経素問』には、女性の身体の発達について書かれています。7歳頃から新陳代謝が活発になり、14歳になると身体の土台が充実してきます。そして子宮に栄養を与える血液の流れが盛んになり、月経が始まって妊娠が可能になるのです。
生理のサイクルを詳しく見てみましょう。
生理が始まってから約2週間後に排卵が起こります。その後の約2週間は、妊娠の準備のために子宮へ向かって濃厚な気血が降りてきます。この時降りてくる気血は、子宮粘膜を増殖させるため栄養が豊富で、サラサラというよりドロドロとした状態です。
渋滞のような状態が痛みを生む
ドロドロとした濃厚な血液が狭い部位に一か所に集中して集まるため、どうしても渋滞しやすく流れが悪くなります。これは連休時の混雑と同じです。同じお店に沢山の人が一斉に押し寄せて、動きが取れない状態ですね。
ここに整理をする警備員がやってきて、てきぱきと人の流れを誘導できれば、混雑は変わらなくても人の流れは改善します。しかし、適切に誘導できない警備員では、滞りは解消されません。
同じように、子宮へ向かう濃厚な気血を誘導するのは「気」が行っています。普段から気の巡りが悪い方の場合、たとえ普段は気の滞りによる症状を感じていなくても、気血の濃厚さと混雑によって誘導が上手くいかず、痛みを感じるようになるのです。
生理開始時にさらに痛みが強まる理由
排卵後約2週間が経過すると、身体は子宮での妊娠準備を中止します。そして必要なくなった子宮粘膜を新しく入れ替えるため外へ排出していき、生理が始まります。
この時の出血は、これまでのように気に誘導されて出るのではありません。閉じていた栓を開いて排出するように出口が開き、そこから一気に活発な勢いで血液が出ていきます。
そのため、ドロドロした血液や余分な水分が居座って流れを邪魔していると、強い痛みになります。生理前は何とか痛み止めで凌げた程度でも、月経血の排出が始まった初日からは我慢できないほどの痛みになることもあるのです。
痛みの特徴と症状
血液の流れが滞っている場合の痛みには、こんな特徴があります:
- 深い部分を刃物でえぐられるような痛み
- 中心部に絞られるような感覚
- 痛い部位を直接マッサージすると余計に痛くなる
- 月経血に紫色や黒っぽい血の塊が混じる
- 食欲がわかない
- 吐き気を感じることもある
これらの症状は、血液の流れが下部で停滞しているため、腸管の動きもスムーズに下向きに巡らなくなってしまうことで起こります。
桂枝茯苓丸はどんな漢方薬ですか?
桂枝茯苓丸は、5種類の生薬で構成された漢方薬です。それぞれの生薬が協力して、滞っている血液や水分を巡らせてくれます。
配合されている生薬
- 桂皮(けいひ): 身体の芯部を温める
- 芍薬(しゃくやく): 筋肉の緊張を緩める
- 茯苓(ぶくりょう): 水分を巡らせる
- 牡丹皮(ぼたんぴ): 熱を冷まして血を巡らせる
- 桃仁(とうにん): 血を下向きに動かして腸を潤す
どうして生理痛が良くなるのですか?
桂枝茯苓丸の5つの生薬が、それぞれ異なる働きで血の巡りを改善します。詳しく見ていきましょう。
桂皮で身体の芯から温める
桂皮は体の芯部の熱源を温めます。冷えによって塞がって通りにくくなっている気血の流れを、血管を拡張しながら上向きに回復させます。さらに、体の上の方へ浮き上がっている熱を芯部へ引き戻すことで、停滞していた気血の通り道が確保されます。
芍薬で筋肉の緊張をほぐす
芍薬は潤いを補充することで筋肉の緊張を緩めます。心も体もともに鎮静するようになり、筋肉の過度の緊張によって気血の流れが妨げられるのを防ぎます。さらに、体の表層で停滞している余分な水分を下の方へ引き降ろして排除する働きもあります。
この桂皮と芍薬の組み合わせによって、気血の上向き下向きの大きな流れが確保されるため、停滞していた巡りが促されます。
茯苓で水分を巡らせる
茯苓はお腹の中に停滞している水分を上下に巡らせます。余分な水分は下向きに引き降ろして尿として排出されるため、滞っている水分が排除されます。血管への圧迫が少なくなることで、血液の流れが改善します。
桂皮と茯苓が組み合わさると、体の深い部分に留まれなかった気が急激に上昇して頭に熱が浮き上がっている状態を解消してくれます。これにより、めまいやのぼせが楽になります。
牡丹皮で熱を冷まして血を巡らせる
牡丹皮は熱を冷ましながら、停滞している血液を全身に巡らせます。熱によって煮詰まってドロドロになった血液の流れが、さらさらと巡るようになります。熱を冷ましながら血液が全身を巡っていくので、身体全体の熱が冷まされます。
牡丹皮も桂皮も血液の流れを改善しますが、桂皮は温めながら巡らせるのに対し、牡丹皮は熱を冷ましながら巡らせます。桂皮は冷えによる滞り、牡丹皮は熱による滞りに適しているため、この組み合わせによって血液の流れが改善しやすくなります。
桃仁で血を下向きに動かす
桃仁は滞っている血液を下向きに動かすとともに、腸を潤します。この下向きの動きに加えて腸を潤すため、血液の巡りに滞りがあって便秘になるような場合に効果があります。
5つの生薬が協力して巡りを改善
もう一度整理しましょう:
- 桂皮で体を温めて血液を巡らせる
- 芍薬で筋肉の緊張を緩ませて水を下向きに引き降ろす
- 茯苓でお腹の中の水分を上下に巡らせる
- 牡丹皮で熱を冷ましながら全身に血液を巡らせる
- 桃仁で血液を下向きに引き降ろす
これらの働きによって、体に余分な熱が生じて局所的に血液の巡りが悪くなり、ドロドロ血液やドロドロ水分になっている状態を改善します。熱を冷まし、余分な水分は巡らせ、血液の巡りを下向きに動かして滞りを解消してくれるのです。
その結果、血液の巡りが悪くなったことで生じている症状が改善されます:
- お腹の痛み
- 頭痛
- 肩こり
- 打撲の痛み
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
桂枝茯苓丸は、血の巡りが悪く熱がこもりやすいタイプの方に適しています。
こんな特徴がある方におすすめです:
- 月経血に紫色や黒っぽい血の塊が混じる
- 生理が始まると強い痛みがある
- 深い部分をえぐられるような痛みを感じる
- 痛い部位をマッサージすると余計に痛くなる
- 生理中に吐き気がある
- 頭痛や肩こりもある
- のぼせやめまいを感じる
- 便秘がちである
使う際の注意点
ただし、桂枝茯苓丸には注意することがあります。
桂枝茯苓丸には体を冷やし、血液を下向きに引き降ろす性質があります。そのため、身体全体が冷えている方や、血液を上向きに引き上げられない体の弱さがある方の場合、かえって症状が悪化することがあります。
そのような場合には、その他の漢方薬と合わせて使うことで弱さを補うことが必要です。症状が複雑な場合には単独では効果がない場合もありますので、当店では一人ひとりの体質に合わせた漢方相談を行っております。お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、生理痛と桂枝茯苓丸についてお話ししました。
月経血の排出が始まると痛みが強くなる方の特徴には、血液の巡りを邪魔するモノがあるため排出する流れが悪くなっていることがあります。そのため、桂枝茯苓丸で血液の滞りを解消することで、痛みが改善されます。
桂枝茯苓丸は5つの生薬の働きで:
- 体を温めながら血を巡らせる
- 筋肉の緊張を緩める
- 余分な水分を排出する
- 熱を冷まして血をさらさらにする
- 血を下向きに動かして腸を潤す
これらの作用によって、ドロドロとした血の滞りを解消し、生理痛だけでなく頭痛や肩こり、めまいなども改善してくれます。
また、普段から体質に合わせて適度な運動や自然療法などを取り入れて、血液の巡りの良い状態を維持すると良いでしょう。
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