【健康と栄養のQ&A】ビーツ(甜菜)の効能と賢い取り入れ方

野菜果物類

鮮やかな赤紫色が印象的なビーツ(甜菜)。その歴史は古く、古代から人々の食卓を彩ってきました。当初は葉だけが食用とされていましたが、ローマ時代になると根も食べられるようになり、15世紀頃にはヨーロッパ全土で根を食用とする品種が広く普及しました。

今日では、特に東欧やロシアの伝統料理に欠かせない食材として知られ、ウクライナの国民食「ボルシチ」の主役として世界中で親しまれています。

そんなビーツには、現代栄養学だけでなく、東洋医学的にも注目すべき素晴らしい効能があります。今回は漢方の視点からビーツの魅力を掘り下げてみましょう。

ビーツ(甜菜)とは何ですか?

ビーツ(甜菜/てんさい)は、ヒユ科の植物で、肥大した根を食用とします。日本ではテーブルビートとも呼ばれ、鮮やかな赤紫色の根菜として知られています。

その赤紫色は「ベタシアニン」という天然の色素によるもので、強力な抗酸化作用を持つことが知られています。ビーツは気・血・水の巡りを良くし、胃腸の機能を整えて消化不良を改善する働きがあります。

性味/帰経

  • 性味:涼、平、甘
  • 帰経:肺、脾、胃、肝、腎

Q2: ビーツの主な効能・効果は何ですか?

漢方の視点からビーツには、主に以下の3つの働きがあります。

1. 活血行瘀(かっけつぎょうお)

血液の流れを良くして、滞った血(瘀血)を取り除く作用があります。このため、吐血や生理出血が止まらない症状、閉経などに効果があるとされています。

2. 清熱解毒(せいねつげどく)

体内の熱を冷まし、毒素を取り除く作用があります。熱による下痢の治療や、腫れ物、皮膚炎などに効果的です。

3. 寛胸下気(かんきょうかき)

胸の緊張をほぐし、気の流れを下方に導く作用があります。胸脇部のむくみや張りを和らげます。

現代栄養学的な効能:

  • 血圧調整作用(ビーツに含まれる硝酸塩が血管を拡張)
  • 運動パフォーマンス向上
  • 抗炎症作用
  • 免疫機能強化
  • 肝機能サポート
  • 貧血予防

ビーツの応用例を教えてください

さまざま状況に合わせてビーツを活用する方法があります。

日常的な取り入れ方:

  • 茹でる・蒸す・ローストする: 皮ごと調理し、後で皮を剥くと栄養素の流出を防げます。
  • サラダに加える: 薄くスライスして生で食べるとシャキシャキとした食感が楽しめます。
  • ピクルスにする: 酢漬けにすると保存性が高まり、さっぱりとした味わいに。
  • スムージーやジュースに: 甘味と栄養価を活かしたドリンクとして人気です。
  • 缶詰や真空パックを活用: 手軽に調理できて便利です。

ビーツを摂取する際の注意点は何ですか?

ビーツは多くの人にとって安全な食材ですが、いくつかの注意点があります。

【禁忌・使用上の注意】

  • 血糖値の高い方は、摂り過ぎに注意しましょう。ビーツには天然の糖分が多く含まれています。
  • ビーツを食べた後、尿や便が赤くなることがありますが、これは「ベータシアニン」による自然な現象で心配はいりません。
  • 尿路結石の既往歴がある方は、ビーツに含まれるシュウ酸の摂取に注意が必要です。
  • 薬を服用中の方、特に血圧降下剤を使用している方は、医師に相談してからビーツを多量に摂取するようにしましょう。

中医学におけるビーツの位置づけは?

中国医学では、ビーツ(甜菜)は以下のような効能があるとされています:

補中益気(ほちゅうえっき):

ビーツの根、茎、葉は中気不足の人に対して、効果的に気を補う作用があります。脾胃の虚弱、腹部膨満、食欲不振などの症状を緩和します。

清熱化痰(せいねつけたん):

ビーツは性質が涼しく、肺の熱によって引き起こされる咳や痰などの症状に対して、熱を取り去り痰を溶かす効果があります。

滑腸潤肺(かっちょうじゅんぱい):

腸の働きを滑らかにし、肺を潤す効果があり、便秘や排便困難などの症状を和らげます。

その他の効能:

貧血予防、ニキビの緩和、抗老化作用、血糖値低下、免疫力強化などの効果もあります。また、骨粗しょう症の予防や緩和にも一定の効果が期待できます。

まとめ:古代から愛されてきた「鮮やかな健康食材」

ビーツ(甜菜)は、その鮮やかな色合いと独特の甘みで料理を彩るだけでなく、東洋医学的にも西洋栄養学的にも優れた効能を持つ食材です。活血行瘀、清熱解毒、寛胸下気といった漢方的な効能に加え、現代栄養学的にも血圧調整や抗酸化作用など、多くの健康効果が期待できます。

ただし、血糖値が高い方や特定の疾患をお持ちの方は摂取量に注意が必要です。自分の体質や健康状態に合わせて、適量を楽しむようにしましょう。

ボルシチやサラダ、スムージーなど、さまざまな調理法で楽しめるビーツ。この古代から愛されてきた根菜を、ぜひ日々の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか?

あなたも今日からビーツの赤紫色の魅力と健康効果を体験してみませんか?

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