
こんにちは
どうなさいましたか?

二日酔いにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
暑い夏の日、冷えたビールがのどを潤す感覚は格別ですよね。しかし「ビールは水分補給にならない」という話を聞いたことはありませんか?これは本当なのでしょうか?
今回は、ビールが水分補給として適さない理由を東洋医学の視点から詳しく解説します。このお話を通して、健康的な水分補給のヒントを得ていただければと思います。
まずはビールの基本から見ていきましょう。
ビールとは何か?その成分と製造過程
ビールは主に大麦を発芽させた麦芽を粉砕し、お湯を混ぜてお粥状にしたものをろ過して麦汁にします。その麦汁にホップを入れて煮沸した後、ビール酵母を入れて発酵させて作られています。
発酵過程で酵母が糖を分解し、炭酸ガスとアルコールが生成されます。つまり、ビールの主な成分は:
- 大麦
- ホップ
- アルコール
- 水
となります。
ビールが水分補給にならない理由とは?
現代医学の見解
現代医学では、ビールによる水分補給が適さない理由として主に2つ挙げられています:
- アルコールによる利尿作用
- アルコール分解に水が必要
東洋医学からの視点
東洋医学においても、ビールは水分補給の代わりにはなりません。その理由を、ビールの成分である「アルコール」「大麦」「水」の3つの側面から解説します。
アルコールの性質
東洋医学では、お酒の性質は「大熱大毒」と表現されます。しかし少量であれば、気血の巡りを改善する効果があり、体に良いとされています。
特に、皮膚表面に留まってしまった余分な水分や冷えを、気血を巡らせて発散させる働きがあります。そのため、筋肉や関節の痛みの解消や、他の漢方薬の効果を高めるために用いられることもあるのです。
大麦と水の性質
大麦には、胃腸の働きを整え、消化を促進する性質があります。また、身体を冷やし、余分な水分を排出する働きもあります。そのため、夏バテによる食欲不振や体の熱こもりを解消する効果が期待できます。
水は体を潤し冷やす性質があります。
なぜビールが水分補給に適さないのか
ビールのアルコール度数は約5%で、残りはほとんどが水です。この比率を見ると、「水の割合が圧倒的に多いのだから、水分補給になるのでは?」という疑問が生じるかもしれません。
しかし東洋医学では、アルコールの摂り過ぎは水分の巡りを妨げるため、ビールは水分補給に適さないと考えます。
長期にわたる多量の飲酒習慣があると、アルコールの熱が生じ、気血を上向きに巡らせる働きが制御できなくなります。この乱れた流れに体内の水分が巻き込まれると、あちこちで流れが停滞し、水分の滞りが生じます。
さらに、体内の水分は体の熱によって動かされているため、大麦の「体を冷やす性質」は、体内の水の動きをさらに悪くさせてしまいます。
また、味のついた飲料は必要以上に飲みやすく、体内に余分な水分が充満して、水を巡らせるための熱源を圧迫し、水の巡りをさらに悪化させます。
この滞った水が、アルコールによって生じた熱で煮詰められると、ドロドロした状態に変化し、動きがますます悪くなります。滞って充満している部位ではむくみが生じる一方、巡りが悪く届かない部位では渇きを感じるようになります。
これが、お酒を飲んだ翌日に顔や足がむくんでいるのに、喉が異常に渇く理由です。
水分の量より質が重要
現代医学では、血液中の栄養や成分が適正値内にあるかどうか、物質的な充実を重視します。
一方、東洋医学では、たとえ材料が少なくても巡りがスムーズであることの方が健康維持には重要だと考えます。少し足りなくても、しっかり巡っていれば必要な部位に届けられるからです。
物質的には充実していても全く動かない状態では、届かない場所では「無い」のと同じことになり、様々な症状として現れます。
水分補給の目的は健康維持です。ビールによる水分補給では健康が維持できないのであれば、東洋医学的にも、アルコールを含む飲料は水分補給の代わりにはならないと言えるのです。
おススメの自然療法を教えて下さい
二日酔いになってしまった場合の対処法をいくつかご紹介します。
体内に入ったアルコールは肝臓で分解され、アセトアルデヒドという物質に変わりますが、これが処理しきれずに血液中に残ると、全身にダメージを与え、頭痛、胸灼け、吐き気などの症状が現れます。
東洋医学的に考えると、体内には動きの悪くなった水分と、こもった熱があり、これらが結びついて「湿熱」と呼ばれる状態が生じています。
余分な水分が体に残ると、水の性質として、体が重く感じ、頭がぼーっとして働かなくなるようになります。
食べ物による二日酔い対策
薬に頼らず、食べ物で予防や改善をするなら、次のものがおすすめです:
- リンゴ
- 蛤(はまぐり)
- 小豆
- キンカン
- 柿
- ライチ
- トマト
- 緑茶
- しじみ
- 味噌
- バナナ
- 西瓜(すいか)
- 梨
- みかん
飲み過ぎた翌日に飲む味噌汁が特においしく感じる理由があります。味噌には、アセトアルデヒドを分解するために必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸が含まれており、アルコールの毒から体を守る働きがあるとされているからです。
豆腐やしじみ、蛤を使った味噌汁は特におすすめです。しじみや味噌はアルコールの毒を処理し、豆腐は余分な熱を冷ます手助けをしてくれます。お酒のお供にぜひどうぞ。
おすすめの漢方薬
二日酔いの症状によって、効果が期待できる漢方薬が異なります。ただし、これらは特定の方向けではなく、それぞれの体質改善に効果が期待できる一般的な漢方薬を紹介しています:
- 五苓散・平胃散: 動きの悪くなった水分が充満している場合に、余分な水分を排出するのに役立ちます
- 黄連解毒湯: 熱と水の両方を処理してくれます。飲酒前に服用すると悪酔いを防ぐ効果も
- 半夏瀉心湯・茵蔯五苓散: 停滞している余分な水分と熱を処理するのに効果的です
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が見られないこともあります。ピヨの漢方では漢方相談も行っていますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、ビールと水分補給と二日酔い解消法についてお話ししました。
残念ながら、ビールは水分補給の代わりにはなりません。東洋医学の観点からも、アルコールは体内の水分バランスを崩し、健康維持という水分補給の本来の目的を果たせないことがわかりました。
二日酔い解消法としては、漢方薬や味噌汁などの食べ物が効果的ですが、最も大切なのは飲み過ぎないことです。ご自分に合うものが見つかりましたら、参考にしてみてください。

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