
こんにちは
どうなさいましたか?

アトピーにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、痒みや乾燥に日々苦しんでいるのではないでしょうか。特に夜間のかゆみは睡眠の質を低下させ、日常生活にも大きな影響を与えます。
東洋医学では、肌の問題は単なる皮膚の表面的なトラブルではなく、体の内側からのサインだと考えています。今回は、アトピー性皮膚炎と食品アレルギーに悩む37歳女性の体験談を通して、東洋医学的な視点から皮膚トラブルの根本原因と改善策をご紹介します。
それでは、この方の体質と症状から、東洋医学ではどのように解釈するのか、一緒に見ていきましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 37歳・女性
- 身長:165cm
- 体重:63kg
- BMI:23.14
皮膚や髪の毛は乾燥気味で、舌の色は赤っぽく、舌の苔や水分も乾燥している状態です。
主な症状:
- アトピー性皮膚炎
- 食品アレルギー(複数)
- 夜間の痒みによる寝つきの悪さ
- 食事制限によるストレスと栄養不足
- 貧血
- 尿の回数は1日1回のみ
- 月経血の量が多く、不正出血もある
- ふらつきやめまい
- 不眠や不安感
- 便通は2〜3日に一度
東洋医学から見る皮膚の痒みや肌荒れの主な原因は?
東洋医学では、痒みの根本原因は「滞り」だと考えています。体内の気や血の流れが滞ることで、様々な症状が現れるのです。では、その滞りを引き起こす主な5つの原因について詳しく見ていきましょう。
1. 体の冷え
東洋医学では、体の芯部の熱(腎陽)によって、体内の水分が温められて循環していると考えます。これはちょうど、お風呂の水が温められて循環しているような状態です。
体が冷えると循環力が低下するため、皮膚に必要な栄養が届きにくくなります。さらに、体の下部が冷えて上部に熱がこもると、皮膚の乾燥や痒みを引き起こします。
また、水の循環が悪くなると、皮膚の下に水分が停滞することで皮膚表面は乾燥しているのに、皮膚の下はむくんでいるという状態になることもあります。
2. お腹の働きの低下
食べ物は、お腹の働き(脾胃の機能)によって消化・吸収され、体に必要な「気」や「血」に変換されて全身へと運ばれます。
このお腹の働きが弱ると、皮膚を作るためのエネルギー源である「気」や、皮膚の材料となる「血」が不足してしまいます。これは家の補修に例えると、「気」は職人さん、「血」は建材のようなものです。どちらが不足しても、お肌の健康は維持できません。
3. 食事の不摂生
食べ物の質や量も皮膚に大きく影響します。東洋医学では以下のように考えられています:
- 脂っこいものの食べ過ぎ:お腹に余分な熱が生じ、胃の潤いを消耗させる
- 甘いものの食べ過ぎ:お腹の中が水飴のようにドロドロになり、栄養の運搬が妨げられる
- 冷たいものの摂り過ぎ:胃腸の働きを低下させる(必要以上の水分摂取も含む)
お腹は体の中心部にあり、全身の気血の流れをリードしています。お腹で滞りが起きると、皮膚には必要な栄養が届かなくなり、肌荒れにつながります。
4. ストレスなどの精神的な影響
お腹で作られた気や血は、肝気によって全身へと届けられます。これは工場で作られた商品が運送業者によって各地に配達されるようなものです。
ストレスで気が滞ると、気血が偏在するようになります。一部では過剰に、一部では不足するという状態になります。皮膚で過剰になれば皮脂分泌が増えますし、不足すれば乾燥します。
さらに、滞った「気」はエネルギーですから、集中すると体にとって不要な熱が生じます。この熱は上向きに上昇し、皮膚を乾燥させたり、常在菌のバランスを崩したりします。
5. 過労や夜更かし
過労や夜更かしが続くと、体全体の潤いの源である腎陰が不足してきます。腎陰は自動車のエンジンを冷ます冷却水やガソリンのようなものです。
腎陰が消耗すると、相対的に腎陽(熱)が過剰になり、体の熱を適切にコントロールできなくなります。その結果、皮膚の乾燥と火照りを感じやすくなります。
また、腎陰は心の穏やかさにも関わるため、不足するとイライラしやすくなり、ストレスを感じやすくなります。
さらに腎気は、成長、発育、骨、細胞、髪の毛などの働きも司っているため、腎気の弱りは早期老化や皮膚状態の悪化をもたらします。
あなたの体質は「熱を制御できない乾燥体質」かもしれません
この方の症状を東洋医学的に分析すると、体の潤いが不足し、熱を制御できなくなっている状態が考えられます。
舌が赤く、舌苔が乾燥していることから、体内に熱がこもり、潤いが不足していることがわかります。また尿の回数が少なく、口の中が乾燥するといった症状も、体内の乾燥を示しています。
月経血の量が多く不正出血があるのは、熱が過剰になり血液を制御できなくなっているためです。これを**「血熱」**と言います。熱によって血が押し出されるため、色も鮮やかな赤色になります。
この方の場合、実際に火力(熱)が強くなっているというより、潤いの不足から相対的に熱が過剰になっていると考えられます。そのため、皮膚は乾燥し、熱の制御ができないことで痒みも生じています。
また、潤いの不足が進むと血液はドロドロになり流れが悪くなるため、月経血に塊が目立ったり、シミやそばかすができやすくなったりします。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質改善には、以下の点に注意することをおすすめします:
- 体の潤いを補う食事を心がける 食品アレルギーがあるとのことですので、アレルギーのない葉物野菜など体を潤し熱を冷ましてくれる食材を中心に食事を組み立てるとよいでしょう。
- 睡眠の質を改善する 体の血や潤いは、睡眠中に補充されます。痒みで眠れないことが多いとのことですが、例え眠れなくても早い時間に部屋を暗くして目を休ませることで、脳の興奮を落ち着かせるようにしましょう。
- 呼吸法で気の流れを整える 吐く息を長めにした呼吸法は、体の興奮を穏やかにするのに効果的です。眠る前に、歯を噛みしめていないか、眉間に力が入っていないかなどを意識しながら呼吸を整えると、眠りにつきやすくなります。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この体質の方には、以下のような漢方薬が効果的かもしれません。ただし、これはあくまで「乾燥による熱の制御ができない体質」の一般的な改善に役立つ漢方薬であり、個人の複雑な症状に合わせたものではありません。
- 六味地黄丸(ろくみじおうがん):腎陰を補い、体の基本的な潤いを増やす効果があります。乾燥による熱感や夜間の不眠にも有効です。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血の巡りを良くし、めまいや貧血に効果があるとされています。冷えを伴う血行不良にも用いられます。
- 滋陰降火湯(じいんこうかとう):潤を補充し、同時に血を補う効果があります。皮膚の乾燥や痒みに効果が期待できます。
症状が複雑な場合には、これらの漢方薬を単独で使用しても十分な効果が得られないことがあります。ピヨの漢方では個人の体質と症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
東洋医学的に見ると、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルは、体内の「滞り」と「乾燥」が大きく関わっています。特に今回ご紹介した方のような、**「体の潤いが不足して熱を制御できない体質」**の場合、以下の点に注意することが大切です:
- 潤いを補う食事を意識する
- 睡眠の質を高める工夫をする
- 呼吸法などでリラックスする習慣をつける
漢方薬の活用も効果的ですが、まずは生活習慣の見直しから始めることで、徐々に体質改善につながっていくでしょう。
アトピーのような慢性的な皮膚トラブルは、すぐに解決するものではありませんが、根気よく体の内側からケアしていくことで、必ず改善の兆しが見えてくるはずです。
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