髪が薄くなり抜け毛に悩む男性の相談【中医学による湿熱体質改善アプローチ】

抜け毛や薄毛は多くの方が悩まれる問題です。市販の発毛剤を試してみても、なかなか改善が見られないという経験はありませんか?

実は中医学の視点から見ると、抜け毛の背景には体質の問題が隠れていることがあります。特に頭皮が脂っぽくてフケが多い方は、体の中に「湿熱」がこもっている可能性があるんですね。

今回は、発毛剤では効果が得られなかった男性の相談事例をもとに、中医学的なアプローチで抜け毛・薄毛の改善方法をご紹介します。

外見的な特徴とお悩みの症状など

今回ご相談いただいた方の基本情報は以下の通りです。

• 性別：男性

身体的特徴：

• 髪質：細い
• 髪のボリューム：ぺったりとしてボリュームが出ない
• 頭皮の状態：脂性でフケが多い
• 尿の色：濃い色

主な症状：
・髪が薄くなってきている
・抜け毛が気になる(特に洗髪時に排水溝に溜まる量が増加)
・外用の発毛剤を試したが効果なし
・口がよく渇く
・化膿性の湿疹ができて痒みがある(体のあちこちにでき、なかなか治らない)

どのような体質だと考えられますか?

中医学の診察では、まず舌の状態を確認します。

この方の舌は紅くなっており、黄色い舌苔がべっとりと付いている状態でした。これは典型的な「湿熱」の兆候なんですね。

湿熱とは、体の中に湿邪(余分な水分や代謝物)がこもり、そこに熱が加わった状態を指します。

この方の場合、口がよく渇く、化膿性湿疹、尿の色が濃いといった症状も見られます。これらはすべて湿熱の典型的な症状です。

頭皮が脂性でフケが多いというのも、湿熱が頭皮に影響している証拠と考えられます。

なぜ湿熱体質だと抜け毛が増えるのですか?

中医学では、抜け毛は腎と血の関係から考えます。

毛母細胞の活動は腎気に関わる機能であり、血の供給が重要なんですね。健康な髪の成長には、十分な栄養(血)とエネルギー(腎気)が必要です。

しかし湿熱体質の方の場合は、湿熱が頭皮で停滞してしまいます。

これが毛根の正常な活動を阻害してしまうんです。いくら外から発毛剤を塗っても、体の中の湿熱が取り除かれない限り、根本的な改善は難しいということですね。

湿熱による頭皮の脂性状態は、毛穴を塞ぎ、健康な髪の成長を妨げる環境を作ってしまいます。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

この方には**竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)**という漢方薬をお勧めしました。

竜胆瀉肝湯は湿熱を除去する働きに優れた漢方薬です。体の中にこもった湿熱を取り除くことで、頭皮環境を整えていきます。

湿熱が取れてくると、頭皮の脂性状態も改善され、毛根の働きが正常化していきます。その結果、抜け毛も徐々に落ち着いてくるはずです。

ただし漢方薬だけでなく、生活習慣の改善も重要です。

湿熱を生じさせる原因として、甘いものや脂っこい食事の摂りすぎが挙げられます。これらの食習慣を見直すことが大切ですね。

また、適度に体を動かすことも心がけてみてください。運動は体内の代謝を促進し、湿熱の排出を助けてくれます。

この体質改善に効果が期待できる漢方薬

ここでは湿熱体質の改善に効果が期待できる漢方薬を3つご紹介します。ただし、これはあくまで湿熱体質の改善に一般的に用いられる漢方薬であり、今回ご相談いただいた方に特化した処方ではありません。

• 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):肝胆の湿熱を清熱除湿する代表的な処方。
• 茵蔯蒿湯(いんちんこうとう):湿熱を除去し、特に黄疸や皮膚のかゆみなど湿熱による症状に用いられます。
• 黄連解毒湯(おうれんげどくとう):強力な清熱作用があり、化膿性の皮膚疾患や熱感を伴う症状に効果的です。

症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では十分な効果が得られないこともあります。体質や症状に合わせた適切な処方選択が重要です。

ピヨの漢方では、お一人お一人の体質や症状に合わせた漢方相談を行っています。お悩みの方はぜひご相談ください。

まとめ

抜け毛や薄毛の悩みは、単に頭皮だけの問題ではありません。

今回のケースのように、体の中の湿熱が原因となっている場合、市販の外用の発毛剤だけでは根本的な改善は難しいんですね。

中医学的なアプローチでは、体質を見極めて体の中から改善していくことを重視します。湿熱体質の方は、漢方薬による体質改善と生活習慣の見直しを組み合わせることが効果的です。

頭皮の脂性やフケ、口の渇き、皮膚トラブルなど、複数の症状がある方は湿熱体質の可能性があります。

体の中から整えることで、健やかな髪の成長環境を取り戻していきましょう。

YouTubeでも解説しています。