神経痛に効く漢方薬「薏苡仁湯」とは?冷えると痛む理由も解説

漢方メモ
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

神経痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

寒い季節になると、じっとしていてもジンジンと痛みだす神経痛や関節痛。温かい季節には気にならなかったのに、どうして冷えると痛くなるのでしょうか。

実は、気温の低下や湿度の高さが、体の表面に余分な水分を停滞させることが原因なんです。今回は、そんな痛みやしびれを和らげる漢方薬「薏苡仁湯(よくいにんとう)」をご紹介します。

薏苡仁湯は、体表に停滞した湿気を発散させ、血行を促進することで、神経痛や関節痛、しびれを改善してくれる漢方薬です。

どうして冷えると神経痛になるのですか?

体が冷えたり湿度が高くなったりすると、体の表面から「湿邪(しつじゃ)」と呼ばれる邪気が影響を及ぼします。

健康な状態では、体内の熱によって水分が全身を巡り、肺の働きで皮膚表面を潤したり、内臓を栄養したりと、適切に調整されています。

ところが体が冷えやすい方の場合、次のような状況で湿邪の影響を受けやすくなります。

  • 湿度の多い場所での生活
  • 雨の多い季節に水に濡れることが続く
  • かいた汗をそのままにしている
  • 気温が急激に低下する

これらの影響で、体内の気の熱が圧迫されて動きが停滞し、水分の巡りが悪化します。すると、肺による水分調整がうまくいかなくなり、余分な水分が体表に停滞するようになるのです。

余分な水分が停滞すると、次のような症状が現れます。

  • 腫れて重だるい感じ
  • 痛だるさ
  • 冷える感じ
  • 筋肉のしこりや固まり

関節に症状が出やすい理由

神経や関節が正常に機能するには、気血の流れに乗って栄養が運ばれ、不要物が回収される循環が不可欠です。

特に関節は構造上、気血の流れが滞りやすい場所です。湿邪の影響で水分の流れが阻害されると、関節液の入れ替えがうまくいかなくなり、痛みやだるさとして現れてしまいます。

中医学では、痛みは「必要なものが通っていない」ことで起こると考えます。その程度が強いと痛みに、軽いとしびれになります。

湿邪によって気血の流れが阻害されると、その度合いに応じて痛みやしびれが生じ、さらに重だるさ、冷え、むくみ、こわばりなども伴うのです。

薏苡仁湯はどんな漢方薬ですか?

薏苡仁湯は7種類の生薬で構成されています。

  • 薏苡仁(よくいにん): 余分な水分を排出する
  • 蒼朮(そうじゅつ): 発汗で湿気を追い払う
  • 麻黄(まおう): 気血を外側へ動かす
  • 桂皮(けいひ): 体の芯部を温める
  • 当帰(とうき): 血流を促進する
  • 芍薬(しゃくやく): 水分を回収する
  • 甘草(かんぞう): 筋肉の緊張を緩める

これらの生薬が協力して働くことで、体表の余分な水分を排出し、筋肉の緊張を緩めてくれます。

どうして神経痛が良くなるのですか?

薏苡仁湯の働きを詳しく見ていきましょう。

余分な水分を外へ追い出す

まず薏苡仁が、関節や皮膚に停滞している余分な水分を排出します。さらに筋肉の緊張を緩める働きもあるため、湿邪で硬直した関節の張りを取り除いてくれます。

蒼朮は、体表に停滞している余分な水分を汗として外に発散させます。薏苡仁も蒼朮も胃腸の機能を高める働きがあるため、水分代謝がさらに良くなります。

血流を改善して栄養を届ける

当帰は、体を温めながら血液の流れを良くします。これにより、気や血液を必要としている部位へ栄養が届き、血行不良による痛みが解消されます。

麻黄は気血を強制的に外側へ動かし、桂皮は体の芯部を温めながら、細く流れの悪かった部位の巡りを回復させます。同時に発汗を促して、余分な水分を外へ排出します。

筋肉の緊張を緩める

芍薬は、体表の余分な水分を尿として体内へ引き込んで回収します。さらに甘草と一緒に働くことで、筋肉の緊張を緩めてくれます。

炎症を鎮める

薏苡仁には、少しだけ熱を冷ます働きもあります。これにより、気血が滞って生じた炎症も解消してくれます。

整理すると、薏苡仁湯は次のように働きます。

  • 麻黄・蒼朮・桂皮が発汗を促して余分な水分を排出
  • 当帰・桂皮が血流を促進
  • 芍薬・薏苡仁が余分な水分を排出しながら筋肉の緊張を緩和

これらの働きによって、体表に停滞していた余分な水分が排出され、血流が回復し、筋肉の緊張が緩むため、神経痛や関節痛、しびれが改善されるのです。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

薏苡仁湯は、次のような体質や症状の方に特に適しています。

体が冷えやすい方は、気温や湿度の変化に体内の水分代謝が反応しにくく、神経痛やしびれが出やすくなります。

余分な水分が停滞しやすい方も、湿度の高い時期や気温の変化が激しい時期に症状が悪化しやすいでしょう。

特に次のような生活習慣がある方は注意が必要です。

  • 水分を摂り過ぎてしまう
  • 体を冷やす食べ物を摂り続けている

これらの習慣があると、体内の水分の流れがさらに悪化し、症状が出やすくなります。

日常生活でできるセルフケア

漢方薬も有効ですが、日常生活での工夫も大切です。

軽い運動を取り入れる

ストレッチや散歩などで軽く汗をかくことを心がけましょう。体を動かすことで体の活動が活発になり、汗として余分な水分が排出されます。これは薏苡仁湯と同じ働きです。

マッサージも効果的

血流を促進し、筋肉の緊張を緩めるマッサージもおすすめです。

生姜湿布を試してみる

生姜湿布も神経痛に効果があります。やり方は次のとおりです。

  1. ひね生姜を皮ごとすりおろして袋に入れる
  2. 鍋で70度ほどのお湯を沸かす
  3. 生姜の袋を入れて生姜湯を作る(70度前後を保つ)
  4. 厚手のタオルを生姜湯に入れてきつく絞る
  5. 痛みのある場所に湿布する
  6. 冷めたら何度も取り換える

熱いので火傷には十分注意してください。停滞している余分な水分や邪気が流れて、痛みが楽になりますよ。

まとめ

今回は、神経痛やしびれを解消する漢方薬「薏苡仁湯」をご紹介しました。

気温の低下や湿度の上昇で現れる重だるい痛みやこわばり、皮膚のむくみは、体表に湿邪が居座ることが原因です。湿邪が停滞すると、水分調整がうまくいかず、余分な水分が停滞し、気血の流れが阻害されてしまいます。

中医学では、必要なものが通っていないと痛みに、流れが邪魔されていると軽いしびれになると考えます。

薏苡仁湯は、体表の余分な水分を発散させ、血流を改善し、筋肉の緊張を緩めることで、これらの症状を改善してくれます。

ただし、痛みが出やすい方は、漢方薬だけでなく食生活の見直しや、軽い運動、マッサージなども併せて取り入れることが大切です。

症状が複雑な場合や、単独では効果が感じられない場合には、ぜひ当店の漢方相談をご利用ください。あなたの体質や症状に合わせた最適な方法をご提案いたします。

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ピヨ先生
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