柴胡加竜骨牡蛎湯で不安感と不眠を改善できますか?

不安感
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

不安感にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

神経質な性格で、些細なことが気になってしまう。布団に入っても色々と考えが止まらなくて眠れない。そんな辛さを抱えている方は多いのではないでしょうか?

ストレスの多い現代社会では、不安感や不眠に悩まされる方が増えています。心が落ち着かなくなったり、緊張が強くなって頭痛になることもあります。

今回は、そんな不安感と不眠に効果的な**柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)**について、中医学の視点から詳しくお話しします。

柴胡加竜骨牡蛎湯はどんな漢方薬ですか?

柴胡加竜骨牡蛎湯は、11種類の生薬から構成される漢方薬です。停滞している気を巡らせて熱を冷まし、脳の活動を穏やかにしてくれます。

使われている生薬は次の通りです。

  • 柴胡(さいこ): 滞った気を発散させる
  • 黄芩(おうごん): 上部の熱を冷ます
  • 半夏(はんげ): ドロドロを砕いて動かす
  • 生姜(しょうきょう): 水分の動きを軽やかに
  • 人参(にんじん): 気を補って広げる
  • 大棗(たいそう): 気を補って元気づける
  • 桂皮(けいひ): 頭の熱を引き降ろす
  • 茯苓(ぶくりょう): 余分な水分を排出する
  • 竜骨(りゅうこつ): 熱を下へ引き降ろす
  • 牡蛎(ぼれい): 熱を下へ鎮める
  • 大黄(だいおう): 熱を便で排出する

どうして不安感や不眠が起こるのですか?

中医学では、ストレスと気の関係から不安感や不眠を捉えています。その仕組みを見ていきましょう。

ストレスが気を滞らせる

東洋医学では、感情は**肝気(かんき)**と深く関連しています。肝気は気血を体の隅々まで力強く配る役割があります。

肝気は風のように伸びやかに動き回れる状況だと、働きを存分に発揮できます。しかし抑圧的な状態になると、伸び広がる力強い動きが制限されてこもるようになり、熱を持ち始めます。

これは風船の外側に枠があるような状態です。風船が膨らもうとすればするほど、中の空気は圧縮されて熱が生じます。

熱が脳の働きを煽る

ストレスを感じると肝気が滞って熱が生じます。そのこもったエネルギーが一気に爆発して体の上へと逆流し、脳の働きを煽ると様々な症状が現れます。

「頭にきた」「頭に血が上る」という表現は、まさに頭部へと何かが上ってくる性質を表していますね。

このような気や血液が強い勢いで上昇する状態になると、次のような症状が見られます。

  • 激しい拍動音のあるめまい
  • 耳鳴り
  • 痛みの激しい頭痛
  • 目の充血

体の中で生じた熱は、コントロールできる状態なら役に立ちます。しかし不必要に生じた熱は、熱の性質として勝手に上に浮き上がって悪さをするようになります。

脳が過剰に働いてしまう理由

脳が活動を煽られて興奮が続くと、心が落ち着かなくなり不安感を感じ、不眠になります。

なぜでしょうか?それは脳は潤いが不足すると活動が過剰になり、コントロールが効かなくなるからです。

脳は様々な情報を判断し考え、体に必要な命令を与え、記憶する役割があります。身体全体を高い位置から監督し指令する司令塔として、常に活動することを求められています。

そのため活動によって生じた熱を適度に冷却しないと、脳の活動は過剰に働きすぎるようになります。正常な判断や考えをすることが段々と難しくなってきます。

その結果、次のような症状となって現れます。

  • 考えがグルグルと止まらなくなる
  • 精神が穏やかさを保てなくなる
  • 精神活動が過剰になって不安感を感じる
  • 心が渇いたように感じ落ち着かなくなる

柴胡加竜骨牡蛎湯が合う状態とは

柴胡加竜骨牡蛎湯が効果のある方の場合、次のような状態が見られます。

気が力なく内側でうつうつとこもって外側へと広がれなくなっている。その気の滞りによって熱が生じている。お腹の中には余分な水分が停滞している。体の上の方では熱と水が結びついてドロドロが生じている。頭の方へと上がった熱は脳の働きを煽って様々な精神症状を生じさせている。

気の滞りはイライラや心の落ち着かない精神状態にもなります。頭に上った熱によって煽られることで不眠や焦り、めまいなどにもなります。

では、これらの状態を柴胡加竜骨牡蛎湯がどのように解消してくれるのか見ていきましょう。

どうして柴胡加竜骨牡蛎湯で良くなるのですか?

柴胡加竜骨牡蛎湯は、11種類の生薬が連携して働きます。停滞している気を発散して巡らせ、熱を冷まし、脳の活動を穏やかにしてくれるのです。

気と熱の滞りを解消する

まずは柴胡と黄芩で、滞っている気や熱を解消します。

柴胡は滞った気を解放して上向きに上昇させます。体の表面から発散させ、表層を冷やします。

そして柴胡と共に黄芩が体の上を中心とした部位のこもった熱を冷まします。利尿を促すことで停滞している余分な水分を下向きに引き降ろして解消します。

ドロドロした状態を改善する

生姜で気の滞りとともに停滞している水分の動きを軽やかにします。半夏でドロドロした状態のものを砕き溶かして動きやすくすることで、停滞している余分な水分を下向きに動かしてくれます。

また茯苓は停滞している余分な水分を巡らせて排除します。まずはお腹の中に余分なモノが停滞しないようにする土台を整えます。桂皮と共に働くことで脳の過剰な熱を引き降ろし、穏やかな状態を取り戻す手助けをしてくれます。

気のパワーを補充する

気が不足することで内側で気がこもり、滞っていて広がりきれない状態を改善します。人参と大棗で気が補充されることで、広がるだけのパワーアップが応援されます。のびのびと広がることができるようになります。

熱を引き降ろして排出する

竜骨と牡蛎は、どちらもカルシウム成分でできています。その重い性質によって、頭の方へと浮き上がってしまった熱を体の下の方へと引き降ろしてくる働きがあります。

そして竜骨牡蛎によって体の下の方へと降ろしてきた熱を、大黄の働きで排便によって体の外へと追い出します。これによって脳の過剰な働きが穏やかになります。

働きのまとめ

もう一度整理しますと、次のような流れで効果を発揮します。

  1. 柴胡・黄芩で停滞している気や熱、水を排除する
  2. 半夏・生姜でドロドロしたモノを砕きながら排除する
  3. 茯苓で水を排除しつつ、桂皮と共に脳の穏やかさを保つ
  4. 人参・大棗で気を補充し、気の広がりをバックアップする
  5. 竜骨・牡蛎で頭に上がった熱を引き降ろす
  6. 大黄で排便によって熱を外へ追い出す

これらの働きによって、力なくうつうつと気が籠って滞っていたことで生じた熱が解消されます。脳の働きも穏やかになりますので、次のような症状が改善されます。

  • 不安感
  • 心の落ち着かない感じ
  • 頭痛
  • めまい
  • 不眠

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

柴胡加竜骨牡蛎湯は、次のようなタイプの方に向いています。

ストレスで気が滞っているタイプ

気が外側へと広がれるだけのパワーが不足していて滞ってしまっている方に適しています。広がれるだけのパワーの後押しをすることで解放し、頭の方に逆上してしまった熱を引き降ろしてくれます。

ただし注意が必要な場合もあります。

使う際の注意点

柴胡加竜骨牡蛎湯は全体として乾かす作用が強くなります

そのため体全体が渇いている体質の方で、脳を潤すことができないことにより脳の活動が過剰になっている場合には注意が必要です。柴胡加竜骨牡蛎湯を使うことで病的に乾かされてしまうと、余計に精神症状が悪化することもあります。

症状が複雑な場合には、単独では効果がない場合もあります。当店では一人ひとりの体質に合わせた漢方相談を行っていますので、お気軽にご相談ください。

また生活習慣でこれらの症状を改善するためには、次のことも大切です。

  • 適度に体を動かす
  • 空き時間に足の裏を意識しながら、吐く息が長めの呼吸を心がける

呼吸によって過剰になっている脳の熱が、手足などの末端部から放出されているようにイメージしてみてください。気の広がりの手助けになりますのでお試しくださいね。

まとめ

ストレスなどによって気が滞ってしまい、その気の滞りによって生じた熱が脳の働きを過剰に煽るようになると、様々な症状が現れます。

次のような症状に悩まされることがあります。

  • イライラ
  • 不安感
  • 心が落ち着かない
  • 焦燥感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 不眠

柴胡加竜骨牡蛎湯は、気が外側へと広がれるだけのパワーが不足していて滞ってしまっている状態を改善します。広がれるだけのパワーの後押しをすることで解放し、頭の方に逆上してしまった熱を引き降ろしてくることで、これらの症状を解消してくれます。

ただし体質によっては注意が必要な場合もありますので、専門家に相談しながら自分に合った方法を見つけていきましょう。

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ピヨ先生
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