大防風湯で関節の痛みや腫れを改善!漢方の視点で解説

漢方メモ
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

関節痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

関節が腫れて痛む、朝起きるとこわばって動かしにくい…そんなお悩みはありませんか?

関節の不調は、中医学では「気血の巡りの悪さ」と「余分な水分の停滞」が大きく関わっていると考えられています。特に季節の変わり目や湿度の高い時期には、関節周辺に水分が溜まりやすく、症状が悪化しやすくなります。

今回は、関節の腫れや痛み、こわばりに悩む方に向けて、**大防風湯(だいぼうふうとう)**という漢方薬をご紹介します。この漢方薬がどのように働いて、関節の健康をサポートしてくれるのか、中医学の視点から詳しく解説していきますね。

どうして関節に異常が起きるのですか?

関節の異常は、関節周辺の気血の巡りの悪さが大きく関係しています。

私たちが体を自由に動かせるのは、関節を曲げたり伸ばしたりできるからです。関節は骨と骨のつなぎ目にあたる部分で、硬い骨同士が直接ぶつかり合わないように、間に軟骨がクッションとして存在しています。

しかし軟骨には神経や血管がないため、一度破壊が進むとなかなか再生されません。そのため、関節を包む関節包の内側にある**滑膜(かつまく)**という膜から分泌される関節液が、とても重要な役割を果たしているのです。

滑膜には豊富な神経や血管が通っていて、ここから分泌される栄養によって軟骨などの関節組織が維持されています。この関節液の流れが滞ると、軟骨への栄養が不足し、関節の摩擦が大きくなって様々な問題が生じてきます。

関節が腫れる理由

関節が腫れているということは、関節内に必要以上の水分が充満している状態です。

中医学では、**「痛みは気血が通じないことで起きる」**と考えます。逆に言えば、気血の流れが通じていれば痛みは起こりません。関節に余分な水分が充満すると、気血の流れが妨げられて痛みとなって現れます。

この場合、水分の性質が影響して重だるい痛みを感じるようになります。

こわばって動かしにくくなる理由

関節包という袋が関節を覆っていますが、適量の水が入っていれば袋の形を自由に変えることができます。しかし破裂しそうなほど水が充満すると、袋の形を変えることが困難になります。

さらに気血の流れも阻害されるため、流れがギクシャクして、余計にこわばった感じを生じさせてしまうのです。

症状が進行すると

関節周囲の水分が滞り、気血の流れも悪くなると、こもった熱が生じることがあります。栄養が届かない関節内では破壊がさらに進み、新鮮な栄養も届かないため、骨にも影響が出てきます。

骨を作るにはカルシウムなどの栄養だけでなく、腎気(じんき)のパワー、つまり体の芯部の熱源も必要です。体質的に芯部から冷えやすい方は、骨の変形が早い段階から目立つようになります。

大防風湯はどんな漢方薬ですか?

大防風湯は、15種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。体の芯部を温め、余分な水分を排除し、気や血液を補充して、腎気のパワーを高めてくれます。

配合されている生薬とその働きをご紹介しますね。

  • 防風(ぼうふう): 余分な水分を発散
  • 黄耆(おうぎ): 気のバリアを強化
  • 当帰(とうき): 血液を補う
  • 川芎(せんきゅう): 血液を巡らせる
  • 芍薬(しゃくやく): 血液を補う
  • 地黄(じおう): 血液を補う
  • 附子(ぶし): 体の芯部を温める
  • 人参(にんじん): 気を補う
  • 蒼朮(そうじゅつ): 余分な水分を除く
  • 杜仲(とちゅう): 骨を作る働きを高める
  • 牛膝(ごしつ): 骨を作る働きを高める
  • 羗活(きょうかつ): 冷えを発散する
  • 乾姜(かんきょう): 芯部を温める
  • 大棗(たいそう): 気を補う
  • 甘草(かんぞう): 気を補う

どうして関節の症状が良くなるのですか?

大防風湯は、複数の働きを組み合わせることで関節の健康をサポートします。

ステップ1:停滞を取り除く

まず防風、羗活、蒼朮が、停滞している余分な水分や冷えを発散して排除します。

関節は体の他の部位と比べて流れが滞りやすい構造をしています。また屈伸のために肉や脂肪が薄く、外部からの影響を受けやすい部位でもあります。

外部の気温や湿度の影響で体表面に余分な水分や冷えが停滞すると、気血の流れが阻害されて関節周囲の巡りも悪くなります。これらの生薬が邪魔なものを発散させ、巡りを回復させることで、痛みの解消にもつながります。

ステップ2:防御力を高める

黄耆が気を送り、外部からの影響を受けないための気のバリアを広げていきます。

その働きを応援するために、人参、大棗、甘草で気を補充します。気がしっかり補充されることで、体の防御力が高まるのです。

ステップ3:栄養を補充して巡らせる

当帰、川芎、芍薬、地黄が、関節を維持するための栄養となる血液を補充し、巡らせる応援をします。

血液を作って巡らせるためにも、人参などによる気の補充が必要です。気と血は車の両輪のような関係なのですね。

ステップ4:芯部を温めて骨を強化する

血液などの重い材料を動かすには、体の芯部の熱が不可欠です。

乾姜、附子で体の芯部から温めつつ、牛膝、杜仲の骨を作る工場としての働きを高める作用を加えます。これにより腎気の働きが高まり、骨を作る力が強化されて関節の異常が改善されていきます。

これらの働きが総合的に作用することで、停滞している余分なものが取り除かれ、骨の材料と作る働きが高められます。結果として、関節の健康維持に役立ってくれるのです。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

大防風湯は、以下のような体質の方に特に適しています。

体が冷えやすい方に向いています。体の芯部から冷えを感じやすく、関節の痛みが寒い時期や雨の日に悪化する方には特におすすめです。附子や乾姜が体の深部を温めてくれます。

むくみやすい方にも効果的です。余分な水分が体に溜まりやすく、関節が重だるく腫れぼったい感じがする方に適しています。防風や蒼朮が水分代謝を改善します。

疲れやすく気力が不足しがちな方にもおすすめです。人参や黄耆が気を補充し、体の防御力を高めてくれるため、疲労感が強い方の体質改善にも役立ちます。

骨が弱くなりやすい方、特に年齢を重ねて骨の健康が気になる方にも適しています。杜仲や牛膝が腎気を高め、骨を作る働きをサポートします。

ただし、症状が複雑な場合には単独では十分な効果が得られないこともあります。当店では一人ひとりの体質に合わせた漢方相談も行っていますので、お気軽にご相談くださいね。

まとめ

今回は関節の腫れや痛み、こわばりと大防風湯についてお話ししました。

関節が腫れているのは、関節周辺に余分な水分が停滞していることが原因です。こわばって動かしにくくなるのも、余分な水分の充満や血液の巡りの悪さが関わっています。

そのため関節の健康を維持するには、関節周辺の水の巡りを良くしておくことが大切です。

日常生活で気をつけたいこと

関節の異常を改善するには、漢方薬だけでなく生活習慣の見直しも重要です。

  • 食生活や水分の摂り方を見直し、体に余分な水分を溜め込まない工夫をしましょう
  • 体の修復時間である夜の睡眠をしっかり確保することが大切です
  • 過労や夜更かしで気血の補充が不足すると、関節周囲の巡りが悪化します
  • 睡眠不足で修復が間に合わなくなると、関節の回復が困難になります

また、多少痛みがある場合でも、関節に負担をかけないように動かすことが大切です。適度な運動は関節周辺の気血の巡りを良くし、骨を作る体の熱源を高めることにもつながります。

食習慣などの生活習慣の改善とともに、無理のない範囲で体を動かすことを生活に取り入れてみてくださいね。

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ピヨ先生
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