機能性胃腸症とはどんな病気?原因と対策を東洋医学の視点から徹底解説

お腹の不調
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

機能性胃腸症にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

「お腹が空いているのに食べるとすぐ満腹になる」「少し食べただけで胃がもたれる」 このような胃の不快感でお悩みではないですか?

機能性胃腸症は、検査をしても明らかな原因が見つからないにもかかわらず、様々な胃腸の不調を引き起こす厄介な症状です。西洋医学では解決が難しいケースも、東洋医学の視点から見ると、体の状態や気の流れに関する深い洞察が得られることがあります。

今回は、機能性胃腸症と診断された38歳男性の体験談をもとに、東洋医学の観点からこの症状の原因と対策について詳しく解説していきます。ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の体質改善のヒントにしていただければ幸いです。

今回の相談者の外見的な特徴とお悩みの症状

まずは相談者の方の基本情報を確認してみましょう。

外見的な特徴

  • 38歳の男性
  • 身長:170cm
  • 体重:51kg
  • BMI:17.65
  • 顔色:白っぽい
  • 髪の毛:細い
  • 舌の形:白くて厚い
  • 舌の苔:白くて中央から奥にかけて厚い

主な症状:

  • 4年前に機能性胃腸症と診断され、漢方薬と西洋薬を継続服用中
  • 現在は健胃顆粒、アコファイド、晶三仙を使用
  • お腹が空いているのに食べるとすぐ満腹になる
  • ゲップが出る
  • 胃もたれを感じる
  • 夕食は寝る2〜3時間前に済ませ、食べ過ぎないよう注意している
  • 朝は食欲がなく、最近1ヶ月は味噌汁やバナナを食べるよう努力している
  • 症状は突然悪化することがある

機能性胃腸症とはどのような病気なのでしょうか?

機能性胃腸症は、検査をしても明らかな原因となるような炎症や潰瘍などの異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれ胃痛食後のもたれ少し食べるだけでお腹がいっぱいになるなどの不快な症状を感じる病気です。

現代医学的には、ストレスなどが原因となることで、胃の働きや動きが悪くなったり、胃の粘膜を保護する粘液の分泌が低下したりして、知覚が過敏になってしまうことが関係していると言われています。

では、東洋医学ではこの症状をどのように捉えるのでしょうか?まずは食べ物が体内でどのように処理されるのかを理解することが大切です。

東洋医学では食べ物の処理をどう捉えるのでしょうか?

東洋医学的な視点から食べ物の消化プロセスを理解すると、機能性胃腸症の根本的な原因が見えてきます。

食べ物は口に入って噛み砕かれた後、食道を通って胃の中に入り、さらに細かく分解されてから腸に送られます。お腹の吸収する働きによって、体に必要な材料が吸収され、それが体で使うことのできる栄養へと作り変えられてから、全身へと配られていきます。

東洋医学ではこのプロセスを以下の3つの「気」の働きで説明します:

  1. 胃気:食べ物を受け入れ、分解し、下向きに運んでいく働き
  2. 脾気:必要な材料を吸収して栄養に作り変え、上向きに運び上げる働き
  3. 肝気:腸管の蠕動運動を調整し、脾気から受け渡された栄養を身体全体に配る働き

これら3つの働きがお互いに協調し合って初めて、食べた物は体の栄養となって全身を巡り、不要なものは体外へと排出されていくのです。どこかで不具合が生じると、胃の不快感を感じるようになります。

脾気の機能低下はどのような症状を引き起こすのでしょうか?

脾気の機能が低下すると、食べた物を上手く吸収できなくなるため、次のような症状が現れます:

  • 食べ物がいつまでも腸管の中に残り、食事をするとお腹が重く感じる
  • 平滑筋の緊張を保てなくなり、血管の弾力性が維持できず、栄養を持ち上げられなくなる
  • 胃下垂などを伴うこともあり、食事の後に胃が重い感じや胃もたれを感じる

このような状態では、お腹の不快感だけでなく、体が痩せる疲れやすくなる元気がなくなる息切れなどの症状も現れます。無理して食べようとすると、下痢になることもあるのです。

胃気の不調はどのように影響するのでしょうか?

胃気の問題は、主に以下のような原因で生じます:

  • 辛い物や脂っこいものの食べ過ぎ
  • 過労や寝不足などの生活習慣の乱れ
  • ストレスや抑うつ的な環境

これらにより、胃に熱が生じて潤いが乾燥してしまうと、粘膜が十分に分泌されなくなり、知覚過敏になります。胃の潤いが不足すると腸管の動きも停滞し、食欲不振空腹感があっても食べたくない吐き気しゃっくりなどの症状が現れます。

また、食べ過ぎや飲み過ぎによるお腹への負担、脂っこいものや味の濃厚な物、甘いものなどの摂取が続くと、お腹の中に「湿熱」と呼ばれるドロドロしたものが生じ、さらに症状を悪化させることもあります。

逆に、ビールや冷たいものの摂り過ぎは胃気を冷やし、腸管の動きを停滞させます。これは冷たい水に手を入れると手がかじかんでモノを掴みにくくなるのと同じ原理です。冷えにより、お腹が張った感じ引き絞られるような痛みを感じることがあります。

肝気と胃腸の関係はどうなっているのでしょうか?

肝気は脾気によって吸収された栄養を受け取り、全身を巡らせる重要な役割を担っています。しかし、肝気が上手く巡らなくなると、様々な問題が生じます:

  • 強いストレスにより全身の筋肉が緊張し、腸管の筋肉も強く緊張
  • 滑らかな蠕動運動ができなくなり、上向きに逆流してしまう
  • ゲップ吐き気、進行すると嘔吐
  • 本来の流れと逆になるため、お腹の張り便秘

また、肝気の過剰な働きが脾気を攻撃すると、食欲不振腹痛になることもあります。吸収した栄養が肝気によってうまく運ばれないと、胃が重く感じるめまいふらつきだるさなどを感じやすくなります。

さらに、肝気は心気(心の働き)からの指令を受けてコントロールされているため、精神的なバランスが崩れると、さらに肝気が乱れ、胃腸の症状が悪化するという悪循環に陥りやすくなります。

今回の相談者の体質はどのように分析できるでしょうか?

この方の症状から体質を分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 気の滞りによる症状
    • お腹が空いているのに食べたらすぐ満腹になる
    • ゲップやガスが出ると楽になる
    • 腸管の動きが逆流を起こしやすい状態
  2. 気の不足や熱源の不足
    • 全身の倦怠感や無力感
    • 手足が冷える、寒がり
  3. 脾気の動きの不具合
    • 食べると胃がもたれる
    • 立ちくらみしやすい
  4. 上部の乾燥と下部の水分停滞
    • 顔色が白く、舌の色も白い
    • 髪の毛が細い
    • 不安感が強い
    • 舌の苔が中央から奥にかけて白く厚い
    • 喉が渇いて水を飲みたい

この方は、気の滞りと冷えによる運搬の悪さと腸管の動きの不具合があると考えられます。飲食物を吸収するところまではできても、そこから先へと運搬することができないため、吸収した先で停滞し、お腹が空いているのに食べるとすぐに満腹感を感じ、停滞したものからガスが発生してゲップとなっているようです。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

この体質の方には、以下の自然療法がおすすめです:

  1. 食事のタイミングを大切に 舌の苔の様子から、処理の進まない水分が中央から奥にかけてのお腹や体の下部に集中している様子が窺えます。空腹感を感じないうちに無理して食べると、体内に余分なものが充満し、お腹への負担が増します。特にバナナなどは体を冷やしてしまうため、空腹感を感じてから良く噛んで食べることをおすすめします。
  2. 適度な運動 軽く汗ばむくらいの運動を心がけましょう。体を動かすことで、身体全体の水分の巡りが良くなり気の巡りが促され、お腹の働きも改善しやすくなります。
  3. お腹のセルフマッサージ 時間があるときに、ご自身で気持ちが良いと感じる範囲で、お腹をマッサージしてみましょう。その際、深くゆったりとした呼吸を行いながら、じっくりと手の温かさでお腹のしこりをほぐすようなイメージで行うと効果的です。
  4. 下肢のマッサージとストレッチ 大腿部の前面や下肢の前面には、胃と関係の深い経絡が通っています。これらの部位をじっくりとマッサージしたり、ストレッチして緩めるようにすると、胃腸の調子が改善することがあります。

この体質改善に効果が期待できる漢方薬

機能性胃腸症のような症状を改善するのに役立つ漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、この方に特化したものではなく、機能性胃腸症の体質改善に効果が期待できる漢方薬です。

  • 六君子湯(りっくんしとう):胃腸の機能が低下して、食欲不振や胃もたれなどの症状がある方に。気虚・脾虚の状態を改善する働きがあります。
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):みぞおちの不快感、胃のむかつき、悪心などがある方に。胃腸の熱をとり、水滞による不調を解消します。
  • 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう):肝気の滞りがあり、胃腸症状とともに不安感や精神的な緊張がある方に効果的です。

症状が複雑な場合には、これらの漢方薬を単独で使用しても十分な効果が得られないことがあります。当店では漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。専門家による体質診断で、あなたに合った漢方薬をお選びいたします。

まとめ

機能性胃腸症は、東洋医学の視点から見ると、胃気・脾気・肝気のバランスの乱れが原因となっていることが多いです。今回の相談者の方のように、気の滞りと冷えによる運搬の悪さと腸管の動きの不具合が症状を引き起こしていることもあります。

自然療法としては、無理な食事を避け、適度な運動やセルフマッサージを取り入れることで、体の巡りを改善していくことが大切です。また、状態に合わせた漢方薬の活用も検討してみてください。

ご自身の体質や症状に合わせた対策を行うことで、機能性胃腸症の症状が少しずつ改善されていくことを願っています。

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ピヨ先生
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