【気象病】低気圧で頭痛やめまいが起こる原因と対策法は?

自律神経失調症
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

頭痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

「明日は雨かな?なんだか頭が痛くなってきた…」

天気が崩れる前から体調不良を感じることはありませんか?実は、これは単なる気のせいではなく、「気象病」と呼ばれる症状かもしれません。

気圧の変化や湿度の上昇など、気象条件の変化によって引き起こされる体調不良は、古くから知られていながらも、なかなか周囲に理解されにくい悩みです。

今回は、この「気象病」について東洋医学の視点から詳しく解説し、つらい症状を和らげるための対策法をご紹介します。このお話を通して、気象病改善のための小さなヒントを得ていただければ幸いです。

気象病とは?その正体を東洋医学で解き明かす

天候が崩れそうになると膝が痛む、「明日は雨が降るかも、古傷がしくしくと痛みだしたから」など、天候の変化を前もって体調の不調によって感じられる方がいらっしゃいます。

このように天候や気温・気圧・湿度などの気象条件の変化が誘因となり、自律神経が乱れることで様々な症状となる疾患を、気象病と言います

気象病には、関節や神経痛などの他に、めまい、肩こり、頭痛、だるさ、喘息、うつ病など、肉体的・精神的な様々な症状があります。

しかし、はっきりとした原因が分からなかったため、「こじつけている」「気のせいだ」「怠けたいだけ」などと言われ、誰にも理解されず苦しまれている方も少なくありません。

最近の研究では、気圧の変化により、内耳の中にある身体の平衡感覚を司る部位の乱れが、自律神経のバランスを崩してしまっていると考えられています。ここからは、東洋医学的にどのように考えられるのかを見ていきましょう。

東洋医学から見る気象病の原因とは?

東洋医学で気象病の原因と考えられるものは、気圧ではなく「六淫(ろくいん)」と呼ばれる、風、寒、暑、湿、燥、火などの気候の変化です。

これらの言葉は天気予報でもお馴染みですので聞きなれた言葉ですが、それぞれが体に与える影響があり、もし個人の対応できる範囲を超えて体に影響を与えるようになると、病気の原因となります。

まずは、これら六淫の特徴から解説していきます。

1. 風邪(ふうじゃ)の特徴

風は自然界に流れる空気のことで、春と関連の深い気とも言われますが、全ての季節において風は吹いています。

風は、突然吹いたかと思えばあっという間に過ぎ去っていくように、一か所に留まらず、あちこちを移動して安定しない性質を持ちます。早く変化して、その変化が激しいという特徴もあります。

また、軽やかに上や外に向かって登っていく特性を持つため、体の上部や外部に影響を与えやすい特徴があります。

しかも、その他の六淫の邪気を先導して体に襲いかかってくるため、「風邪は百病の長」とも言われます。

例えば、まだ寒さが残っている時期に、体の内側の気の守りが十分でない方が、身体の活動によって汗をかいてしまうと、その汗の出口から風の邪気が寒さの邪気と共に、皮膚の中に侵入してしまい風邪をひきます。

風邪は、動きが激しく移動するという特徴があります。

2. 寒邪(かんじゃ)の特徴

寒は、気温が低く、体が冷えて不快感を感じている状態のことで、冬と関連が深い気です。

気温が低い性質の邪気ですので、体から熱を奪っていきます。気血は体の芯部の熱によって温められて軽くなることで巡っていますが、寒邪によって冷えてしまうと、気血の巡りが圧迫されて停滞しやすくなります。

真冬の冷たい水に手をつけていると、手がかじかんできて、段々と痛みを感じるようになります。これは、低い温度に熱を奪われないようにするために、皮膚表面の血管や筋肉を緊張させているためで、これだけでも引きつるような痛みを感じます。

このように、寒い性質の邪気には、ギューッと縮めさせて固まらせたり、引きつらせたりする性質があるため、気血の運行を妨げます。

寒邪は、気血の巡りを圧迫するという特徴があります。

3. 暑邪(しょじゃ)の特徴

暑邪は、気温が著しく高いことで体に不快感を感じている状態のことで、夏と関連の深い気です。

気温が高い状態では、生命力が盛んになって体の活動も活発になり、激しく熱を生じさせるため、体の中の気血の動きも活発になります。

しかし、体の中の熱が盛んになるため、その熱を体の外へと追い出すために発汗が盛んになり、体の潤いや気が消耗されます

また、夏は気温が高いだけでなく湿度も高くなるため、湿邪による影響も受けて、気血の巡りが鈍くなり、重だるさを感じるようになります。

真夏のように暑い時に体の中で生じた熱は、血流にのって体の表面へと運ばれていきます。その熱は、末梢血管が拡張することで外部へと放散されることや、汗をかいてそれが蒸発するときの気化熱によって奪われることで、体温は一定の状態に保たれています。

ところが、外の気温が異常に高すぎると、毛細血管を拡張しても熱がうまく放散されなくなります。また、湿度が高ければ汗をかいても蒸発しにくくなるので、気化熱がうまく働かなくなって熱が奪われず、体に熱がこもり体温が高くなっていきます。

体の中の熱がうまく発散されなくなると、体の中には熱がどんどん溜まってしまい、それによってますます汗が止まらなくなり、体のエネルギーである気も、体の潤いである陰も消耗してしまいます。

そうなると、気が足りなくなるため心臓の働きをしっかりと活動させられなくなり、さらに潤いが足りなくなるので血流はどろどろして血液の巡りが悪くなって、体や手足がだるい、息切れ、モノを言うのもおっくう、めまい、意識の消失などが出てくるようになります。

ちなみに、火邪は熱が盛んになってあちこちを焼いている状態で、暑邪と同じように気血の巡りを活発にさせるとともに、気や潤いを消耗させます。

暑邪は、気や潤いを消耗し、過剰感を強めるという特徴があります。

4. 湿邪(しつじゃ)の特徴

湿邪は、梅雨時期に生じる高い湿気のことですが、雨に濡れたり水遊びなどでも影響を受けます。

湿気は空気の中に含まれている水分のことで、水の性質として人体に影響を与えます。水は空気に比べると何倍も熱を奪う性質が強いように、体の熱を奪うことで、気血の巡りが悪くなります

また、自然界にある水は重いため、花を植えたプランターに水を撒いておくと下に流れていくように、重く沈み込む性質があります。そのため、湿が体に影響を与える場合、体の下の方から始まることが多く見られます。

雨に濡れて服が濡れると、いつまでも一か所に留まって中々乾燥しないように、ネバネバと停滞する性質もあり、重だるさ、痺れ、痛みなどを感じさせます。

湿邪は、体の熱を奪い、気血の巡りを鈍くさせます

5. 燥邪(そうじゃ)の特徴

燥邪は、空気中の湿気が無くなることで、秋と関連の深い気です。

空気が乾燥するため、湿気による重だるさや熱を奪う性質とは逆に、動きが揺れ動くようになり、落ち着かない感じを生じるようになります。

体の中の気や血液は、熱によって動きの原動力を提供されていますが、この働きを適度な状態に調整するには、体の潤いによって冷却することが必要です。

ところが、燥邪によって潤いが影響を受けて減少すると、相対的に熱が過剰になって適度な状態に熱を留めておけなくなるため、オーバーヒートした車のように活動が盛んになりすぎてしまいます。

燥邪は、揺れ動き落ち着かないという特徴があります。

天候の変化が体質とぶつかるとき

これら天候による影響を踏まえると、次のようなケースが考えられます。

例えば、普段から食べ過ぎや飲み過ぎなどで体の中に余分な水分が溜まっている方が、天候が崩れたことで湿邪の影響を受けるようになると、体の中の気血の巡りが悪くなって、重だるさを伴うめまい、頭痛、関節の痛みになります。

逆に、過労や夜更かしなどで体の潤いが消耗されているような方の場合、晴れて乾燥した天候の影響を受けるようになると、相対的に熱が過剰になるため、ほてる感じを伴う頭痛、めまい、だるさ、関節の痛みになります。

では、解決するためにはどうしたら良いのか考えてみましょう。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

気象病を治す方法ですが、それはやはり体質的な歪みを改善することが必要です。

天候は人体に様々な影響を与えますが、体質的な歪みもなく、体の内側に気が満ちていると、体の表面で外側からやってくる天候の変化に対して柔軟に対応することができるようになるため、悪い影響は起こりにくくなります。

というのも、体によって作り出されたエネルギーの7割が基礎代謝によって使われていて、そのほとんどが暑い寒いなど、天候の変化に対応するために賄われていると言われています。

そのため、体質の傾きなどによって気血の量の少なさや巡りの悪化によって、そもそもの気が外への対応に割くことのできない体の事情があると、環境の変化に対応しきれなくなり、体の不調を訴えることになります。

つまり、過労や夜更かし、食べ過ぎ飲み過ぎ、運動不足など、不摂生な生活を送っていると、体質が傾いてきて、その歪みに天候の歪みが加わることで、様々な症状となって現れてきます。

生活習慣を見直す

  • 過労や夜更かしは、体の潤いを消耗し、その潤いを補充する機会が足りなくなりますので、燥邪の影響を受けやすくなります。解決のためには、しっかりとした睡眠が必要です。
  • 食べ過ぎや飲み過ぎは、体の中に余分な水分が充満しますので、湿邪や寒邪、暑邪などの影響を受けやすくなります。空腹感を感じたら食べる、喉が渇いたら飲むようにするなど、体の声を聴く食生活が必要です。
  • 運動不足は、熱の不足を生じさせ、体の中の気血の巡りを悪化させますので、湿邪、寒邪、暑邪などの影響を受けやすくなります。近所を散歩する、家の中でこまめに掃除をするなど、軽く汗ばむくらいの運動を無理せず行うことが必要です。

天候が順調であると、心が穏やかに調和がとれるようになるので、天候の変化に合わせて体質に合った養生法を行っていれば、体の中では体質的なバランスも取れて、気が満ちてきます。

そうなると季節に合わない天候になったとしても、体調は崩れなくなりますので、生活習慣を改善して、体質のバランスを戻すことが大切です。

気象病の改善に効果が期待できる漢方薬

気象病の症状改善には、体質に合った漢方薬の服用も効果的です。ここでは、気象病の改善に効果が期待できる代表的な漢方薬をご紹介します。

  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):めまいや頭痛など水滞による症状を改善します。特に湿邪の影響を受けやすい体質の方におすすめです。
  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう):手足の冷えや痛みを緩和し、血行を改善します。寒邪の影響を受けやすい方に適しています。
  • 五苓散(ごれいさん):余分な水分を排出し、めまいや頭痛、むくみなどを改善します。湿邪による症状が強い方におすすめです。

なお、これらはあくまで特定の体質の改善に効果が期待できる漢方薬の一例であり、個人の症状や体質によって適切な漢方薬は異なります。症状が複雑な場合には、単独では効果がない場合もあります。

ピヨの漢方では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ:気象病との上手な付き合い方

気象病は、天候の変化に体が敏感に反応して起こる自律神経の乱れが原因です。東洋医学では、風、寒、暑、湿、燥などの「六淫」と呼ばれる気候の変化が、個人の体質的な歪みと合わさることで症状が現れると考えています。

気象病を改善するためには、次のポイントを意識しましょう:

  1. 規則正しい生活習慣を心がけ、十分な睡眠をとる
  2. 体の声に耳を傾け、食べ過ぎ飲み過ぎを避ける
  3. 軽い運動を継続して気血の巡りを良くする
  4. 必要に応じて、体質に合った漢方薬を取り入れる

体質的なバランスが整い、体の内側に気が満ちてくれば、天候の変化にも柔軟に対応できるようになり、気象病の症状も徐々に緩和されていくでしょう。

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ピヨ先生
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