霊芝(れいし)は古来より「仙草」「神薬」として珍重されてきた薬用キノコです。その独特の形状と光沢ある表面から神秘的な存在として多くの文化で尊ばれてきました。中国では紀元前200年頃から薬用として使われ、日本では「万年茸(マンネンタケ)」とも呼ばれています。
現代の研究でも免疫力向上や抗酸化作用など様々な効果が確認されつつあります。この記事では、伝統的な漢方の知恵と現代の科学が認める霊芝の力について詳しくご紹介します。
霊芝とは何ですか?
霊芝はサルノコシカケ科のキノコです。マンネンタケとも呼ばれ、一年生のキノコですが、肉質はコルク質様で硬く、表面にはニスをかけたような光沢があります。
古来より「仙草」や「神薬」として珍重されてきました。日本でも古くから不老長寿の象徴として知られています。
性味と帰経
- 性味:温、甘、淡
- 帰経:心、肺、肝、腎
霊芝の効能と働きは?
霊芝には主に以下のような働きがあります:
1. 補気安神(気を補い、精神を安定させる)
霊芝は心身の疲労回復や精神安定に効果があります。次のような症状に対して効果的です:
- 不安感
- 不眠
- 驚きやすい
- 多夢(よく夢を見る)
- 健忘(物忘れ)
- 疲れやすい
- 食欲不振
2. 止咳平喘(咳を止め、喘息を治める)
特に虚寒(体力が低下し、冷えがある状態)による咳や喘息、痰が多い症状に効果的です。
3. その他の臨床応用
- 動脈硬化症、高血圧症、脳卒中などの循環器系疾患
- 消化不良や胃潰瘍などの消化器系の慢性疾患
- 神経衰弱による頭のふらつきや不眠などの症状改善
- 毒に対する解毒作用
霊芝の主成分と薬理作用は?
霊芝には以下のような成分が含まれています:
- アミノ酸
- タンパク質
- ステロール
- アルカロイド
- β-グルカン(多糖類)
- ガノデリンA・B
これらの成分により、以下のような薬理作用が確認されています:
- 滋補強壮(栄養を補給し体力を強める)
- 解毒収斂
- 消積(停滞した食物を消化する)
- 血中脂質を降下させる
- 免疫調節作用
- 抗酸化作用
中医学での霊芝
中医学の古典には、以下のように記されています。
「胸中に積あるを治し,中を補い、智慧を強くす」
この記述に基づき、該当する生薬・方剤には次のような効能があります:
主な効能
- 補中益腎(中を補い、腎を助ける)
- 養心安神(心を養い、精神を安定させる)
- 止咳平喘(咳を止め、喘息を和らげる)
適応される症状
- めまい
- 動悸
- 息切れ
- 不眠
- 咳嗽(せき)
- 喘鳴(ぜんめい)
応用される病状
- 正気虚弱・気血不足の状態
- 正虚邪実のがん疾患
- 肺がん
- 食道がん
- 胃がん
- 肝臓がん
- 慢性骨髄性白血病 など
霊芝の使用上の注意点は?
霊芝は多くの方に安全に使用できる生薬ですが、いくつかの注意点があります:
- 血圧の低い方は慎重に使用してください
- 出血しやすい方は使用の際に注意が必要です
- 長期的な使用が効果的ですが、体調の変化に注意しましょう
- 医薬品との相互作用の可能性もあるため、現在薬を服用中の方は医師や薬剤師に相談することをおすすめします
- 妊娠中・授乳中の方の使用については、安全性が確立されていないため避けてください
また、霊芝はあくまで健康補助食品や漢方薬としての使用が適切です。
まとめ:霊芝の恵みを生活に取り入れるには?
霊芝は数千年にわたり使用されてきた伝統的な生薬で、現代の科学研究でもその多くの効能が裏付けられつつあります。免疫力の向上、精神の安定、咳や喘息の緩和など、様々な面で私たちの健康をサポートする可能性を持っています。
霊芝を生活に取り入れる際は、以下のポイントを意識するとよいでしょう:
- 自分の体質や症状に合わせた適切な摂取方法を選ぶ
- 長期的な視点で継続して摂取する
- 医薬品と併用する場合は専門家に相談する
- 体調の変化に注意を払う
霊芝は「神薬」と称されるほどの素晴らしい生薬ですが、万能薬ではありません。バランスの取れた食生活や適度な運動など、健康的なライフスタイル全体の一部として取り入れることで、その恵みを最大限に活かすことができるでしょう。
参考文献

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