古来より北の海の恵みとして親しまれてきた鮭(サケ)。日本では縄文時代の遺跡からも骨が出土するほど長い食文化の歴史を持っています。焼き魚としてはもちろん、塩鮭、石狩鍋、ちゃんちゃん焼きなど、様々な調理法で私たちの食卓を彩ってきました。
しかし鮭は単においしいだけではありません。実は東洋医学的にも非常に価値の高い食材なのです。体を温め、気血を補い、むくみを取るなど、多くの健康効果が期待できます。
今回は薬膳の観点から見た鮭の効能や正しい食べ方について、Q&A形式でわかりやすく解説していきましょう。冬の食卓に欠かせない鮭の魅力を再発見してみませんか?
鮭(サケ)の基本情報を教えてください
鮭は東洋医学(薬膳)では、以下のような性質を持つとされています。
【性味/帰経】
- 性味:温、甘
- 帰経:脾、胃
鮭は体を温める「温性」の食材です。冷え性の方や寒い季節には特におすすめできる食材といえるでしょう。また、甘味があり、消化器系の「脾」と「胃」に作用して、消化吸収を助ける働きがあります。
栄養学的な特徴 鮭には良質なタンパク質に加え、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)、ビタミンD、ビタミンB12などが豊富に含まれています。特にビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、骨を丈夫にする効果も期待できますよ。
また、鮭の赤い色素であるアスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、紫外線によるダメージから肌を守る効果もあるとされています。特にいくらやすじこなどの卵にはアスタキサンチンが豊富に含まれているんですよ。
鮭(サケ)にはどのような薬効があるのですか?
1. 健脾温胃和中(けんぴおんいわちゅう)
鮭には「脾(消化器系)を健やかにし、胃を温め、中焦(消化器官)を調和させる」効果があります。具体的には次のような症状に効果的です。
- 胃の痛み
- 食欲不振
- 腹部の冷え
2. 補益気血(ほえききけつ)
「気と血を補い、めぐりを良くする」効果もあります。次のような症状の改善が期待できます。
- 疲れ
- めまい
- むくみ
- 下痢
水分代謝を助ける効果 鮭の温性の性質は、体内の水分代謝を促進します。そのため、むくみの改善や血行促進効果が期待できます。冷え症でお悩みの方にはとくにおすすめの食材といえるでしょう。
応用例
- 胃腸の冷えによる痛みには:「鮭 + 韮(ニラ)」の組み合わせが効果的
- 石狩鍋や三平汁など、サケのぶつ切りを入れた味噌鍋は、身体が芯から温まるのでおすすめです
鮭(サケ)を食べる際の注意点はありますか?
鮭は多くの効能がある食材ですが、いくつか注意点もあります。
1. 食べ過ぎに注意
体に熱がこもりやすい体質の方(実熱体質)が食べ過ぎると、以下のような症状を引き起こす可能性があります。
- めまい
- アレルギー反応
2. 調理法と保存方法
- 加熱調理することで安全に食べられます
- 冷凍保存すれば長期間保存可能です
- 缶詰は骨まで柔らかく加工されていることが多く、カルシウム補給にも適しています
鮭の健康効果と現代医学的な見解は?
現代の栄養学でも、鮭は非常に健康的な食材として評価されています。
心血管系の健康維持 鮭に含まれる不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は、血中の脂質やコレステロール値を下げる効果があると言われています。心血管疾患の予防に役立つ可能性があります。
美容効果 鮭に含まれるアスタキサンチンには強力な抗酸化作用があり、自由基を除去して皮膚の老化を遅らせる効果が期待できます。また、不飽和脂肪酸は皮膚の保湿因子の生物活性を高め、しわの発生や乾燥を防ぐのに役立ちます。
脳機能の向上 鮭に含まれるDHAなどの長鎖オメガ3脂肪酸は、脳や神経系統の発達と機能維持に不可欠な栄養素です。認知機能の向上や認知症の予防にも役立つ可能性があるとされています。特に胎児の神経発達や知能向上にも寄与するとされています。
まとめ:鮭(サケ)の効能と上手な取り入れ方
鮭は東洋医学的には「温性」の食材で、体を温め、消化を助け、気血を補う効能があります。現代栄養学的にも、良質なタンパク質、オメガ3脂肪酸、ビタミンDなどの栄養素が豊富で、健康維持に役立つ食材として評価されています。
鮭の主な効能まとめ
- 体を温める
- 消化を助ける
- 気と血を補う
- むくみを改善する
- 冷え症を改善する
- 骨を丈夫にする
- 肌の健康を保つ
ただし、食べ過ぎは体に熱がこもる原因になるため注意が必要です。また、生食する場合は必ず冷凍処理をして寄生虫のリスクを避けましょう。
季節の変わり目や寒い季節には特に積極的に取り入れたい食材です。石狩鍋や三平汁など、鮭のぶつ切りを使った温かい味噌汁は、体の芯から温まるのでおすすめですよ。
あなたも今日から薬膳の知恵を活かして、鮭をより健康的に楽しんでみてはいかがでしょうか?
参考文献

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