【もち米の薬効】温性と脾胃への効能を知って正しく取り入れる方法

穀物類など

古来より東洋医学では、食材そのものに薬効があるとされてきました。日本人の食生活に欠かせない「お米」もその一つです。特に「もち米」は、うるち米とは異なる独特の性質を持ち、東洋医学では重要な薬膳食材として扱われてきました。

今回は日常的に口にすることの多い「もち米」について、その薬効や適した体質、注意点までを東洋医学の視点から詳しく解説します。お餅やおこわ、赤飯など、もち米料理を健康に役立てるヒントが見つかるかもしれませんね。

もち米の基本的な性質は?

もち米は東洋医学では以下のような性質を持つとされています:

【性味/帰経】

  • 性質:温性(体を温める)
  • 味:甘味
  • 帰経:脾、胃、肺(これらの臓腑に特に作用する)

もち米の最大の特徴は「温性」であること。つまり、体を温める性質を持っています。うるち米と比べると、でんぷん質のアミロペクチンという成分が多く含まれているため、熱を加えると強い粘り気が出るのが特徴です。

この粘り気と温める性質が、体の中でどのように作用するのかが、もち米を理解する鍵となります。

もち米にはどんな薬効がありますか?

もち米には主に2つの大きな薬効があります:

1. 補中益気・健脾止瀉(ほちゅうえっき・けんぴししゃ)

脾胃の機能を高め、気を補い、下痢を止める効果があります。具体的には以下のような症状に効果的です:

  • 脾胃虚弱による疲労感
  • 食欲不振
  • めまい
  • 下痢
  • 頻尿

2. 固表止汗(こひょうしかん)

肺の気が弱まることで起こる症状を改善します:

  • 自汗(少し動いただけで汗が止まらない)
  • かぜを引きやすい体質の改善

うるち米にも下痢を止める作用がありますが、もち米はその作用がさらに強力です。そのため、お腹が弱くて下痢が止まらずに困っている方には特に効果的でしょう。

また、皮膚表面の「汗の窓」を調整する働きも高めてくれるので、気の不足によって汗がダラダラと止まらない方や、風邪を引きやすい方の助けになります。

どんな症状や体質の人にもち米がおすすめですか?

もち米は以下のような方におすすめです:

  • 慢性的な疲労感がある方
  • 冷え症の方
  • 冷えが原因の下痢に悩む方
  • 身体が弱く少し動いただけで汗が止まらない方
  • 頻尿の方
  • 風邪を引きやすい方

もち米がこれらの症状に効果的な理由は、その「温性」と「補気」の作用にあります。東洋医学では、上記の症状は多くの場合「気虚」や「陽虚」という状態から生じると考えられています。

もち米には体を内側から温め、中焦(胃腸)の機能を高める働きがあるため、冷えによって弱った消化機能を回復させます。これにより栄養の吸収が促進され、慢性的な疲労感が改善されるのです。また、腸の蠕動運動を整えることで、冷えが原因の下痢を改善します。

「固表止汗」の作用は、体表の防御機能(衛気)を強化し、不必要な汗の排出を抑えます。これは気が不足して汗腺の開閉機能が弱まった状態を改善するため、少し動いただけで汗が止まらない方や風邪を引きやすい方に効果的です。

さらに、脾・腎の機能を高めることで水分代謝が改善され、頻尿の症状も緩和されます。これらの効果はすべて、もち米の持つ「補中益気」の働きによるものなのです。

もち米をどのように活用すれば効果的ですか?

もち米の効果を最大限に引き出すには、他の薬効のある食材と組み合わせるのが効果的です。

■応用例

  • 疲労、食欲不振の場合:もち米 + 山薬(やまいも)、大棗(なつめ)、蓮子(れんし)

体力回復や授乳中の方の母乳の出をよくするために古くから利用されてきました。特に冬場や体が冷えている時期には、もち米のおかゆやお餅を適量取り入れると体が温まり、元気が出てきます。

朝食に小さめのおにぎりを1つ、もち米で作ると、一日の活力源になりますよ。

もち米を食べる際の注意点はありますか?

もち米は素晴らしい効能がある反面、食べ過ぎや不適切な摂取は逆効果になることもあります。以下の点に注意しましょう:

1.以下の体質の方は多食や常食を避ける

  • ニキビや湿疹のできやすい方
  • 暑がりなどの陽盛体質の方
  • 蓄膿症、慢性気管支炎の方
  • アレルギー体質の方

2. 便秘に注意

熱は腸内環境にも影響し、腸の水分を奪って便を硬くする作用があります。そのため、もともと便秘傾向のある方や、普段から便が硬く出にくい方は、もち米の摂取量に特に注意が必要です。

コロコロとした兎の糞のような便になりやすい方は、もち米を食べる際には十分な水分摂取を心がけるとよいでしょう。

3. 風邪の時は控える

風邪の場合は、邪を外に追い出して解消したいので、もち米の摂取は控えた方が良いでしょう。

4. 熱を生じやすい方は注意

もち米は3〜4世紀頃の中国の書物にも「熱が多く、大便を硬くする」と記載されているように、体に余分な熱を生じさせる作用があります。

体内に熱がこもりやすい体質の方がもち米を多く摂取すると、その温性の性質により内部の熱が増加します。こうして生じた余分な熱は様々な不調を引き起こす可能性があります。

例えば、顔や体がほてる、のどの渇きが強くなる、イライラしやすくなる、頭痛を起こしやすくなるなどの症状として現れることがあります。

5. 粘り気による影響に注意

もち米の粘る性質が胃の蠕動運動を妨げると、食べ物の消化不良を起こし、全身の気血の巡りも悪化させる可能性があります。

まとめ:もち米の薬効を知って賢く活用しよう

もち米には、体を温めることで体の機能を高め、「出すぎて困るもの」を留める働きがあります。冷えからくる下痢や頻尿、自汗などの症状改善に役立ちますが、その特性をしっかり理解して活用することが大切です。

もち米の主な効能:

  • 体を温め、気力を補う
  • 下痢を止める
  • 頻尿を改善する
  • 過剰な発汗を抑える
  • 風邪の予防に役立つ

注意すべき点:

  • 便秘気味の方は摂取量に注意
  • 熱が原因の症状には不向き
  • アレルギー体質の方は控えめに
  • 風邪の時は避ける

東洋医学では「薬食同源」と言われるように、食べ物は薬と同じく体に作用します。もち米の温性という特性を理解し、自分の体質に合わせて上手に取り入れることで、日常の健康維持に役立てていきましょう。

正しい知識を持って、季節や体調に合わせてもち米料理を楽しんでくださいね。

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