日本の初夏を彩る果物といえばサクランボ。その甘くて鮮やかな赤い実は見た目も美しく、誰もが一度は食べたことがあるでしょう。しかし、このサクランボには美味しさだけでなく、漢方的な観点から見ても様々な健康効果があることをご存知でしょうか?
今回は、普段何気なく食べているサクランボの持つ漢方的な薬効について詳しくご紹介します。日常の食生活に取り入れることで、梅雨の時期の体調管理や関節の悩みにも役立つかもしれません。ぜひ最後までお読みいただき、サクランボの新たな魅力を発見してください。
サクランボの漢方的な特徴を教えてください
A: サクランボは漢方では「桜桃(おうとう)」と呼ばれ、以下のような特性を持っています。
- 性味:温性・甘味
- 帰経:脾、胃、腎
- 性質:体を温める性質があり、甘い味わいを持ちます
サクランボは生で食べるだけでなく、コンポート、ジャム、お酒に漬けるなど様々な調理法で楽しむことができる万能な果物です。見た目の美しさと味の良さから、古くから親しまれてきました。
サクランボにはどのような漢方的効能があるのですか?
A: サクランボには主に3つの重要な効能があります。
- 祛風除湿(きょふうじょしつ): 体内の余分な湿気を取り除き、風邪の邪気を祓う効果
- 補中益気(ほちゅうえっき): 脾胃の働きを強化し、気を補う効果
- 透疹潤膚(とうしんじゅんふ): 皮膚の発疹を透かし出し、肌に潤いを与える効果
これらの効能について、詳しく見ていきましょう。
サクランボはどのように関節痛や筋肉痛に効果があるのですか?
A: 関節が健康に動くためには、関節周辺の気血の巡りが滞りなく流れていることが重要です。関節内のクッションとなる軟骨や関節包が柔らかく保たれていなければなりません。
しかし、関節周辺に冷えや余分な水分が停滞すると、気血の流れが悪くなり、次のような症状が現れます:
- だるさ
- しびれ
- 重だるさ
- ひきつる感じ
- 関節のこわばり
- 筋肉痛
- 関節痛
- 神経痛
サクランボは体を温めながら、関節や筋肉に居座っている余分な水分を外側へと発散させる効果があります。そのため、特に湿度の高い梅雨時期に起こりやすい浮腫みを伴う関節痛や筋肉のこわばりの改善に役立ちます。
サクランボは消化器系にどのような効果がありますか?
A: 私たちが食べたものは、胃気によって消化され、脾気によって吸収されて体に必要な栄養となります。この脾気の働きは余分な水分や冷えによって弱められてしまいます。
サクランボに含まれるクエン酸などの酸味成分は、唾液や胃液の分泌を促進する効果があります。これにより:
- 食欲増進
- 消化吸収の促進
- 疲労回復
- 胃腸虚弱による下痢の改善
が期待できます。
サクランボが体を温め、余分な水分を発散する働きは、脾気の働きを助け、胃腸の機能を回復させるのに役立ちます。食欲不振や胃腸の弱りを感じる時には、サクランボを摂取すると良いでしょう。
サクランボは肌にどのような効果をもたらしますか?
A: サクランボの「体を温めて余分な冷えや水分を発散する」働きは、皮膚にも良い影響をもたらします。肌の内側に停滞して出られないでいる不要物質(肌のブツブツの元)を発散させる効果があります。
これにより:
- 皮膚への栄養供給経路の回復
- みずみずしい肌の回復
- 顔色の改善
が期待できます。お腹の働きが回復し、皮膚周辺の気血の流れが良くなれば、全体的な肌の状態も改善されます。
サクランボを食べる際に気をつけるべきことはありますか?
A: サクランボには多くの健康効果がありますが、一方で注意すべき点もあります:
- 体質による注意点:
- 体が熱っぽく高血圧の方は控えめに
- 体が乾燥気味の方は少量にするのが望ましい
- 消化に関する注意点:
- サクランボの皮は果肉に比べて消化吸収しにくい
- 食べ過ぎると下痢を引き起こす可能性がある
- 消化不良気味の方(お腹の中で水の音がする方)は控えたほうが良い
- 一般的な注意点:
- どんなに美味しくても、体に良いからといって食べ過ぎないこと
- 個人の体質や体調に合わせて適量を摂取すること
まとめ
サクランボは単に美味しいだけの果物ではありません。
漢方医学の観点から見ると、サクランボ(桜桃)には体を温める性質があり、多くの健康効果を持っています。
疲労回復作用や冷え症の改善効果もあり、季節の変わり目や体調管理に役立つ自然の恵みといえるでしょう。ただし、体質や体調によっては摂取量に注意が必要で、適量を心がけることが大切です。
サクランボの季節には、この美味しい果物を食べながら、その漢方的な効能も意識してみてはいかがでしょうか?
参考文献

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