私たちの食卓に欠かせないトマト。その鮮やかな赤色と爽やかな酸味は多くの料理に彩りを添えてくれます。しかし、トマトは単においしいだけではなく、東洋医学の観点からも優れた薬効を持つ食材であることをご存知でしょうか?
今回は、私たちの身近にある食材「トマト」について、東洋医学の視点からその効能や活用法をご紹介します。夏バテ予防や疲労回復、さらには高血圧対策まで—トマトの持つ素晴らしい力を知れば、毎日の食生活がさらに豊かになるはずです。
トマトの基本情報を教えてください
トマトは東洋医学では「西紅柿(せいこうし)」または「番茄(ばんか)」と呼ばれています。その性質と特徴は以下の通りです。
- 性味: 微寒、甘、酸
- 帰経: 肝、脾、胃
トマトは「微寒」の性質を持ち、体を穏やかに冷やす効果がありますが、他の夏野菜と比べて冷やしすぎる心配が少ないのが特徴です。また、「甘」と「酸」の味わいを併せ持ち、肝・脾・胃の経絡に作用します。
トマトにはどのような薬効がありますか?
1. 清熱生津止渇(せいねつせいしんしかつ)
トマトは体内の熱を冷まし、水分バランスを整える効果があります。特に:
- 夏の暑さから体を守り、熱を穏やかに冷ます
- 体内の水分バランスを整え、喉の渇きを癒す
- 熱病による煩渇(のどの渇き)を改善する
2. 健胃消食(けんいしょうしょく)
トマトに含まれる酸味成分は消化器系の働きを助けます。
- 唾液や胃液の分泌を促進し、食欲を増進
- 消化吸収をサポートし、食欲不振や消化不良を改善
- 胃腸の機能を活性化させる
3. その他の効能
- 解毒作用: 肝臓の代謝機能を活性化させ、体内の毒素排出を助ける
- 抗酸化作用: リコピンによる強い抗酸化作用で、がんや動脈硬化を予防
- 高血圧の改善: カリウムがナトリウムの排泄を促し、浮腫みや高血圧を改善
- 疲労回復: ビタミンやミネラルの補給により、疲労回復を促進
トマトを食べる際の注意点はありますか?
トマトは多くの効能を持ちますが、以下のような点に注意が必要です:
1. 冷え症の方は控えめに
- 寒い季節や冷え症の方は多食を避ける
- 冷蔵庫で冷やしすぎず、常温で食べるのが理想的
- 熱を加えたり、生姜などの温性食材と組み合わせると良い
2. 消化器系に問題がある方は注意
- 軟便や腹痛がある場合は多食を避ける(症状を悪化させる可能性あり)
- 胃酸過多の方は食べ過ぎると胸焼けを起こすことがある
3. アレルギー体質の方は要注意
- トマトにはヒスタミンが多く含まれているため、アトピーや肌荒れ、蕁麻疹、花粉症などのアレルギー体質の方は控えめに
トマトジュースで二日酔い対策ができるのは本当ですか?
はい、トマトジュースには二日酔い対策としての効果が期待できます。その理由は以下の通りです:
- トマトに含まれる成分が肝臓内のアルコール分解酵素を活性化
- ビタミンやミネラルの補給による疲労回復効果
- 水分補給による脱水症状の改善
- 体内の熱を冷まし、喉の渇きを癒す効果
特に朝起きたときの二日酔いには、冷やしすぎていないトマトジュースを飲むことで症状の改善が期待できます。ただし、胃が荒れている場合は酸味が刺激になることもあるので、体調に合わせて調整してください。
トマトの赤い色素「リコピン」の効果について詳しく教えてください
リコピンはトマトの赤い色素成分で、強力な抗酸化作用を持っています:
- 活性酸素を除去し、細胞の酸化ストレスを軽減
- がん細胞の増殖を抑制する効果が研究で示されている
- 血管の老化を防ぎ、動脈硬化を予防
- 肌の老化防止にも効果的
特に以下の点に注意すると、リコピンの吸収率が高まります:
- 加熱することでリコピンの吸収率が上昇(生より加熱したトマトソースの方が吸収率が高い)
- オリーブオイルなどの油と一緒に摂ることで吸収率が約2〜3倍に
- 皮の部分に多く含まれるので、皮ごと食べるのがおすすめ
まとめ
トマトは東洋医学的に見ても西洋栄養学的に見ても、非常に優れた食材です。「微寒」の性質を持ちながらも極端に体を冷やさず、清熱生津止渇、健胃消食といった効能があります。
夏バテ予防や疲労回復、高血圧対策など、様々な健康効果が期待できる一方で、冷え症の方やアレルギー体質の方は摂取量に注意する必要があります。
トマトは生食はもちろん、加熱調理することでリコピンの吸収率が高まり、さらに効果的に健康をサポートしてくれます。季節や体質に合わせて適切に取り入れることで、トマトの持つ素晴らしい力を最大限に活かしましょう。
毎日の食卓に取り入れやすいトマト。東洋医学の知恵を借りて、より賢く美味しく活用していきたいですね。
参考文献

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