皆さんのキッチンに常備されている長ネギ。普段何気なく料理に使っているこの野菜には、実は古くから東洋医学で重宝されてきた薬効があることをご存知でしょうか?
特に白い部分「葱白(そうはく)」は、風邪の初期症状を和らげたり、冷えによる不調を改善したりする効果が期待できる優れた食材です。
今回は、そんな身近な食材である葱白の薬効や活用法について詳しくご紹介します。冬の健康維持や、体調不良時の家庭療法として、ぜひ参考にしてみてください。
葱白とは何ですか?
葱白(そうはく)とは、長ネギの白い部分のことを指します。中医学では古くから薬用として用いられてきました。
長ネギは中国西部やシベリア南部が原産地とされ、古代から栽培されていました。日本には奈良時代以前に朝鮮半島を経由して伝来しました。
日本では地域によって食べる部分が異なり、東日本では白い部分を食べる「根深ネギ(長ネギ)」が好まれる一方、西日本では緑の葉の部分が多い「葉ネギ(青ネギ)」が主流です。
葱白の性質と薬効にはどのようなものがありますか?
性味と帰経
- 性味:温、辛
- 帰経:肺、胃
主な薬効
葱白には以下のような優れた薬効があります:
- 発汗解表作用:体の表面から汗を出して邪気を追い出す効果があり、風邪の初期症状(発熱や悪寒)に有効です。
- 散寒通陽作用:体内の冷えを取り除き、陽気を通じさせる効果があります。これにより、四肢の冷え、弱い脈、腹痛などの症状を和らげます。
- 解毒散結作用:毒を解消し、滞りを散らす効果があり、腫れものなどに有効です。
- 免疫力向上効果:特有の辛味成分である硫化アリルには、免疫力を高め、動脈硬化を予防する働きもあります。
- 胃腸機能調整:胃腸の働きを整える作用があり、便秘や下痢の予防にも役立ちます。
これらの効果から、葱白は風邪の初期症状や冷えによる不調の改善に特に効果的で、古くから薬膳や漢方の生薬としても用いられてきました。
葱白はどのように活用できますか?
葱白は様々な方法で活用できます。日常的な料理だけでなく、体調不良時の対処法としても役立ちます。
風邪の初期症状に効果的
葱白と生姜を煮出して味噌汁などにして飲むと、風邪の初期症状(風寒感冒)に効果的です。これは中国の伝統的な食療法の一つで、発汗を促進し風邪の邪気を追い出す効果があります。特に咳、鼻水、くしゃみ、頭痛などの症状の緩和に役立ちます。
風寒感冒の初期や軽度の症状の場合に効果的ですが、症状が重い場合は医師の指導のもと適切な治療を受けることをお勧めします。
日常料理での活用法
長ネギは日常の料理でも多彩に活用できます:
- 鍋料理:すき焼きや鍋物の具材として、甘みと香りを引き立てます
- 薬味:刻んで蕎麦やうどんの薬味として使用し、風味を増します
- 炒め物:肉や他の野菜と共に炒め、食感と味わいを楽しめます
- 焼き物:丸ごと焼いて、シンプルな味付けで素材の旨味を味わえます
葱白を使用する際の注意点は何ですか?
葱白は多くの効能がある一方で、いくつかの注意点もあります:
- 表虚多汗の人には禁忌:体力が弱っていて多汗の方は使用を避けてください。
- ナツメとの併用に注意:特に更年期でのぼせや発汗がある方は併用しないでください。
- 風熱感冒には不向き:風邪でも熱が強いタイプの場合は、症状を悪化させる可能性があるため使用を控えましょう。
まとめ:葱白の効果的な活用法
葱白(長ネギの白い部分)は、古くから東洋医学で重宝されてきた生薬で、発汗解表、散寒通陽、解毒散結などの優れた効能を持っています。
特に風邪の初期症状や冷えによる不調に効果的で、頭痛や悪寒、腹痛などの症状緩和に役立ちます。生姜との相性も良く、組み合わせることでさらに効果を高めることができます。
日常の料理にも多彩に取り入れられる葱白ですが、体質や症状によっては注意が必要な場合もあります。表虚多汗の方や、ナツメとの併用には注意しましょう。
身近な食材である葱白の薬効を知り、日々の健康維持や体調不良時の対策として上手に活用してみてください。季節の変わり目や寒い時期の健康管理にきっと役立つはずです。
参考文献

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