
こんにちは
どうなさいましたか?

頭痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
頭痛がなかなか良くならず、漢方薬で改善したいとお考えですね。
ストレスを感じると頭が重くなったり、耳鳴りがしたり、肩がパンパンに張ってしまう。そんな症状に悩まされていませんか?
**釣藤散(ちょうとうさん)は、ストレスなどで気の巡りが悪くなり、体の上の方に熱がこもることで起こる症状を解消する漢方薬です。**耳鳴り、頭痛、肩こりなど、上半身の不調に働きかけます。
本記事では、釣藤散がどのような働きをするのか、どんな体質の方に向いているのかを、中医学の視点から詳しくご説明いたします。
釣藤散はどんな漢方薬ですか?
釣藤散は、11種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。体の上の方に上昇した熱を鎮め、お腹の働きを高めて潤いを補充しながら、余分な水分を排除してくれます。
配合されている生薬とその働きは次の通りです。
- 釣藤鈎(ちょうとうこう):上昇した熱を下げる
- 菊花(きくか):頭部の熱を冷ます
- 防風(ぼうふう):気の滞りを発散させる
- 石膏(せっこう):強い熱を冷やす
- 半夏(はんげ):気を下向きに降ろす
- 生姜(しょうきょう):お腹を温め水分を巡らす
- 陳皮(ちんぴ):気を巡らせる
- 人参(にんじん):お腹の働きを高める
- 甘草(かんぞう):諸薬を調和させる
- 茯苓(ぶくりょう):余分な水分を排出する
- 麦門冬(ばくもんどう):潤いを補う
これらの生薬が協力し合って、体のバランスを整えていきます。
どうして体の上の方に熱がこもると症状が起きるのですか?
中医学では、**「通らないから痛み、通っていれば痛まない」**と考えています。体に必要のない熱が浮き上がって頭に停滞すると、さまざまな症状の原因となります。
耳鳴りが起こる理由
耳が音を聞き分けるには、空気の振動を耳の中にある3つの骨で増幅し、その振動で音を信号に変える細胞が動きます。
この働きがスムーズに行われるには、細胞を動かすエネルギー(気)だけでなく、柔軟に動くための潤いも必要です。
ストレスで気の巡りが悪くなると、お腹に余分な水分が停滞し、体の上の方に余分な熱が向かってしまいます。その熱によって周辺の潤いが消耗されると、細胞の働きが過剰になって耳鳴りが起こります。
頭痛が起こる理由
頭は体の上の方にあり、気血が届けられることで正常な機能を維持しています。
気血が届かなくても痛みになりますが、過剰に押し寄せても渋滞を起こして痛みになります。
釣藤散が効果的な頭痛では、ストレスで気の巡りが悪くなり、体の上の方に熱が過剰に押し寄せています。頭で熱が渋滞しているため、ズキズキと張り感の強い吐き気を伴った頭痛になります。
さらに、お腹に余分な水分が充満していると、上昇する気の流れに水分も巻き込まれて、重だるいような痛みになることもあります。
肩こりが起こる理由
肩こりも同様の理由で起きています。
ストレスなどで気の動きが制限されると、滞った気が上向きに上昇し、肩と首などの狭く通りにくい場所で充満します。
気が充満しているため、外側へと拡がる勢いでパンパンに膨らんだような肩こりを感じます。滞った気が熱を生じて、顔が赤く首の周辺も熱を感じるようになります。
どうして釣藤散で症状が良くなるのですか?
釣藤散は、3つのステップで症状を解消します。
ステップ1:お腹の働きを整える
人参、茯苓、生姜、甘草が、お腹の働きを高めて余分な水分が停滞しないように水の巡りを改善します。
- 人参、甘草:お腹のパワーアップを応援
- 生姜、茯苓:お腹の中の水分を巡らせる
さらに、陳皮、半夏がお腹の中に停滞しているドロドロしたものを温めながら動かし、下向きに引き降ろして排除します。陳皮、半夏には気を下向きに引き降ろす働きもあります。
ステップ2:上昇した熱を解消する
釣藤鈎、菊花、石膏、防風が、体の上の方に上昇してしまった熱を解消します。
釣藤鈎、菊花、石膏は、鎮静作用や血圧を下げる働きによって、浮き上がった熱を引き降ろしてくるため、熱によって上で騒いでいる状態を解消します。
防風は、気の滞りを穏やかに外側へと発散させて巡らせます。強い勢いで発散させるとかえって気が煽られて症状が悪化するのを、防風が回避してくれます。
ステップ3:潤いを補充する
人参、麦門冬、甘草が、身体の上の方へ潤いを補充します。
これにより、上の方の熱が冷まされるとともに、上から下への水の流れが回復します。上にこもっていた気や熱が水の流れと共に下向きに流れていく順調な流れが取り戻されます。
こうすることで、耳鳴り、頭痛、肩こりなどが解消されます。
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
釣藤散は、次のような特徴がある方に向いています。
ストレスを感じやすい方
- 気が焦ってしまっていたり、せっかちで何をやるにも慌てているような方
- ストレスがあるのに歯を食いしばって我慢強く辛抱しているような方
症状の特徴
- 頭が熱を持ってズキズキ痛む
- 吐き気を伴う頭痛がある
- 顔が赤くなりやすい
- 首の周辺に熱を感じる
- 肩がパンパンに張って膨らんだように感じる
体質の特徴
- お腹の働きが弱っている
- 体の上の方に熱がこもりやすい
- ストレスで気の巡りが悪くなりやすい
使う際の注意点
石膏や麦門冬などで胃を冷やし、陳皮、半夏をはじめとして気を下向きに引き降ろす作用があります。
そのため、冷えが強いような方の場合には、下痢や軟便になってしまう事がありますので注意が必要です。
体質や症状によっては、他の漢方薬の方が適している場合もあります。症状が複雑な場合には単独では効果がない場合もありますので、当店で漢方相談を承っております。お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、ストレスなどで気の巡りが悪くなり、体の上の方に浮き上がった熱がこもった状態を解消する漢方薬として、釣藤散をご紹介しました。
耳鳴り、頭痛、肩こりなどが起こる原因にはさまざまなものがありますが、熱によって働きが過剰になってしまうことでも起こります。
釣藤散の効果を高めるために、次のような生活習慣を心がけてみましょう。
- 適度に運動するなどして体を動かし、気の巡りを良くする
- お腹に負担をかけないような食生活を心がける
- ゆったりとした時間を作って、呼吸法や瞑想などをする
- 耳の周辺を優しく指圧する
- 下腹部をマッサージする
耳の周辺が硬くなっていたり、おへその下が硬くなって血流が悪くなっている場合もありますので、セルフケアもぜひお試しください。
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