
こんにちは
どうなさいましたか?

頭痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
頭痛や偏頭痛でお悩みの方は非常に多いものです。特に天気が変わる前に決まって頭痛が起こる「天気痛」に悩まされている方も少なくありません。市販の鎮痛剤で一時的に痛みを抑えることはできても、根本的な体質改善には至らないことがほとんどです。
東洋医学では、頭痛は単なる症状ではなく、体内の気血水のバランスの乱れのサインとして捉えます。今回は、偏頭痛などに悩む26歳女性の方の体験談をもとに、東洋医学の視点から頭痛の原因と体質改善のための自然療法について詳しくご紹介します。
外見的な特徴とお悩みの症状
まずはこの方の特徴を見てみましょう。
- 26歳の女性
- 身長:153cm
- 体重:40kg
- BMI:17.09(やせ型)
主な症状:
- 天気が悪くなる2日前から頭痛が起こる
- 眼精疲労がある
- 眠りが浅く朝方に目が覚めてしまう
- 不正出血がある
- おりものの量が多い
また、舌診では、舌の色は紫色が強くて厚ぼったく、歯の痕が残り、苔の上の水分は水っぽく、苔は剥れているところがあります。舌の裏の静脈は細いですが、よく見えるとのことです。
東洋医学から見た頭痛の原因とは?
東洋医学では、頭痛を含めたあらゆる痛みの原因を「通らないから痛み、通っていれば痛まない」と考えます。つまり、頭痛が起きる原因は、頭へと通じる気血の流れが阻害されていることにあります。
頭は体の上部にあり、気血が十分に届けられることで正常な機能を維持しています。この気血の流れに問題が生じると、以下のようなタイプの頭痛が発生します:
- 気の滞りによる頭痛:ストレスなどで気の巡りが悪くなり、頭部に熱が過剰に押し寄せると、ガンガンと外側に膨らんでいくような張り感の強い吐き気を伴った頭痛になります。
- 血の上昇による頭痛:怒りやストレスで血が上昇し、頭部で渋滞を起こすと、拍動に合わせてズキンズキンとする、中心部に向かってえぐられるような痛みとなります。
- 水分(津液)の充満による頭痛:体の水分が頭部に充満すると、水風船が頭に乗っかったような重だるく膨らんだ感じを伴う頭痛になります。
- 気血の不足による頭痛:気血が頭部に届かず不足すると、ふらつき感や落ち込んだ感じ、火照るような感じを伴う頭痛が見られます。
- 冷えによる頭痛:体が冷えると気血が十分に巡らず、頭部に必要な気血が届かなくなって頭痛を引き起こします。
この方の体質はどのタイプ?
天気が悪くなる2日前から頭痛になるという特徴から、まずは体内の水分バランスに注目してみましょう。
この方の症状を詳しく分析すると:
- 舌が厚く、苔の上の水分が水っぽい
- おりものの量が多く臭いがある
- ふくらはぎや瞼に浮腫みがある
- 尿の回数が1日に10回あり、量も多い
- 胃の中でチャポチャポ音がする
これらの症状から、体のあちこちに余分な水分が停滞していることがわかります。しかし、BMIが17.09とやせ型であることや、舌の苔が薄いことから、体全体に水分が溢れているわけではなさそうです。
また、以下の症状も見られます:
- 目が疲れやすく乾燥しやすい
- 不眠になりやすい
- 髪の毛が細い
- 不安感が強い
- 喉が渇いて水を飲みたい
これらは体の上部を中心に血や潤いの不足が感じられる症状です。つまり、全体に水分が充満しているというよりも、動きの悪い水分が偏って停滞しているようです。
さらに気や血の巡りに関する症状を見てみると:
- 舌の色が紫色で強い
- 舌に歯の痕がある
- 食べると胃がもたれる
- 立ちくらみしやすい
これらから、水の巡りに勢いがないことがわかります。
体の熱源についても次の症状が見られます:
- 寒がり
- 手足が冷える
これらの症状から、体の熱源が不足していることがうかがえます。
月経に関する症状としては:
- 月経の周期は正常
- 月経血の量は多い
- 生理痛がある
- 月経血に固まりがある
これらからも、体内の血液や水分の巡りが悪くなっていることがわかります。
この方の体質を総合的に見ると
これらを総合すると、この方は冷えによって気血がうまく拡がることができない体質だと考えられます。その結果:
- 体の下部には水分や血液が停滞し、不正出血やおりものの増加につながっています。
- お腹から下部にかけて気血が充満しているため、腹部の不快感や鈍痛などのお腹の張りが生じ、血液の巡りもドロドロになっています。
- 気血の流れが中心部で冷えて固まっているため、気が滞って上の方に向かって逆流したり、張りを感じさせることになります。
- 逆流した気が頭部に充満することで頭痛が起こり、腸管の動きが悪くなれば便秘に、末端部に気血が巡らなければ手足の冷えや爪がもろくなるなどの症状が現れます。
- 脳の働きを穏やかにする血や潤いが届かないため、不眠や不安感、眼精疲労などの精神状態の不安定さも生じています。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の場合、体の中の水の巡りを改善することが最も重要です。体内の水分が充満していることで、巡らせる力である芯部の熱源に負担がかかり、水が多すぎることで循環が悪くなり、冷えて動きが悪くなっています。
まず、水分摂取の方法に注意しましょう。喉の渇きを感じても、一度にたくさん水を飲むのではなく、少しずつこまめに飲むようにすることをおすすめします。一度に大量の水分をとると、体内の水分バランスが崩れ、余分な水分が停滞してしまいます。
また、サプリメントの見直しも必要かもしれません。サプリメントの性質によっては、体内に余分な水分を充満させるものもあるため、医師に相談してから服用するようにしましょう。
運動面では、週に3回、1時間の散歩をされているとのことですので、適切な運動量は確保できています。
さらに、体質改善のための呼吸法をおすすめします。寝る前に以下の呼吸法を実践してみてください:
- 楽な姿勢で座り、背筋を伸ばして仙骨を立てる
- 顎や眉間など、体のどこかに力みがあればそれらを緩める
- おへその下の丹田に意識を向けながら、7秒間で息を吸い、7秒間止めて、7秒間で吐き出す呼吸を繰り返す
- 7秒間息を止める時に、吸い込んだ息が丹田に押し込まれるようなイメージを持つ
この呼吸法を続けていくと、丹田の周囲に力強さや温かさが感じられるようになり、気持ちが穏やかになります。また、上部の熱が降りてきて脳の興奮が鎮まり、眠りにつきやすくなります。質の良い睡眠が確保されることで、頭痛などの解消にもつながりやすくなりますので、ぜひお試しください。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この体質の方には、以下のような漢方薬が効果的と考えられます。ただし、これはあくまで一般的な体質改善に効果が期待できる漢方薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありませんのでご注意ください。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えによる血行不良や水分代謝の乱れを改善し、めまいや頭痛、冷え症などに効果的です。
- 五苓散(ごれいさん):体内の水分代謝を改善し、むくみや頭痛、めまいなどの症状を緩和します。特に天気の変化による頭痛に効果が期待できます。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):気の巡りを改善し、精神を安定させる効果があります。神経症状やイライラ、不眠などの症状にも効果的です。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が見られないこともあります。ピヨの漢方では、あなたの体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
東洋医学の視点から見ると、頭痛は体内の気血水のバランスの乱れからくる症状です。特に今回ご紹介した方のように、冷えによって気血の巡りが悪くなり、水分代謝が乱れている場合には、体質改善が重要になります。
体質改善のポイントは:
- 水分摂取を少しずつこまめに行う
- サプリメントの見直し
- 適度な運動の継続
- 丹田呼吸法の実践
- 必要に応じた漢方薬の活用
これらを実践することで、根本的な体質改善を図り、頭痛や不眠などの症状を緩和することができます。自分の体質を理解し、日常生活の中で少しずつ改善していきましょう。
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