11歳の女の子の頭痛は「気の滞り」が原因?東洋医学的視点で解説する頭痛のメカニズム

頭痛
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

頭痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

頭痛に悩む子供たちが増えていることをご存知でしょうか?特に小学生から中学生にかけての年代では、成長期特有のストレスや体質の変化により、頭痛を訴えるケースが少なくありません。

今回は、頭痛にお悩みの11歳の女の子の体験談をもとに、東洋医学的な視点から頭痛の原因を探り、自然療法による改善法をご紹介します。お子さんの頭痛でお悩みの保護者の方、自分自身の頭痛の原因を知りたい方にとって、参考になる内容となっています。

外見的な特徴とお悩みの症状

まずは、今回ご相談いただいた11歳の女の子の特徴と症状をご紹介します。

  • 年齢:11歳(女性)
  • 身長:143cm
  • 体重:42kg
  • BMI:20.54

主な症状:

  • 頭痛
  • 腹痛
  • 喉の痛み(特に朝が強い)
  • 舌先の赤みが強く、舌苔は白く乾燥している
  • 舌苔がバターを塗ったようにベターっとしている

頭痛はなぜ起こる?東洋医学の「不通則痛」の考え方

東洋医学では、痛みの原因を「通らないから痛み、通っていれば痛まない」と考えます。これを「不通則痛」と呼びます。

頭痛が起きる原因は、頭へと通じる流れが阻害されて、正常な機能を維持するために必要な「気血(きけつ)」が適切に届けられていない状態にあると考えられます。

頭は体の上部にあり、気血が適切に届けられることで正常に機能します。しかし、大型連休の高速道路のように「渋滞」が起きると、必要な栄養素やエネルギーが届かなくなり、痛みとして現れるのです。

頭痛の原因となる4つのメカニズム

1. 気の滞りによる頭部での熱の渋滞

ストレスなどによって気の巡りが悪くなると、体の上部に熱が過剰に押し寄せて頭で熱が渋滞します。

気とは、体内を流れるエネルギーのことで、体を温め、血や津液(体液)を誘導しながら全身を自由に巡っています。この気が一カ所に留まると、風船が膨らむように気が外に出られずこもった状態になります。

その結果、エネルギーが集中して熱が生じ、ガンガンと外側に膨らんでいくような張り感の強い、吐き気を伴った頭痛になることがあります。

2. 血の上昇による頭部での渋滞

「怒りで頭に血が上る」という言葉があるように、ストレスや激しい怒りによる興奮で血が上昇し、巡りが悪くなると頭痛になります。

本来、鉄を含む重い性質の血は上昇したまま留まることはありませんが、激しい熱によって血が上昇したままになると、頭部で渋滞を起こします。これは「瘀血(おけつ)」と呼ばれるドロドロした状態を引き起こし、拍動に合わせてズキンズキンと中心部に向かってえぐられるような頭痛となります。

この痛みは、正座していた足が解放されたときのしびれのように、芯部へと突き刺さるような痛みを特徴とします。

3. 津液(体液)の充満による重だるい頭痛

体の水分である津液が充満すると、重だるさや腫れ感を伴う頭痛になります。

津液も血と同様に重い性質がありますが、ストレスで気が滞り、それによって生じた熱が水分を巻き込んで上部で充満することがあります。これにより「湿痰(しったん)」と呼ばれるドロドロとした状態になり、水風船が頭に乗ったような重だるく膨らんだ感じの頭痛となります。

特に雨の日の前など天候が崩れる前に発症することが多く見られます。

4. 気血や津液の不足による頭痛

頭は気血によって栄養を補給されているため、それらが届かなくなって不足すると、頭の働きを支える材料不足により頭痛になります。

a) 気の不足による頭痛

気が不足したり、気を持ち上げるパワーが足りないと、ふらつき感や落ち込んだ感じを伴う頭痛になります。

脾気(ひき)には栄養を体の上部へ持ち上げる働きがありますが、この機能が低下すると、頭部が気血の栄養を得られなくなります。この頭痛は一定の間隔で痛みが現れたり消えたりを繰り返す特徴があります。

b) 血の不足による頭痛

血には体に栄養を与え、臓器を正常に機能させる働きがあります。血が不足すると脳の機能維持が難しくなり頭痛となり、めまい、動悸、疲れやすさなどを伴います。

女性の場合、月経の出血量が多いことで血が不足しやすく、特に月経中は上部での血の不足が目立ちやすくなります。

c) 津液の不足による頭痛

津液には体を潤す冷却水としての働きがあります。お風呂に例えると、水が少なすぎると火力はそのままでも湯が沸き立つように、津液の不足で体の熱とのバランスが崩れると、制御できない熱が頭へ向かい頭痛となります。

この場合、目のかすみ、まぶしさ、めまい、火照りなどを伴うことがあります。

d) 冷えによる頭痛

身体が冷えると気血の巡りが阻害され、頭部に十分な気血が届かなくなります。また、外部が異常に冷えると血管が収縮し、気血の巡りが妨げられて頭痛になります。

この11歳の女の子の体質分析

この女の子の症状から体質を分析すると、気の巡りに滞りがあり、こもった気が上昇している状態が見られます。

こもった気のエネルギーによって生じた熱は外側へ向かう傾向があり、頭にこもると頭痛になります。また、大便が4日以上出ない、胸や腹が張る、喉に何かが引っかかる感じがするなど、気の滞りによって腸管の動きが下降できていません。

寒がりで手足が冷えるなどの症状は気の偏在によるものですが、顔色や声の大きさから気の不足の素因は少ないと考えられます。

こもったエネルギーは熱を帯びるため喉の渇きを誘発し、摂取した水分も停滞している間に濃縮されて粘っこくなります。気の滞りと水の停滞が喉の引っかかり感を引き起こし、上昇した水分は頭に停滞して頭の重さを感じさせます。

特に朝の喉の痛みが強いのは、起床直後で気血の巡りに勢いがない時に、体質的な滞りがあると停滞しやすくなるためと考えられます。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

イライラが多いとのことですので、ストレス解消が重要です。体質改善のためには、中心部にこもっている気の流れを解放するリラックスを心がけた運動が効果的でしょう。

頭の興奮や緊張がとれない場合は、ノートに気になることやストレスの原因を書き出すことで発散できます。頭の中でグルグル考えが堂々巡りすると、エネルギーを無駄に消費して緊張がほぐれません。考えを形にすることで、モヤモヤしたエネルギーが発散され、感情の切り替えがしやすくなります。

また、長い呼吸を繰り返すと、副交感神経が優位になり、緊張感が緩み、熱が冷まされ、イライラする感情が穏やかになります。

緊張が現れやすい場所として、顎の噛みしめ、喉を締める癖、前腕の緊張、みぞおちの張り、背骨両脇の筋肉の突っ張りがあります。特に無意識の噛みしめは多く見られ、全身の気血の巡りを悪くします。

普段から上下の歯が合わさっていないか、顎に緊張のシワができていないかをチェックし、力みに気づいたらすぐに緩めましょう。笑顔を作るように口を大きく開いて口角を上げるだけでも、気持ちに変化が現れます。

また、日常の食事療法として、薄荷(はっか)、菊の花、クワノハ、セロリ、大根、シソなどは気の滞りを解消したり炎症を鎮める効果がありますので、上手に取り入れてみてください。

この体質改善に効果が期待できる漢方薬

気の滞りを改善するのに効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これらは特定の体質改善に効果が期待できる一般的な漢方薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう): 気の滞りを改善し、のぼせや興奮を鎮める効果があります。イライラや不安感が強い方に向いています。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん): 気の滞りと血の不足を同時に改善する漢方薬です。イライラや頭痛、のぼせなどの症状がある女性に適しています。
  • 香蘇散(こうそさん): 気の巡りを良くし、気分の落ち込みを改善します。気の滞りによる頭痛、食欲不振に効果が期待できます。

症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が現れにくいことがあります。ピヨの漢方では、お子さまの体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

東洋医学では頭痛を「不通則痛(通らないから痛む)」の原理で捉えます。気の滞り、血の上昇、津液の充満、または気血津液の不足によって頭痛が起こることがわかりました。

今回ご紹介した11歳の女の子の場合、気の滞りが主な原因と考えられ、その熱が上昇して頭部にこもることで頭痛を引き起こしていると思われます。

自然療法としては、適度な運動、ストレス発散法の実践、呼吸法、顎や体の緊張をほぐすことなどが効果的です。また、漢方薬や気の滞りを解消する食材の活用も検討してみてください。

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