古来より珍重されてきたうなぎ。夏バテ防止のスタミナ源として親しまれていますが、実は薬膳においても重要な食材として位置づけられてきました。
奈良時代から食用として記録が残り、平安時代にはすでに料理として確立していたうなぎは、日本だけでなく中国や韓国など東アジア全域で、その栄養価の高さから健康食として重宝されてきました。
特に現代では、良質なタンパク質やビタミン、ミネラル、そして注目の不飽和脂肪酸まで含む「スーパーフード」としての側面も注目されています。
今回は、そんなうなぎの持つ東洋医学的な効能と、現代栄養学から見た健康効果について、詳しくご紹介していきましょう。
うなぎとは?その基本情報について知りたい
うなぎは、細長い体と滑らかな鱗を持つ魚で、淡水と海水を行き来する回遊魚です。日本や中国、韓国など東アジアの食文化において、高い評価を受けています。
東洋医学における位置づけ
性味/帰経:
- 性味:温(平)、甘
- 帰経:肝・脾・腎
東洋医学では、うなぎは「温性」で体を温め、「甘味」があり、主に肝、脾、腎に作用すると考えられています。このバランスの良さが、うなぎが総合的な強壮食品として重宝される理由の一つです。
食文化における歴史
地域によって調理法も異なり、関東風の「蒲焼き」や関西風の「白焼き」など、様々な食べ方が発展してきました。
うなぎにはどんな薬効があるの?
東洋医学では、うなぎには主に以下の薬効があるとされています。
1. 補肺益胃(肺と胃を補い、益する)
以下のような症状に効果的とされます:
- めまい
- 疲労感
- 無力感
- 咳
- 喘息
現代栄養学でも、うなぎに含まれるビタミンAや良質なタンパク質が、呼吸器系の健康維持や体力回復に寄与すると考えられています。
2. 強壮筋骨・活血通絡怯風(筋肉や骨を強くし、血行を促進して風邪を追い払う)
こちらは具体的に以下のような症状に効果があるとされます:
- 足腰の無力感
- 体の痛み
- 筋肉の麻痺
- 痙攣
うなぎに含まれるカルシウムやDHA・EPAなどの不飽和脂肪酸は、現代栄養学においても筋骨の強化や血行促進に役立つことが知られています。
うなぎの現代栄養学的な健康効果とは?
うなぎは東洋医学的な効能だけでなく、現代栄養学的にも非常に優れた栄養価を持っています。
豊富な栄養素
うなぎには以下のような栄養素が豊富に含まれています:
- 良質なタンパク質:筋肉の形成や修復に役立ちます
- ビタミンA:視力の維持や免疫力の向上に効果的
- ビタミンE:抗酸化作用により老化防止に役立つ
- ビタミンB群:エネルギー代謝の促進や神経機能の維持に重要
- DHA・EPA:脳機能の向上や動脈硬化の予防に効果的
- カルシウム:骨や歯の形成に必要
健康効果
これらの栄養素による主な健康効果は以下の通りです:
- 疲労回復の促進
- 老化防止
- めまいの緩和
- 手足のしびれの改善
- 湿度の高い時期の体のだるさの軽減
- 関節痛の緩和
- 手足のむくみの改善
- 風邪予防
- 視力改善
- 動脈硬化の予防
うなぎの旬について
多くの人は夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣から、うなぎは夏が旬だと思いがちですが、実は冬こそがうなぎ本来の旬なのです。
冬のうなぎは「寒鰻(かんのうなぎ)」と呼ばれ、脂がたっぷりと乗って最も美味しい時期とされています。寒い季節に備えて体に脂肪を蓄えるため、冬のうなぎは夏のものに比べて栄養価も高く、肉質も引き締まっているのが特徴です。
東洋医学的にも、冬のうなぎは「温性」の性質がよりいかせます。
うなぎを食べる際の注意点は?
うなぎの素晴らしい効能を知ると、たくさん食べたくなりますが、いくつか注意点もあります。
食べ方に関する注意点
- アレルギーがある方:うなぎにアレルギーがある方は、もちろん摂取を避けてください
- 過剰摂取:「中医学では、うなぎは多くの利点があるものの、長期間にわたる過剰摂取は体に負担をかける可能性がある」と警告されています
- 脂質の多さ:うなぎは良質な脂質を含む一方で、カロリーも比較的高いため、ダイエット中の方は摂取量に注意が必要です
うなぎの健康効果と薬効まとめ
うなぎは東洋医学的にも現代栄養学的にも、非常に価値の高い食材であることがわかりました。
東洋医学的効能のまとめ
- 温性で甘味を持ち、肝・脾・腎に作用
- 補肺益胃:疲労回復、めまいの緩和など
- 強壮筋骨・活血通絡怯風:足腰の強化、痛みの緩和など
現代栄養学的価値のまとめ
- 良質なタンパク質、ビタミン類、DHAやEPAなどの栄養素が豊富
- 疲労回復、老化防止、免疫力向上など多岐にわたる健康効果
- ビタミンAによる視力改善や不飽和脂肪酸による血液循環の改善
うなぎは単なる美味しい食材としてだけでなく、体調管理や健康維持に役立つ「薬食同源」の代表例と言えるでしょう。特に夏の暑い時期だけでなく、ウナギの旬の時期となる冬にも、疲労感を感じたときや体力が必要なときに積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、資源保護の観点からも、特別な日の特別な食材として、大切に味わうことも重要です。持続可能な方法で養殖・漁獲されたうなぎを選ぶことで、この素晴らしい食材を未来にも残していきましょう。
参考文献

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。
