すももは甘酸っぱい味わいと鮮やかな色彩が特徴的な果物で、単なる美味しさだけでなく、漢方的な健康効果も持ち合わせています。中国原産のこの果実は、日本では縄文時代から食べられていたといわれ、長い歴史を持つ食材です。この記事では、漢方医学に基づくすももの健康効果から、美味しい食べ方まで幅広くご紹介します。
すももには多くの栄養素や薬効成分が含まれており、日常的に取り入れることで様々な健康効果が期待できます。古来より利用されてきたこの果実の魅力を、一緒に探っていきましょう。
すもも(李)とは?基本情報を知ろう
性味と帰経について
漢方医学における性味と帰経は、以下の通りです:
- 性味: 平、甘、酸、苦
- 帰経: 肝、腎、脾
これは、すももが体内でどのように作用するかを示す重要な指標です。平性は体を極端に冷やしたり温めたりしないバランスの取れた性質を持つことを意味し、肝・腎・脾に働きかけることを示しています。
栄養成分
すももには以下のような栄養素が豊富に含まれています:
- ビタミンC(美肌効果、免疫力向上)
- 食物繊維(便秘改善、腸内環境の正常化)
- カリウム(むくみ予防、高血圧予防)
- ペクチン(コレステロール低下、腸内環境改善)
- クエン酸(消化促進)
すももの主な薬効とは?漢方的効能を解説
すももには、漢方医学的に見て様々な効能があります。主な薬効を見ていきましょう。
1. 清熱利水(せいねつりすい)
清熱利水とは、体内の余分な熱を冷まし、余分な水分を排出する作用のことです。すももはこの効能により、以下の症状に効果があるとされています:
- むくみの軽減
- 陰虚発熱(体の内側の冷えからくる熱感)の緩和
- 下痢の改善
2. 生津止渇(せいしんしかつ)
生津止渇とは、体内の潤いを生み出し、喉の渇きを和らげる作用です。具体的には:
- 口渇(のどの渇き)の緩和
- 消渇(糖尿病のような症状)の改善
- 煩躁(イライラや落ち着きのなさ)の軽減
3. その他の効能
- 消化促進効果:すももに含まれる果酸は胃酸と消化酵素の分泌を促し、腸の動きを活発にします
- 肝気の調整:特に肝陽亢盛(肝の潤い不足による機能亢進)の状態に良いとされています
- 貧血予防:鉄分や葉酸を含み、軽度の貧血予防に役立ちます
- 通便作用:ペクチンによる自然な通便作用があります
すももの応用例と実践的な活用法
漢方の知恵を生かした、すももの実践的な活用方法をいくつかご紹介します。
消化不良への対策
消化不良に悩んでいる方は、朝と晩に1個ずつすももを食べることで改善が期待できます。すももの果酸が消化を促進し、胃腸の働きを整えてくれるでしょう。
美容効果を高める方法
美容目的なら、すももを酒に漬けて飲む方法が伝統的に用いられてきました。これは「スモモ酒」と呼ばれ、肌の調子を整え、血行を促進するといわれています。
日常的な食べ方
- 皮ごと食べる すももの皮には栄養素が豊富に含まれているので、洗ってそのまま食べるのがおすすめです。
- カットして食べる すももを半分に切り、種に沿って包丁で切り込みを入れて半割りにすると、種を取り除きやすくなります。
- 加工して楽しむ
- ジャムやシロップ作り
- コンポートやゼリー
- スムージーや冷たいデザート
すももを食べる際の注意点は?
すももの持つ様々な効能を享受するためには、いくつかの注意点を守ることが大切です。
1. 体調による制限
- 過剰摂取を避ける:すももは性質が涼しく、果酸も多く含むため、食べ過ぎると腹痛や腹部膨満感、下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
- 脾虚(ひきょ)や下痢がある人は控えめに:果酸が多いため、胃酸を増加させ、胃腸の酸度を高める可能性があります。脾胃が虚弱な方や腹痛・下痢のある方は少量にとどめましょう。
- 糖尿病患者は注意:すももの糖分含有量は比較的高いため、糖尿病患者は摂取量に注意が必要です。血糖値の上昇を招く可能性があるため、医師に相談しながら適量を守りましょう。
まとめ:すもものパワーを日常に取り入れよう
すももは単なる美味しい果物というだけでなく、漢方的にも様々な効能を持つ貴重な食材です。清熱利水(むくみ改善)や生津止渇(喉の渇き緩和)といった効果は、現代の生活習慣からくる不調にも効果的です。
食べ方も多様で、生食はもちろん、ジャムやコンポート、お酒に漬けるなど、様々な方法で楽しめます。ただし、体質や体調によっては注意が必要な場合もあるので、自分の体調に合わせた適切な摂取を心がけましょう。
旬の時期には、ぜひすもものパワーを積極的に取り入れてみてください。甘酸っぱい風味と共に、自然の恵みがもたらす健康効果を実感できるはずです。
参考文献

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