
こんにちは
どうなさいましたか?

咳にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
咳が止まらないというお悩みは、季節を問わず多くの方が抱える症状です。特に子どもの場合、夜間に咳が頻発して睡眠が妨げられると、お子さん自身はもちろん、ご家族の方も心配になりますよね。
今回は、呼吸が荒くなり「ヒューヒュー」という音をたててから咳が止まらなくなる13歳の女性の症例をもとに、東洋医学ではどのように考え、どのような自然療法が効果的なのかをご紹介します。
一般的な対症療法だけでは改善しにくい慢性的な咳の場合、体質からアプローチすることで根本的な改善が期待できます。ぜひ最後までお読みいただき、お役立ていただければ幸いです。
外見的な特徴とお悩みの症状
今回ご相談いただいたのは、次のような特徴をお持ちの13歳の女性です:
- 年齢:13歳(女性)
- 身長:153cm
- 体重:42kg
- BMI:17.87
主な症状:
- 息苦しく、咳が出る前に呼吸が荒くなる
- 口呼吸になりヒューヒューと音が出る
- その後に咳が止まらなくなる
- 鼻呼吸でも苦しい
- 喉に空気が入ると咳が出そうになる
- 咳が出て楽になっても、すぐにまた咳が出る
その他の特徴として、舌は厚ぼったく赤みが強いこと、舌の苔は乾燥しているものの「バターを塗ったようにべたっと」している状態が見られました。また顔色は黄色が強いという外見的特徴もあります。
なぜ咳は発生するのか?基本的な仕組み
まずは、咳が出る原因の基本的な仕組みを理解しましょう。
健康な呼吸の過程では、肺が膨らむことで気道を通って酸素が肺胞に入り、肺胞の粘膜に溶け込んだ酸素が血液中に取り込まれます。そして赤血球と結びついて全身を巡ります。
同時に、血流によって運ばれてきた二酸化炭素は肺胞から放出され、体外へと排出されます。この酸素と二酸化炭素の交換が円滑に行われることが、健康な呼吸の基本です。
しかし、この流れが何らかの理由で妨げられ、空気が逆流するようになると、一気に出口に向かって咳が発生します。
例えば:
- 風邪などの外邪が体内に入り込み、気の正常な流れを阻害する
- 本来下に向かうべき気の流れが降りていけなくなり、上向きに逆流する
- 肺胞周辺が乾燥して酸素が溶け込めなくなる
- 体内の水分バランスが崩れ、肺胞周辺で水分が停滞する
これらの状態では、酸素が肺胞内に停滞し、行き場を失って逆流することで咳となって現れるのです。
東洋医学から見たこの方の体質特徴
この13歳女性の症状を東洋医学的に分析してみましょう。
顔色が黄色く、手足が冷えて寒がりという特徴がありますが、舌の色が赤いことから、単純な冷えではなく、体の中心部に熱がこもっている状態と考えられます。
これは「気血の偏り」があり、特定の部位に気や血が過剰に集まり、別の部位では不足している状態を示しています。
具体的には:
- 気の滞りと逆流:イライラしやすく怒りっぽい、ゲップやガスが出ると楽になる、喉に何かが引っかかる感じがするなどの症状から、本来下向きに流れるべき気が上向きに逆流していることがわかります。
- 水分の停滞と乾燥:雨の日に体調が悪く、痰が白っぽい、のどが渇くなどの症状は、体内の水分が適切に運搬されず停滞していることを示しています。さらに、中心部の熱によって停滞した水分が乾燥し、より動きの悪い状態になっています。
- 血の不足:不安感が強い、目が疲れやすく乾燥しやすい、髪の毛が抜けやすいといった症状は、特に末端部での血の不足を示しています。
これらの状態が複合的に作用し、夜間に気道が狭まり、気血の動きも鈍くなる中で、気道周囲にドロドロとした水分が停滞して気道を狭め、咳を引き起こしていると考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質を考慮した自然療法として、以下のアプローチがおすすめです。
1. 水分摂取の工夫
体内の水分停滞が症状の一因となっているため、水分の摂り方に注意しましょう。
- 運動前や真夏など汗をかく状況では適切な水分補給を
- 夜間など睡眠前のがぶ飲みは避ける
- 喉の渇きを感じてから適量を飲む習慣をつける
- 冷たい砂糖入り飲料よりも、常温の水や麦茶を選ぶ
2. 体質改善に役立つ食材
以下の食材は熱を冷まし、適度な潤いを補充し、咳を鎮める効果が期待できます:
- 菊の花、クワノハ、ハトムギのお茶
- 豆腐、湯葉
- リンゴ、イチジク
- オレンジ、ミカン
- しじみ、はまぐり
- ドクダミ
これらを日常の食事に取り入れることで、体質改善を促しましょう。
3. 適度な運動と身体のリラックス
ストレスが症状を悪化させている可能性があるため:
- 軽い散歩など、リラックスできる運動を取り入れる
- 体のあちこちの「力み」に意識を向け、緩める習慣をつける
- 眠る前に仰向けになり、お腹を意識的に緩める
- 吐く息を長めにした呼吸法でリラックス
4. セルフケアのマッサージ
- 頸椎5~7番、胸椎1~3番周辺の筋肉をストレッチで緩める
- 胸周囲の肋骨の間のくぼみを指で優しく押して緩める
- 左右の耳下腺付近を軽くこする
咳に効果が期待できる漢方薬
この記事でご紹介している体質(気の逆流と水分の停滞がある体質)の改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します:
- 麦門冬湯(ばくもんどうとう):のどの乾燥からくる咳に効果があり、肺を潤す働きがあります。
- 五虎湯(ごことう):気や水の停滞を改善し、水っぽい痰を伴う咳に効果的です。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):気の巡りを改善し、喉の違和感を伴う咳に役立ちます。
※これらは特定の体質に対する一般的な漢方薬であり、個人の症状が複雑な場合には単独では効果が現れないこともあります。症状が長引く場合は、ピヨの漢方での漢方相談をご利用ください。
まとめ
咳が止まらない場合、単に咳を抑える対症療法だけでなく、体質からのアプローチが大切です。今回ご紹介した例では、気の逆流と水分の停滞が複合的に作用して症状が現れていることがわかりました。
自然療法としては:
- 水分摂取の工夫
- 体質改善に役立つ食材の摂取
- 適度な運動とリラックス法の実践
- セルフケアのマッサージ
これらを日常生活に取り入れることで、根本的な体質改善が期待できます。
症状が長引く場合や、お子さんの症状でご心配な場合は、無理せず専門家への相談をおすすめします。
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