日本酒は日本の伝統的なお酒として古くから親しまれてきました。稲作の伝来とともに発展し、現代では「国酒」としての地位を確立しています。
単なる嗜好品としてだけでなく、実は薬膳的な観点からも「薬用」としての側面を持っています。本記事では、生薬としての日本酒の特徴や効能、そして適切な飲み方について詳しくご紹介します。
日本酒は「百薬の長」と呼ばれることもありますが、その効果を最大限に活かすには正しい知識が必要です。健康に役立てるためのポイントを、Q&A形式でわかりやすく解説していきましょう。
日本酒とは?基本情報を知ろう
日本酒は米、米麹、水を原料として発酵させて作られる日本の伝統的な醸造酒です。
性味・帰経:
- 性味:温、辛、甘、苦
- 帰経:心、肝、肺、胃
醸造酒としてはアルコール度数が22〜23度と高く、市販されているものは15度ぐらいに薄められたものが一般的です。
日本酒にはどんな薬効があるの?
日本酒には、漢方医学的な観点から見ると、主に以下のような効能があります。
1. 行気活血(ぎょうきかっけつ)作用 行気活血とは気血の流れを促進する作用のことで、具体的には以下の症状に効果があるとされています:
- 胸痺(胸部のつかえ感や痛み)の緩和
- 四肢の冷えの改善
2. 散寒止痛(さんかんしつう)作用 体内の冷えを取り除き、痛みを和らげる効果があり、次のような症状に有効です:
- 関節・筋肉の痛みの緩和
- 脘腹冷痛(みぞおちや腹部の冷えによる痛み)の改善
- 風湿痺痛(寒さや湿気による痛み)の軽減
これらの効能は、日本酒に含まれる成分によるものです。日本酒には身体機能を活性化するアミノ酸、ペプチド、麴酸などが含まれており、これらが血行を促進して体を温める作用があります。また、抗がん作用のある物質も含まれているほか、悪玉コレステロールの増加を抑える効果も期待できます。
日本酒を飲む際の注意点は?
「百薬の長」と呼ばれる日本酒ですが、適量を守ることが非常に重要です。
飲酒における注意点:
- 少量であれば血行を良くする効果がありますが、多量かつ長期の飲酒は健康に悪影響を及ぼします
- アルコール依存症のリスク
- アルコール性肝障害の可能性
- その他の健康問題を引き起こす恐れ
以下の方は特に飲酒を控えるべきです:
- 高血圧の方
- 糖尿病の方
- 肝炎の方
- 心臓病の方
適量を守り、自分の体調と相談しながら楽しむことが大切ですね。医師から飲酒を控えるよう言われている場合は、必ずその指示に従いましょう。
まとめ:日本酒の魅力と適切な楽しみ方
日本酒は単なるアルコール飲料ではなく、日本の長い歴史と文化に根差した奥深い飲み物です。薬膳的にも「行気活血」「散寒止痛」といった効能を持ち、適量であれば健康にも良い影響をもたらします。
しかし、その効果を得るためには適量を守ることが大切です。過剰な飲酒は体に悪影響を及ぼしますので、自分の体調に合わせて賢く楽しみましょう。
また、日本酒は四季折々の行事や文化と深く結びついています。季節に合わせた日本酒の楽しみ方や、料理への活用法など、様々な形で日本酒の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。
日本の伝統文化である日本酒をより深く理解し、健康的に楽しむための参考になれば幸いです。
参考文献

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。
