毎日の食卓に欠かせないジャガイモ。カレーやコロッケ、ポテトサラダなど様々な料理に使われる身近な食材ですが、実は薬膳の世界では古くから薬効が認められてきました。
南米アンデス山脈原産のこの野菜は、世界中で愛されるだけでなく、東洋医学的にも価値の高い食材なのです。栄養豊富で胃腸に優しいジャガイモには、知っておくと日常の健康管理に役立つ様々な効能があります。
今回は、漢方の視点から見たジャガイモの効能や活用法について、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。身近な食材の隠れた力を知って、毎日の食生活に取り入れてみましょう。
ジャガイモ(馬鈴薯)とは?基本情報を教えてください
ジャガイモ(馬鈴薯)は、南アメリカのアンデス山脈が原産のナス科の植物です。紀元前8000年頃から栽培されていたとされ、長い歴史を持つ食材です。16世紀にスペイン人によってヨーロッパへ伝わり、世界中に広まりました。
漢方における性味と帰経
- 性味: 平、甘
- 帰経: 胃、大腸
つまり、体を冷やしすぎず温めすぎない「平」の性質を持ち、味は「甘」。そして主に「胃」と「大腸」に作用するとされています。
ジャガイモが世界中で広く食べられている理由は主に3つあります:
- 栄養価が高い: 炭水化物が豊富でエネルギー源として優れているだけでなく、ビタミンCやカリウムも含み、栄養バランスに優れています
- 保存がしやすい: 低温で保存すれば長持ちするため、世界中で主要な食料として重宝されています
- 調理法が多様: 煮る・焼く・揚げるなど様々な調理法で楽しめ、多くの料理に活用できます
ジャガイモ(馬鈴薯)にはどんな薬効があるのですか?
ジャガイモには、漢方の観点から見ると「補気健脾(ほきけんぴ)」という重要な働きがあります。これは、脾の働きを高め、気を補う作用のことです。
主な薬効
- 脾気虚(ひききょ)の疲れ: 気力不足や疲労感の改善に役立ちます
- 胃腸トラブルの改善: 胃痛、吐き気、嘔吐、便秘などの症状を緩和します
- ビタミンCの供給: 風邪予防やストレス緩和に役立つビタミンCが豊富です
- 動脈硬化の予防: 血管の健康維持に貢献します
- 血圧調整作用: カリウムが豊富で、余分なナトリウムの排出を促し、腎機能を改善します
ジャガイモのビタミンCは、一般的なビタミンCと違って熱に強いという特徴があります。そのため、加熱調理をしても栄養素が比較的残りやすいのです。
中医学的な効能
中医学では、ジャガイモには以下のような効能があるとされています:
- 解毒消腫(げどくしょうしゅ): 水分代謝を促進し、腫れや炎症を抑える作用があります
- 健脾和胃(けんぴわい): 豊富な食物繊維が胃腸の働きを促進し、食欲不振や腹部膨満感などの症状を改善します。
- 美容効果: ビタミンCやEなどが肌細胞の再生を助け、フリーラジカルによる肌の損傷を減らします。
- 血圧降下作用: カリウムが豊富に含まれており、ナトリウムによる血圧上昇や血管損傷を抑制する効果があります。
- 心血管疾患の予防: マグネシウムやカリウムなどが血圧やコレステロール値を下げ、心臓の健康維持に貢献します。
ジャガイモ(馬鈴薯)の実践的な活用法を教えてください
ジャガイモは日常の食事だけでなく、体調管理にも応用できる優れた食材です。以下に実用的な活用法をいくつかご紹介します。
健康維持のための食べ方
- すりおろしてとろみ付け: ジャガイモをすりおろしてスープやグラタンに加えると、自然なとろみがつきます。消化に優しい料理になるので、胃腸が弱っているときにもおすすめです。
- 冷凍保存で時短: 皮をむいて茹でたジャガイモをマッシュして冷凍しておくと、忙しい日のポテトサラダやコロッケ作りに便利です。
ジャガイモ(馬鈴薯)を使用する際の注意点は?
ジャガイモは安全な食材ですが、いくつか注意すべき点があります:
注意すべきポイント
- 芽や緑色の部分を除去する: ジャガイモの芽や日光に当たって緑色になった部分には「ソラニン」という有害物質が含まれています。必ず取り除いてから調理しましょう。
- カリウム制限がある方は摂取量に注意: 腎臓病などでカリウムの摂取を制限されている方は、ジャガイモの摂取量に注意が必要です。
- アレルギーに注意: 稀にジャガイモアレルギーの方もいます。初めて食べる際は少量から試してみることをおすすめします。
- 過剰摂取に注意: ジャガイモは炭水化物が豊富なため、特に揚げ物など高カロリーの調理法で食べ過ぎると、肥満の原因になる可能性があります。
まとめ:身近な食材ジャガイモ(馬鈴薯)の驚くべき力
ジャガイモ(馬鈴薯)は、私たちの食卓に欠かせない身近な食材でありながら、漢方や中医学の視点から見ると、様々な健康効果を持つ優れた食材であることがわかりました。
主な特長と効能をまとめると:
- 脾と胃の働きを高め、元気を補う「補気健脾」作用
- 胃腸トラブルの改善効果
- 熱に強いビタミンCの供給源
- 余分なナトリウムの排出を促すカリウムが豊富
ただし、芽や緑色の部分に含まれるソラニンには注意し、カリウム制限のある方は摂取量に気をつける必要があります。
日本の食卓に欠かせないジャガイモですが、その薬効を意識して日々の食生活に取り入れることで、より健康的な生活を送るお手伝いになるでしょう。調理法を工夫して、この優れた食材の力を最大限に活かしてみてはいかがでしょうか。
参考文献

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