
こんにちは
どうなさいましたか?

腹痛と下痢にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
食事の後に突然お腹が痛くなったり、下痢に悩まされたりすることはつらいものですよね。せっかくの食事の時間が苦痛になってしまうこともあるでしょう。
このようなお腹のトラブルは、現代医学では過敏性腸症候群などの診断名がつくこともありますが、東洋医学では体質や気・血・水のバランスから原因を探り、根本からアプローチします。
今回は、食後の腹痛や下痢、腹鳴に悩む27歳男性の方の事例をもとに、東洋医学的な観点からその原因と改善法をご紹介します。同じような症状でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
外見的な特徴とお悩みの症状
まずはこの方の基本情報と症状を確認してみましょう。
基本情報:
- 27歳・男性
- 身長:175cm
- 体重:60kg
- BMI:19.59
体表の特徴:
- 顔色は白っぽい
- 舌の大きさが厚ぼったい
- 舌の奥に苔が目立つ
- 苔の上の水分が水っぽい
お悩みの症状:
- 食後すぐに腹痛と下痢になる
- お腹の音が気になる(特に食後4時間ほどで大きな音がする)
- 慢性的に軟便
- 油っこいものを食べた後は特に症状が強い
- これまでに大きな病気はなく、通院もしていない
- 自己判断で真武湯、半夏瀉心湯、桂枝加芍薬湯、人参湯などの漢方薬を試したが効果を感じられなかった
この方の体質はどのような特徴があるのでしょうか?
一見すると、顔色が白っぽいことから「気虚」(気の働きが弱っている状態)や「脾虚」(消化吸収機能の低下)を疑いたくなりますが、この方の場合は少し異なります。
身長と体重のバランスが良く、BMIも標準範囲内にあることから、基本的な栄養状態や消化吸収機能には大きな問題がないと考えられます。
また、様々な漢方薬を試しても効果がなかったことからも、単純なお腹の働きの低下や冷えが主因ではなさそうです。
この方の場合、東洋医学的には以下のような状態が考えられます:
- 気の滞りと上昇:食後に腹部膨満感があり、ガスが出ると楽になるような状態
- 脾気と肝気の不調和:食べ物を消化吸収する「脾気」と、それを運搬する「肝気」との連携が取れていない
- 水湿の停滞:体内の余分な水分が正常に排出されず、停滞している
舌の奥に苔が目立ち、その上の水分が水っぽいという舌診の結果からも、余分な水分が体の下部に停滞している様子がうかがえます。
なぜ食後に腹痛や下痢が起こるのか?
この方の場合、気の滞りと水湿の停滞が複合的に作用して症状を引き起こしていると考えられます。
食事をすると、本来なら脾気(消化機能)と肝気(運搬機能)が協調して食べ物を消化・吸収・運搬するはずです。しかし、気の滞りによってこの連携がうまくいかず、食べ物が適切に処理されません。
さらに、停滞している余分な水分がこの未処理の食べ物と結びつき、腸内環境を悪化させます。食べ物が入ってくると腸管への刺激となり、腸の過敏な動きを引き起こすことで腹痛や下痢につながるのです。
食後4時間ほどで腹鳴が起こるのも、肝気の滞りが腸管の動きを煽ることで、腸内の空気や消化液が急激に動くためと考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
このような体質の方には、気の滞りを解消し、水分バランスを整えるアプローチが効果的です。以下の自然療法をお試しください:
1. 水分摂取の工夫 この方は舌の状態から水分代謝に負担がかかっていることがわかります。水分の摂り方を以下のように工夫しましょう:
- 喉が渇いたときでも一度に大量に飲まない
- 少量ずつ数回に分けて飲む習慣をつける
- 常温か少しあたたかい水を選ぶ
2. 適度な運動で気の巡りを改善 気の滞りと水の巡りを同時に改善するには、適度な運動が効果的です:
- 軽く汗ばむ程度のウォーキングを毎日30分程度
- ストレッチや軽いヨガで体を伸ばす
- 深呼吸を意識した運動を取り入れる
3. 食事の見直し 体質改善のためには食生活の見直しも重要です:
- 油っこい食べ物を控える
- よく噛んでゆっくり食べる
- 消化を助ける生姜や山椒などの香辛料を適度に取り入れる
- 食事の量は腹八分目を心がける
この体質の改善に効果が期待できる漢方薬
この方のような体質の改善に効果が期待できる漢方薬としては、以下のようなものがあります。ただし、これらはあくまで気の滞りや水分代謝の改善に一般的に用いられる漢方薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。
四逆散(しぎゃくさん):気の滞りを改善し、特に肝気の巡りを良くする
加味逍遥散(かみしょうようさん):肝気の滞りを解消し、気血のバランスを整える
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):肝気の昂ぶりを抑え、水分代謝を促進する。
ただし、症状が複雑な場合には、単一の漢方薬では効果が現れにくいこともあります。当店では専門的な漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
YouTubeでも解説しています。
まとめ – 食後の腹痛と下痢を改善するために
食後の腹痛や下痢、腹鳴の症状は、東洋医学の視点では気の滞りと水分バランスの乱れが大きく関わっています。特に今回ご紹介した事例では、肝気と脾気の不調和、そして水湿の停滞が複合的に作用していることがわかりました。
これらの症状を改善するためには、気の巡りを良くし、水分バランスを整えることが重要です。無理のない範囲での運動習慣や、水分摂取の工夫、食事内容の見直しなど、日常生活の中で実践できるケアを続けてみましょう。
症状が長く続いている場合や、自己判断での改善が難しい場合は、東洋医学の専門家に相談することをおすすめします。あなたの体質に合った適切なアドバイスを受けることで、より効果的に症状を改善できるでしょう。
健康は日々の小さな習慣から作られていきます。ご自身の体と向き合いながら、無理のないペースで改善を目指してくださいね。

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