
こんにちは
どうなさいましたか?

下痢にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
「なぜ下痢が治らないんだろう…」
健康な日常生活を送るうえで、排便のトラブルは大きなストレスになりますよね。特に長期間にわたって下痢や腹痛が続くと、日々の生活の質が大きく低下してしまいます。
今回は、2年間も下痢が続き、さらに最近は下腹部の痛みまで加わってしまった23歳男性の症例をもとに、東洋医学的な視点から下痢の原因と改善方法について詳しく解説していきます。
慢性的な下痢でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
この方の外見的な特徴とお悩みの症状
まずは、今回ご相談いただいた方の基本情報と症状をご紹介します。
基本情報
- 23歳・男性
- 身長:173cm
- 体重:68kg
- BMI:22.72
外見的特徴:
- 顔色は白っぽい
- 皮膚は乾燥気味
- 舌の色は赤っぽい
- 舌苔は白っぽく厚い(水っぽい状態)
主な症状:
- 2年間ほとんど下痢の状態が続いている
- ここ1ヶ月は下痢に加えて下腹部痛も発生
- 痛みが出たり引いたりを繰り返す
- 食事をたくさん摂った後や飲酒翌日に症状が悪化
- 整腸剤を飲むと痛みが改善する
下痢はなぜ起こる?原因を知ることが改善の第一歩
下痢とは、簡単に言えば腸管内に多量の水分が残っている状態です。この状態がなぜ起こるのか、主な原因について解説していきましょう。
下痢の原因は大きく分けると、体の機能低下による場合と吸収したものを運搬する機能の不具合による場合があります。
1. 体の機能低下による下痢
私たちが口から摂取した食べ物は、腸管の蠕動運動(ぜんどううんどう)によって運ばれ、適切な場所で水分や栄養が吸収されます。
しかし、お腹の働きが低下していると、食べ物から栄養や水分を十分に吸収できなくなります。その結果、不十分に吸収されたまま食べ物が運ばれて排出されることで、下痢や軟便になるのです。
この場合、体内に栄養や水分が十分に取り込まれないため、体の潤いが不足し、乾燥感や渇きを感じることもあります。また、エネルギー不足から疲れやすくなったり、貧血になることもあるでしょう。
2. 芯部の冷えによる下痢
体の芯部が冷えることでも下痢になることがあります。この場合、お腹の働き自体には問題がなく、食べ物から栄養や水分を吸収することはできます。
しかし、吸収された水分は通常、体の芯部の熱によって温められて体内を巡ります。芯部が冷えていると、水分が十分に温まらず、体内をスムーズに巡ることができません。
その結果、吸収した部位で水分が停滞し、それが入り口付近に充満することで下痢を引き起こします。この場合は、体内に水分が充満した状態になります。
3. 食べ過ぎ・飲み過ぎによる下痢
お腹の働きは正常でも、日常的な食べ過ぎや飲み過ぎによって体内に余分な水分が蓄積している場合があります。
このような状態では、体が「今はこれ以上必要ない」と判断して吸収を拒むようになり、下痢を引き起こします。これは一時的な過剰摂取で起こる場合と、体の冷えによって水分の巡りが悪くなっている場合があります。
4. ストレスによる蠕動運動の乱れ
ストレスによって腸の蠕動運動が過剰に活発になると、食べ物が吸収される前に腸を通過してしまい、下痢になることがあります。
この場合、何度も便意を催すことが特徴です。体内での気(東洋医学での生命エネルギー)の巡りがストレスによって滞ると、腸の動きを正常にコントロールできなくなるのです。
5. 吸収後の運搬障害
食べ物が腸で吸収された後、体内で運搬される際に問題が生じることもあります。
ストレスなどによって気の巡りが滞ると、吸収したものがスムーズに運搬されず、体内で渋滞状態になります。さらに新しい食べ物が入ってくると、渋滞している体内に入れないため、腸管へと押し戻されて下痢になります。
この場合は、食後のお腹の張りやゲップ、少量の食事でもすぐに満腹感を感じるなどの症状が現れやすいでしょう。
6. 吸収と運搬の連携不全
食べ物の吸収と運搬の連携がうまくいかないことでも下痢になることがあります。
吸収する機能も運搬する機能も問題がなくても、その連携が気の巡りの乱れによって障害されると、吸収した入り口付近で渋滞が起こり、下痢になります。この場合は、排便後にすっきりとした感覚を得やすいのが特徴です。
この23歳男性の体質の特徴は?
ここまでの下痢の原因を踏まえて、今回ご相談いただいた方の体質の特徴を見ていきましょう。
この方の場合、特徴的なのは以下の点です:
- お酒を飲んだり食べ過ぎた後に下腹部痛が出現
- 消化管の動きに停滞感がある(1日に何度も排便があり、通常はコロコロ便)
- 喉が渇きやすい傾向
- 舌苔が厚い(飲食物の摂り過ぎを示唆)
- 皮膚の乾燥がみられる
- 不安感が強い
これらの症状から考えると、この方は飲食物を摂り過ぎている可能性があります。体内に飲食物が過剰に持ち込まれている一方で、皮膚は乾燥していることから、体の上部を潤す水分が届いていない状態が考えられます。
また、手足の冷えや寒がりといった冷えの症状はあまり見られず、舌の色が赤っぽいことから、体の芯部の熱源不足は目立っていないようです。
むしろ、普段のコロコロ便や喉に何かが引っかかる感じがあることから、気の滞りが考えられます。不安感の強さなど精神的な乱れもあることから、ストレスによる気の滞りが腸管の動きを乱し、さらに飲食物からの余分な水分が体を冷やして負担をかけ、症状を悪化させているのではないかと推測されます。
また、1日の小便回数は5回と問題ありませんが、気の巡りがやや上向きになっていることで下降しにくく、排尿量が少なくなっている可能性があります。そして、停滞していた水分が睡眠時に下りてくることで、夜間の頻尿につながっているのかもしれません。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質と症状を考慮すると、以下の自然療法がおすすめです:
- 食事の量をコントロールする
腹八分目を心がけ、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。食べ過ぎは消化器官に負担をかけ、気の滞りを悪化させます。 - 冷たい飲食物を控える
特に冷たい飲み物や冷やす性質のある食べ物(生野菜、果物など)の摂取を控えめにしましょう。冷たいものは腸管を冷やし、痛みや下痢の原因になります。 - 喉が渇いてから水分を摂る
不必要に水分を摂りすぎず、喉の渇きを感じてから常温の水を飲むようにしましょう。 - ストレス管理を意識する
気の滞りを改善するために、適度な運動やストレッチ、深呼吸などでリラックスする時間を持ちましょう。
飲食物の摂り過ぎは体内に不要なものを増やし、吸収を妨げて下痢を引き起こします。特にビールなどの冷たいアルコール飲料は、腸管だけでなく体の芯部まで冷やしてしまうため注意が必要です。
体が冷えると、血管や筋肉が収縮して痛みを引き起こします。冷えによる痛みは一か所に留まりやすく、体が温まるまでしつこく続くことがあるのです。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この方のような症状の改善に効果が期待できる漢方薬としては、以下のようなものが考えられます:
- 六君子湯(りっくんしとう):
胃腸の機能を高め、消化不良や食欲不振を改善します。気虚(ききょ)による消化不良に効果的です。 - 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):
胃腸の不調や下痢、胸やけなどに効果があります。胃腸の熱を冷まし、気の流れを整えます。 - 真武湯(しんぶとう):
体を温め、水分代謝を改善する漢方薬です。下痢や腹痛、冷えに効果があります。
なお、これらはあくまでこの体質タイプに一般的に効果が期待できる漢方薬であり、個人の症状が複雑な場合には、単独では効果が不十分なこともあります。漢方薬の処方については、ピヨの漢方での漢方相談をご利用いただくことをお勧めします。
まとめ:下痢の改善には体質理解と生活習慣の見直しが大切
今回ご紹介した23歳男性の症例から、下痢の原因として以下のことが考えられました:
- ストレスによる気の滞りが腸管の動きを乱している
- 飲食物の摂り過ぎによる負担
- 冷たい飲食物による腸管の冷え
これらの要因が複合的に作用して、慢性的な下痢や腹痛を引き起こしていると考えられます。
改善のためには:
- 食事量を腹八分目にする
- 冷たい飲食物を控える
- ストレス管理を心がける
- 必要に応じて漢方薬を取り入れる
などの対策が効果的でしょう。
長期間続く下痢や腹痛は、単なる一時的な不調ではなく、体質や生活習慣に根ざした問題かもしれません。東洋医学的な視点から自分の体質を理解し、適切な対策を取ることで、症状の改善につながります。
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