
こんにちは
どうなさいましたか?

動悸や頻脈にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
「夜中に突然目が覚めて、心臓がバクバクする…」 「動悸が始まると、パニックになってしまう…」
このような症状でお悩みではありませんか?動悸や頻脈は身体からのSOSサインであり、東洋医学的な視点から見ると、体内の気・血・水のバランスの乱れが原因であることが少なくありません。
今回は、長年動悸やパニック症状に悩まされている方の体験談を元に、東洋医学的な視点からその原因と改善法についてご紹介します。ご自身の症状と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてみてください。
この方はどのような症状でお悩みなのでしょうか?
外見的な特徴とお悩みの症状
- 41歳女性
- 身長:153cm
- 体重:38kg
- BMI:16.23
主な症状:
- 半年前から夜中に目が覚めて動悸・頻脈を感じる
- 7年前からパニック症があり、脈の速さを感じると血の気が引き意識が朦朧とする
- 睡眠不足でだるい状態が続いている
- 腹部不快感と吐き気、動悸で連日眠れない
- 姿勢の悪さから急に喉が狭くなる感覚になり、呼吸がしづらくなる
また、20年前に右側卵巣内膜症の手術を受け、その後腹膜炎になったことから、食べても太れなくなってしまったとのこと。日中のウォーキングをやめたとたん症状が悪化したようです。
動悸とはどのような状態なのでしょうか?
動悸とは、心臓の拍動を強く感じて不安になる状態のことを言います。通常は自分の心臓の動きを意識することはありませんが、何らかの原因で心拍が強く感じられるようになると、不安感とともに自分でコントロールができなくなってしまいます。
原因としては、精神的な緊張などのストレス、睡眠不足などの他に、心臓の働きが弱ってしまう状態や、ホルモン分泌の異常などによる様々な病気が考えられます。
東洋医学では、心臓の働きは「心気」によって調整されていると考えています。心気は心臓の筋肉の収縮力を司り、一方で心筋をリズミカルに収縮させる働きは「肝気」が調整していると考えられています。さらに、これらの働きを身体全体の熱源や潤いの基となる「腎気」が背後から支えているのです。
動悸の原因として考えられる東洋医学的な要因は?
1. 心気の機能低下
長期間の病気や、大量の発汗・下痢などが続いて気血が損傷すると、心気の機能が低下して血を運ぶ力が不足します。そのため、一回の拍動で体が必要とする血液量を押し出せなくなり、何度も拍動しなければならなくなって動悸が生じます。
これは、水を運ぶためのポンプが弱ってしまったために、水を届けられなくなっている状態と言えるでしょう。
2. 体の冷え
体の中の水分は、体の芯部の熱源によって温められて軽くなることで巡っています。しかし、体が冷えていると心気の働きが弱くなります。さらに、動きの悪くなった水分が体のあちこちに停滞して心気の働きを邪魔すると、動悸になります。
これは、邪魔な水がポンプの周りにくっついてしまい、ポンプの働きが弱まってしまったような状態です。
3. 体の潤いの不足
自動車のエンジンは、燃料だけでなく冷却水によって適温に保たれています。同様に、人間の心気の働きを正常に維持するためには、熱と水のバランスが保たれていることが大切です。
ところが、その水(潤い)が不足してしまうと、活動によって生じた熱を冷ますことができなくなるため、熱が暴走してしまい、心気の活動が制御できなくなって動悸になります。
4. 気の滞り
心臓の拍動のリズムは肝気によって調整されていますが、その肝気の働きが乱れてしまうと、動悸になります。精神的なストレスやイライラ、抑うつ感などによって肝気が盛んになり過ぎてしまい、それが心気の働きを乱してしまう場合があります。
また、考え事や心配事などで頭を使いすぎてしまうことが、心気の働きを乱れさせ、その影響が肝気を乱してしまうこともあります。
この方の体質はどのような特徴があるのでしょうか?
この方の場合、いくつかの特徴的な体質の傾向が見られます。
まず、動悸が夜間になると始まることから、体の冷却水(潤い)の不足が考えられます。不眠になりやすい、イライラしやすく、熱っぽく感じる、皮膚の乾燥といった症状は、体の上部に熱の過剰な状態があることを示しています。
また、不安感が強い、忘れっぽい、髪の毛が細く薄いという点からは、上部の血の不足や潤いの不足が考えられます。
一方で、帯下が多い、舌が厚ぼったく苔も厚い、舌に歯の痕があるなど、体の熱は過剰なのに、その熱が体に有効に利用されず、水を運搬できずに停滞している状態が見られます。
顔色の黒ずみ、舌の部分的な紫色、皮膚の黒ずみなどは、巡るべきものを動かす力の不足を示しています。
さらに、全身の倦怠感や無力感があることから、「気の不足」も考えられます。食欲不振や腹部の不快感、柔らかすぎる便などから、お腹の働きが低下していることがわかります。
立ちくらみしやすい、肛門下垂、子宮下垂などの症状は、脾気の機能低下を示しています。これは、お腹の働きと関連する「持ち上げる力」の低下です。
一方で、吐き気や体のあちこちの痛み、喉の違和感、肩こりなどは「気の滞り」を感じさせ、それによるこもった熱が外向きに向かう力を強め、さらに潤いを消耗させています。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の場合、まず注目したいのは「体重を増やしたい」という希望です。しかし、食欲がない、多く食べられない、1日1回の便が軟らかすぎるなど、お腹の働きが低下していますので、無理して食事量を増やすと、かえって負担になりかねません。
これは、気や血、潤いなどを作るための「お腹の工場」に、大量の材料を投入することで負担がかかっている状態です。そのため、かえって生産能力が落ちて不足が強まってしまいます。
また、停滞した水分はこもった熱によって煮詰められ、ドロドロとした状態に変化し、それが体の様々な働きの邪魔をして、心気の働きを乱す原因にもなります。
したがって、以下の点を意識した自然療法がおすすめです:
- 食事は無理せず、空腹感を感じてから良く噛んで腹八分目を心がけましょう
- 日中のウォーキングを止めたら症状が出たということなので、適度な運動の再開が効果的です
- 運動は気の滞りを改善し、こもっていた気が巡るようになります
- 継続することで脾気の働きも回復していきますので、無理のない範囲で行いましょう
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この方のような体質改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまでこのような体質の方に一般的に用いられる漢方薬であり、個人の症状によってはさらに詳しい診断が必要です。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) – 精神不安や動悸、不眠などに効果が期待できる漢方薬です。気の巡りを整え、精神を安定させる働きがあります。
- 温胆湯(うんたんとう) – 不安感や動悸、不眠などを改善する効果があります。特に夜間の症状に対して用いられることが多い漢方薬です。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん) – 気の巡りを改善し、肝気の働きを整える漢方薬です。イライラや不安感、ホルモンバランスの乱れにも効果が期待できます。
症状が複雑な場合には、これらの漢方薬単独では効果が出にくいことがあります。ピヨの漢方では、お一人お一人の体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
動悸・頻脈の症状は、東洋医学的に見ると、心気・肝気・腎気のバランスの乱れによって引き起こされます。特に潤いの不足や気の滞り、脾気の機能低下などが複合的に影響している場合が多いのです。
今回ご紹介したケースでは、無理な食事摂取よりも、お腹の機能を回復させることが先決であり、適度な運動で気の巡りを促進することが大切だとわかりました。
体質改善には時間がかかりますが、自分の体質を理解し、それに合った生活習慣や自然療法を取り入れることで、徐々に症状を改善していくことができます。
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