私たちの食卓に欠かせない大豆。煮豆やカレー、コロッケ、サラダなど、様々な料理に活用できる万能食材です。でも、この「畑の肉」と呼ばれる大豆には、東洋医学的にどのような効能があるのか知っていますか?
実は大豆には、体の不調を改善する素晴らしいパワーが秘められています。約2000年前に朝鮮半島を経由して日本に伝わり、味噌や醤油、豆腐、納豆など多彩な食品として私たちの健康を支えてきました。
今回は東洋医学の観点から見た大豆の効能と、日常生活での活用法についてQ&A形式でご紹介します。ぜひ毎日の食事に取り入れて、大豆パワーを実感してみましょう!
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大豆とは?東洋医学から見た基本情報
大豆は東洋医学では「平、甘」の性質を持つ食材とされています。帰経(働きかける臓器)は脾、胃、大腸とされ、主に消化器系の機能を整える働きがあります。
大豆という名前には「大きい豆」という意味だけでなく、「立派」「偉大」「重要」「大切」という意味も込められており、いかに大豆が重要な食材だったかを表しています。
まさに「畑の肉」の異名通り、良質なたんぱく質や栄養素が豊富で、様々な加工食品の原料として活用されてきました。
大豆の基本情報:
- 性味:平、甘
- 帰経:脾、胃、大腸
- 主な栄養素:たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、食物繊維、イソフラボン
- 主な加工品:味噌、醤油、豆腐、納豆、豆乳など
大豆にはどんな薬効があるの?
大豆の主な薬効は「健脾利尿」と「益胃潤燥」の二つに大別されます。それぞれどのような効果があるのか詳しく見ていきましょう。
健脾利尿とは?
健脾利尿とは、お腹(脾胃)の働きを高めて、余分な水分を排出する効果のことです。簡単に言うと、食欲を増進させ、むくみを解消する働きがあります。
大豆に含まれるオリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、腸の働きを活性化させます。また、ビタミンB群が豊富に含まれているため、消化液の分泌を促進し、体内で栄養素をエネルギーに変換する手助けをしてくれます。
さらに、カリウムが豊富に含まれているため、体内のナトリウム(塩分)の排出を促し、水分代謝を改善。結果として尿の排出を促進し、むくみの解消に役立ちます。
健脾利尿の効果:
- 腸内環境の改善
- 消化機能の向上
- 食欲増進
- むくみの解消
- 疲労回復
- 妊娠中毒症の改善
益胃潤燥とは?
益胃潤燥とは、胃の働きを整え、体内の乾燥を潤す効果のことです。簡単に言うと、口の渇きを癒し、肌を美しく保つ働きがあります。
大豆には良質なたんぱく質やミネラルが豊富に含まれているため、血液を作る働きを促し、血流を改善します。特に大豆イソフラボンとその代謝物質であるエクオルには、女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た作用があります。
エストロゲンは肌のきめを細かくしたり、女性らしい体つきを形作る働きがありますが、更年期を迎えると減少していきます。大豆イソフラボンはこれを補う形で、血行を改善し、肌の弾力性をアップさせてくれるのです。
また、大豆レシチンには脂肪やコレステロールが血管壁に付着するのを防ぐ働きがあり、動脈硬化の予防にも役立ちます。
益胃潤燥の効果:
- 口渇の改善
- 肌質の向上
- 血行促進
- 更年期障害の緩和
- 動脈硬化の予防
- 老化防止
大豆を食べる際の注意点は?
大豆は栄養価が高く健康に良い食材ですが、いくつか注意点もあります。
まず、大豆は消化しにくい食材です。食べ過ぎると、お腹の張りや逆に便秘の原因になることがあります。特に消化機能が弱っている方は、適量を守りましょう。
また、大豆アレルギーのある方は避ける必要があります。大豆アレルギーは比較的多いアレルギーの一つですので、症状がある場合は医師に相談してください。
未加工の大豆には消化酵素の働きを阻害する成分も含まれているため、必ず加熱調理して食べるようにしましょう。納豆や豆腐などの発酵・加工食品であれば、この心配はありません。
大豆摂取の注意点:
- 消化しにくいため食べ過ぎに注意
- お腹の張りや便秘を引き起こす可能性がある
- 大豆アレルギーのある方は避ける
- 未加工の大豆は必ず加熱調理する
大豆を毎日の食事に取り入れるコツは?
大豆の効能を最大限に活かすには、様々な形で食事に取り入れるのがおすすめです。
豆腐や納豆は手軽に食べられる大豆食品の代表格です。朝食に納豆、夕食に豆腐料理を取り入れるだけでも、効率よく大豆の栄養を摂取できますよ。
また、味噌汁や醤油も大豆の発酵食品です。和食中心の食事を心がけることで、自然と大豆の恩恵を受けることができます。
大豆そのものを調理する場合は、水煮にしてサラダに加えたり、カレーや煮物の具材として使ったりするのがおすすめです。乾燥大豆を使う場合は、一晩水に浸してから調理すると柔らかく仕上がります。
豆乳は朝のスムージーに加えたり、コーヒーのミルク代わりに使ったりすることで、手軽に大豆成分を摂取できます。
大豆の取り入れ方:
- 朝食に納豆や豆乳を取り入れる
- 味噌汁を毎日の食事に加える
- 豆腐を使った料理を週に2〜3回取り入れる
- 水煮大豆をサラダのトッピングに活用する
- 醤油や味噌などの調味料を上手に使う
まとめ:大豆の恵みを日々の健康に
大豆は東洋医学的な観点から見ても、現代栄養学の観点から見ても、非常に優れた食材です。健脾利尿と益胃潤燥の二つの主要な働きにより、以下のような効果が期待できます:
- 食欲増進効果
- むくみの改善
- 美肌効果
- 便秘解消
- 更年期障害の緩和
- 動脈硬化予防
ただし、消化しにくい性質がありますので、食べ過ぎには注意が必要です。適量を意識しながら、様々な形で毎日の食事に取り入れていきましょう。
「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価の高い大豆。その恵みを活かして、健やかな毎日を過ごしてくださいね。
参考文献

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