私たちの食卓に頻繁に登場する身近な魚「アジ」。手頃な価格で年間を通して楽しめる魚として親しまれていますが、実は薬膳の観点からも優れた効能を持つ食材なのをご存知でしょうか?
アジは単に美味しいだけでなく、私たちの体に様々な健康効果をもたらしてくれます。特に胃腸の調子を整え、疲労回復を促す力は、忙しい現代人にとって心強い味方となるでしょう。
今回は、日常的に食べられているアジを薬膳の視点から見直し、その驚くべき効能と上手な取り入れ方についてご紹介します。日々の食事に取り入れることで、健康維持にも役立つアジの魅力を一緒に探っていきましょう。
アジとは何ですか?基本情報を教えてください
アジ(鯵)は、アジ科アジ亜科に属する魚の総称で、日本では特にマアジを指すことが多いです。日本近海を中心に広く分布し、年間を通じて漁獲されます。
特に春から初夏にかけては脂が乗り、最も美味しい時期とされています。手頃な価格で入手しやすく、日本の食卓では古くから親しまれてきた魚の一つです。
薬膳における性味と帰経
- 性味:温、甘
- 帰経:胃
アジにはどんな薬膳効果がありますか?
温胃和中(胃を温め、消化を助ける)
アジは「温胃和中(おんいわちゅう)」という働きを持っています。これは胃腸を温め、消化機能を高める効果のことです。具体的には以下のような症状に効果が期待できます:
- 胃腹の冷え
- 腹部の疼痛
- 食欲不振
- 全身の疲労感
冷えは様々な不調の原因となりますが、アジは体を内側から温めてくれる食材なので、特に胃腸の冷えが気になる方におすすめです。
栄養面からみた健康効果
アジには様々な栄養素が含まれており、以下のような健康効果が期待できます:
- DHA・EPA: 脳機能を活性化し、血液をサラサラにする効果があります
- カルシウム: 骨粗しょう症の予防やイライラ解消に役立ちます
- タンパク質: 高タンパク・低脂肪・低カロリーで健康的な食事に最適です
- ビタミンB群: 細胞や神経の活性化を助けます
特に血液をサラサラにして血管を丈夫にする作用は、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防に有効とされています。また、白内障予防効果も期待できるため、目の健康維持にも貢献してくれます。
アジを使った薬膳レシピはありますか?
アジの効能を最大限に活かすなら、その症状に合わせた組み合わせがポイントです。特に以下のような組み合わせがおすすめです:
食欲不振改善レシピ
アジに生姜(しょうが)と葱白(ねぎの白い部分)を合わせることで、胃の働きを活性化し、食欲不振を改善する効果が高まります。
アジの生姜煮
- アジを一口大に切ります
- 生姜をすりおろし、ねぎの白い部分を斜め切りにします
- 鍋に醤油、みりん、酒を入れて火にかけ、アジ、生姜、ねぎを加えて煮ます
- 落し蓋をして、弱火で15分ほど煮込んだら完成です
このレシピは特に胃腸が弱っているときや、夏バテで食欲が落ちているときにおすすめです。生姜の温め効果とねぎの解毒作用で、体の内側からケアしてくれますよ。
アジの調理法バリエーション
アジは様々な調理法で楽しむことができます:
- 塩焼き: シンプルに塩を振って焼くことで、アジの旨味を堪能できます
- フライ: 衣をつけて揚げることで、外はカリッと中はジューシーな食感に
- 煮物: 甘辛いタレで煮付けることで、ご飯のおかずに最適です
- 南蛮漬け: 揚げたアジを酢漬けにし、さっぱりといただけます
- 刺身・たたき: 新鮮なアジならではの味わいを楽しめます
アジを食べる際の注意点はありますか?
アジは多くの方に適した食材ですが、以下のような点に注意が必要です:
- アレルギーに注意: アジによって蕁麻疹が出ることがあります。アレルギー体質の方は多食を控えましょう
- 中毒予防: 鮮度が落ちたアジはヒスタミンが増加し、アレルギー様症状を引き起こすことがあります。生姜、紫蘇(しそ)、ねぎなどと一緒に調理することで予防効果が期待できます
まとめ:アジの薬膳効果を日常に取り入れよう
アジは東洋医学の観点からも西洋栄養学の観点からも、優れた健康効果を持つ食材であることがわかりました。
胃腸を温め、疲労回復を促す「温胃和中」の働きは、特に現代の冷え性の方や、忙しい生活で疲れを感じている方にぴったりです。また、DHAやEPAなどの栄養素が豊富で、脳機能の活性化や血液循環の改善にも役立ちます。
アジを調理する際は、生姜やねぎなどと組み合わせることで、その効能をさらに高めることができます。アレルギー体質の方は摂取量に気をつけながら、普段の食事に取り入れてみてください。
手頃な価格で年間を通して手に入るアジ。その薬膳パワーを知って、より意識的に食卓に取り入れてみませんか?体の内側からのケアで、毎日の健康づくりをサポートしてくれるはずです。
参考文献

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