ストレスによる食欲不振に香蘇散が効く理由とは?漢方の視点で解説

お腹の不調
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

食欲不振にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

ストレスを感じると、なぜか食欲がわかなくなってしまう。そんな経験はありませんか?

**実は、ストレスによって体の中の「気」の流れが乱れると、消化機能に影響が出てしまいます。**喉に何かつかえているような感覚や、お腹の張り、吐き気などの症状も、この気の滞りが関係しているんですね。

今回は、ストレスによる食欲不振を解消する漢方薬「香蘇散(こうそさん)」をご紹介します。気の巡りを穏やかに整えることで、本来の食欲を取り戻すお手伝いをしてくれる処方です。

ストレスで食欲不振になるのはなぜですか?

お腹の中に余分なものが残っていると、空腹感を感じなくなってしまいます。

食べ物は口から入ると、胃腸の働きで消化されます。腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が波打つように動いて内容物を運ぶ動き)によって、栄養を吸収する部位へと運ばれていくんですね。

**この消化や栄養運搬の働きは、自律神経(じりつしんけい)と深く関わっています。**胃腸だけでなく、筋肉の調整機能とも共同作業をしているのです。

ストレスが消化機能に与える影響

ストレスがかかると、筋肉が強く緊張してしまいます。すると、腸の蠕動運動がギクシャクと不具合を起こすようになります。

下向きに運ばれるはずの食べ物が、お腹の中に留まり続けてしまうのです。

お腹の中に留まった食べ物は、腸内細菌によって発酵してガスが発生します。そのガスで圧力が高まると、風船が膨らむようにお腹が張ってきます。ガスが上向きに抜けるとゲップになります。

**腸の蠕動運動が停滞したり、逆流したりすると、下に運ぶはずのものが上向きに上昇してきます。**そのため吐き気を感じるようになるんですね。

また、吸収した栄養を必要な場所へ届けられなくなると、お腹の入り口付近で充満を起こすようになります。

空腹感を感じるのは、お腹の中が空っぽの状態です。お腹の中に何かが充満していたり、下向きに移動すべきものが上向きに逆流していたりすると、お腹が空かなくなってしまいます。

ヒステリー球との関係

喉元に何かが居座っているような感じがして、飲み込もうにも吐き出そうにも取れない。でも検査しても異常が見られない。これが「ヒステリー球」という症状です。

下向きに移動すべき気が滞って逆流し、喉元に停滞して余分な水分を巻き込んでいるのが原因です。

喉元は周囲と比べて狭い場所です。上から降りてきた気と、逆流して上昇した気がぶつかって渋滞を起こしやすいんですね。そのため、ストレスがかかると咳払いをしたり、飲み込んだりして解消しようとします。

このように、ストレスによって体内の運搬機能に不具合が生じると、本来の流れが乱されて様々な不調が現れます。

香蘇散はどんな漢方薬ですか?

香蘇散は5種類の生薬から構成される、気の巡りを整える漢方薬です。

使われている生薬:

  • 香附子(こうぶし): 気の滞りを穏やかに巡らせる
  • 蘇葉(そよう): 気を体の外側へ発散する
  • 陳皮(ちんぴ): 気を下向きに引き降ろす
  • 生姜(しょうきょう): 体を温めて消化を促す
  • 甘草(かんぞう): 気を補い他の生薬を支える

これらの生薬が協力し合って、滞っている気の巡りを順調にしてくれます。

どうして食欲不振が良くなるのですか?

香蘇散の5つの生薬は、それぞれの役割を果たしながら気の巡りを整えていきます。

香附子の働き

まず香附子が、気の滞りを穏やかに巡らせます。

停滞してこもっている気を発散しながら上向きに巡らせ、穏やかになだめるように下向きに引き降ろしてきます。

穏やかに気を巡らせるため、交感神経の緊張で閉じていた血管も緩やかに開きます。血液もそれにつれて巡っていくので、ストレスによる痛みの解消に効果があります。

特に女性の月経不順や月経痛、胸や脇の張ったような痛みに効果があります。

蘇葉の働き

蘇葉(紫蘇の葉)は、気を体の表層から外側へと発散させます。

体を温めながら外側へと気を発散しますので、体の表面に冷えによる邪魔なものが居座った風邪の初期に効果があります。ただし効果は弱いので、症状が軽いうちに早めに使う必要があります。

また、蘇葉には胃液の分泌を促進して、胃腸の蠕動運動を強める働きがあります。胃腸機能を調整して消化を助けるので、お腹周辺の気が下向きに引き降ろされます。

お腹の中が空っぽになって、食欲を回復させる働きもあるんですね。

陳皮の働き

陳皮は、お腹の気を下向きに引き降ろしながら、停滞してドロドロになりかかっている水分も排除してくれます。

お腹の中にあった邪魔なものが片付けられ、気が下向きに引き降ろされます。ストレスで動きが悪くなった胃腸の働きが回復して、食欲不振を解消してくれます。

生姜の働き

生姜は、体表からの発散を強めるとともに、胃液の分泌を増やして胃腸の蠕動運動を高めます。

消化機能が高まって、食欲が回復します。

生姜に黒砂糖を混ぜると、水っぽい鼻水の出る風邪の予防になります。お腹を温めて腸の蠕動を促進するので、お腹が冷えたことによる吐き気の解消や、ガスが停滞したような症状に効果があります。

甘草の働き

これらの働きを、甘草の気を補う働きが支えています。

総合的な働き

整理すると、香附子で上下に気を穏やかに巡らせ、蘇葉と生姜で体表から気を上向きに発散し、蘇葉と陳皮で気を下向きに引き降ろします。甘草がこれらを支えることで、気が穏やかに全身を巡っていきます。

**ストレスによる緊張で上向きに逆流していた消化機能が、下向きに正しい働きを取り戻します。**そのため食欲不振、ヒステリー球、吐き気が解消されます。

気の穏やかな動きに血液がついていくので、胸や脇の痛み、月経不順や月経痛の解消にも役立ってくれます。

**それぞれの働きが穏やかなので、気が不足しているような方にも使いやすい漢方薬です。**気の滞りを解消することで激しい症状が出ると困るような方の助けになります。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

香蘇散は、以下のような体質の方に特に向いています。

ストレスを感じやすく、気の巡りが滞りがちな方に最適です。仕事や人間関係のプレッシャーで、お腹の調子が悪くなりやすい方におすすめです。

もともと気が不足している虚弱な方でも使いやすい処方です。気を巡らせる作用が穏やかなので、激しい変化が苦手な方にも安心してお使いいただけます。

喉のつかえ感や胸の詰まりを感じる方にも向いています。ヒステリー球の症状がある方は、一度試してみる価値があります。

女性で月経に関わる不調がある方も対象です。気の滞りが血の巡りにも影響するため、月経不順や月経痛がある方にも効果が期待できます。

ただし、**症状が複雑な場合には、香蘇散単独では効果が十分でないこともあります。**そのような時は、当店での漢方相談をご利用ください。お一人お一人の体質に合わせた処方をご提案いたします。

まとめ

今回は、ストレスで起こる様々な症状を解決する漢方薬として、香蘇散をご紹介しました。

ストレスによって気が滞ると、腸の蠕動運動が正しく動くのを妨げられてしまいます。その結果、以下のような症状が現れます。

  • 食欲不振
  • 吐き気
  • ヒステリー球(気の滞りに余分な水分が巻き込まれる)

**香蘇散は、気の滞りを穏やかに回復させて、消化機能を高めて蠕動運動を正しく調整してくれます。**これらの症状が解消されていくんですね。

気が血液を誘導していますので、気が滞ると血液の流れも滞ってしまい、月経にも影響が及びます。香蘇散は穏やかに気を巡らせることで、それらも改善してくれます。

日常生活での取り入れ方

香蘇散は、香附子以外はお馴染みの食べ物です。シソ、陳皮、生姜に、シソの茎である蘇梗(そこう)を加えて、体質に合わせて食事に混ぜたり、お茶に混ぜたりして飲むのも良いでしょう。

ストレスによる食欲不振の解消に、ぜひお試しください。

YouTubeでも解説しています。

YouTube player
ピヨ先生
ピヨ先生

ご自分の体質にあった

漢方薬を試してみたい方は

ピヨの漢方の漢方相談を

ご利用ください。

タイトルとURLをコピーしました