
こんにちは
どうなさいましたか?

顔の浮腫みにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
朝起きて鏡を見ると、顔がパンパンに浮腫んでいる。動いたりお風呂に入ると少し良くなるけれど、1日中すっきりしない。そんなお悩みはありませんか?
顔のむくみは見た目だけでなく、体のだるさや頭痛、肩こりといった不調とも関係しています。
今回は、顔のむくみやだるさに働きかける**九味檳榔湯(くみびんろうとう)**について、中医学の視点からご紹介します。どうして顔が浮腫んでしまうのか、その原因から一緒に見ていきましょう。
どうして顔が浮腫んでしまうのですか?
顔が浮腫む原因を、中医学的に考えてみましょう。簡単に言うと、顔のある体の上の方へ水分が押し上げられて、降りてこられない状態になっているのです。
体の中の水分の巡り
体に入った水分は、お腹で吸収された後、体を潤す材料として完成します。でも、作られただけでは働けません。全身を巡って、必要な場所へ届ける必要があります。
水分は自然界の水と同じで、そのままでは下の方へ落ちてしまいます。ですから、体の芯部の熱で温められて軽くなることが大切なのです。
温められた水分は、お腹の働きによって体の上の方へ運び上げられます。体の頂上まで届いた水分は、皮膚を潤したり体の内側を栄養したりします。不要なものは膀胱へ、まだ使えるものは再び温められて循環していきます。
冷えが原因の顔のむくみ
体がきちんと水分の巡りを調整できていれば、顔が浮腫むことはありません。
九味檳榔湯が効果的に働くタイプの方は、体の冷えが原因となっています。お腹が冷えると、水分を上手く吸収できず、お腹の中に余分な水分が停滞します。
さらに、巡らせる働きが冷えて悪くなると、水分はますます停滞しやすくなります。すると、気の滞りによって体の役に立たない熱が生じてきます。
**この熱は上向きに流れ、停滞している水分を巻き込んで上へ押し上げます。**下に降りにくくなった水分が体の上の方に停滞するため、顔が浮腫むようになるのです。
むくみに伴う他の症状
頭の方で余分な水分が充満すると、こんな症状も現れます。
- 頭痛:脳への気血の流れが阻害される
- 肩こり:肩や首の周辺で水分が滞る
- お腹の張り:お腹が冷えて腸管の動きが悪くなる
- 便秘と下痢の繰り返し:便を下向きに動かせないが、いざ出る時は水分過多で軟便に
九味檳榔湯はどんな漢方薬ですか?
九味檳榔湯は、11種類の生薬で構成されています。
- 檳榔子(びんろうじ):気と水を下へ降ろす
- 木香(もっこう):気の巡りを整える
- 厚朴(こうぼく):お腹の気を降ろす
- 橘皮(きっぴ):気を巡らせる
- 蘇葉(そよう):お腹を温め発散させる
- 茯苓(ぶくりょう):水分を巡らせる
- 呉茱萸(ごしゅゆ):体を温める
- 大黄(だいおう):便通を促す
- 桂皮(けいひ):芯部を温める
- 甘草(かんぞう):お腹の働きを助ける
- 生姜(しょうきょう):お腹を温める
これらの生薬が協力して、お腹を温め、余分な水分と気を下向きに引き降ろして排除してくれます。
どうして顔のむくみが良くなるのですか?
九味檳榔湯の働きを、順を追って見ていきましょう。
体を温めて熱を引き降ろす
まず、**呉茱萸と桂皮が体を温めます。**体の上の方に浮き上がっている熱を引き降ろして、末端部へと広げていきます。
冷えて停滞していた気血の流れが、温められることで回復し始めます。呉茱萸は温めながら末端へ広げ、桂皮は温めながら芯部へ熱を戻してくれるのです。
気と水を下向きに引き降ろす
檳榔子、厚朴、橘皮、木香、大黄が、主にお腹の中の気や水を下向きに引き降ろします。
檳榔子、厚朴、橘皮、木香は、体を温めながら、停滞している気や水をかなり強力に下向きへ引き降ろします。バトンをつなげるように、しっかりと下へ導いてくれるのです。
大黄は血液の巡りを改善しながら、大便によってお腹の中に停滞していた古いものを排除します。
お腹の働きを応援する
生姜と蘇葉は、お腹を温めながら、停滞している気や水をやや発散させるように動かします。同時に、腸管を下向きに引き降ろすことも応援してくれます。
茯苓は、お腹の中に停滞している水分を巡らせて、お腹の働きを高めます。甘草は、お腹の働きをパワーアップしながら、綺麗な潤いの材料を提供することで、これらの働きを助けます。
全体の働きをまとめると
これらの働きにより、お腹が冷えて余分な水分が停滞し、体の上の方へと浮き上がってしまった熱と水が、温められて引き降ろされます。
その結果、顔のむくみをはじめ、頭痛、肩こり、便秘なのに出ると下痢や軟便になるなどの症状が解消されていくのです。
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
九味檳榔湯は、次のようなタイプの方に向いています。
お腹や全身が冷えやすい方で、余分な水分が停滞してしまい、それによって生じた熱によって水分が上の方へと持ち上がったままになっている方に適しています。
特に、冷たいものの食べ過ぎによって腸管が直接冷やされてしまうことが大きく関わっています。ストレスが溜まると、冷たいさっぱりしたものをグイっと飲みたくなりますよね。
でも、これが続くとお腹の中はどんどん冷えてしまい、停滞した水分によって顔が浮腫むようになることがあります。
まとめ
今回は、顔のむくみを解消する漢方薬として、九味檳榔湯をご紹介しました。
顔が浮腫んでしまう原因はいくつかありますが、今回は、お腹や巡らせる働きが冷えてしまったことによって、余分な水分が停滞してしまい、それによって生じた熱によって水分が上の方へと持ち上がったままになってしまうケースをお伝えしました。
顔のむくみが気になる方は、まずは食生活に気をつけることが大切です。冷たいものを控えめにし、お腹を温めることを意識してみましょう。改善が早くなるかと思いますので、ぜひお試しください。
なお、症状が複雑な場合には、単独では効果が十分でない場合もあります。当店では漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
YouTubeでも解説しています。

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。


