
こんにちは
どうなさいましたか?

胃の不快感にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
胃の不快感やもたれ感、胃痛などに悩まされていませんか?特に、病院で検査を受けても「異常なし」と言われるケースでは、なかなか解決策が見つからず、さらにストレスが重なって症状が悪化するという悪循環に陥りがちです。
このような症状は「機能性胃腸症」と呼ばれることが多く、現代社会で増加傾向にあります。今回は、実際に胃の不快感で悩む方の体験談をもとに、東洋医学の視点からこの症状の原因と対処法を探っていきましょう。
胃の不快感を訴える方の体験談とは?
今回ご紹介するのは、胃の不快感が原因で夜も眠れないほど苦しんでいる方のケースです。この方の外見的な特徴とお悩みの症状をまとめてみましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 37歳の男性
- 身長は170cm
- 体重は52.5kg
- BMIは18.17
主な症状:
- 胃の不快感があり、朝まで眠れないことがある
- 胃の調子を常に気にしてしまい、それ自体がストレスになる
- ストレスによる不安から吐き気や胃もたれが生じる
- 外出時に体調が悪くなることへの不安が常につきまとう
- 3年前に「機能性胃腸症」と診断されている
- 休日に症状が悪化することが多い
機能性胃腸症とは何か?現代医学の見解
機能性胃腸症は、検査をしても明らかな炎症や潰瘍などの器質的異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれ、胃痛、食後のもたれ、早期満腹感などの不快な症状を感じる病気です。
現代医学では、ストレスなどの心理的要因によって以下のような状態が引き起こされると考えられています:
- 胃の働きや動きが悪くなる
- 胃の粘膜を保護する粘液の分泌が低下する
- 内臓知覚が過敏になる
しかし、これだけでは症状の全体像を理解するには不十分かもしれません。ここで東洋医学の視点を取り入れてみましょう。
東洋医学から見た食べ物の消化プロセスとは?
東洋医学では、食べ物の消化・吸収・排泄のプロセスを「気」の流れとして捉えます。主に関わる「気」は以下の3つです:
- 胃気:食べ物を受け入れ、分解し、下向きに運ぶ働き
- 脾気:必要な材料を吸収して栄養に変え、上向きに運ぶ働き
- 肝気:腸管の蠕動運動を調整し、栄養を全身に配る働き
これら3つの「気」がバランスよく協調することで、食べ物は適切に処理され、栄養は全身に行きわたり、不要なものは排出されます。しかし、どれか一つでも不具合が生じると、胃の不快感につながるのです。
なぜ胃の不快感が起こるのか?東洋医学的な原因
1. 脾気の機能低下による問題
脾気の機能が低下すると以下のような状態になります:
- 食べ物の吸収が困難になり、腸管内に食べ物が残留する
- 平滑筋の緊張が維持できず、栄養を上方へ運ぶ力が弱まる
- 胃もたれや胃の重苦しさを感じる
- 体が痩せ、疲れやすく、元気がなくなる
- 無理に食べようとすると下痢を起こしやすい
2. 胃気の不調による問題
胃気の不調は以下のような原因で起こります:
- 辛い食べ物や脂っこい食べ物の食べ過ぎ
- 過労や寝不足などの生活習慣の乱れ
- ストレスの多い環境や抑うつ状態
これにより胃に「熱」が生じ、以下のような症状につながります:
- 胃の潤いが乾燥し、粘膜の分泌が低下
- 知覚過敏となり、わずかな刺激でも不快感を感じる
- 腸管の動きが停滞
- 食欲不振、空腹感があっても食べたくない
- 吐き気やしゃっくり
また、湿熱と呼ばれる状態も問題を引き起こします:
- 脂っこいもの、濃厚な味、甘いものの過剰摂取で生じる
- お腹の中にこもった熱と水分の停滞によるドロドロした状態
- 食欲不振や吐き気の原因となる
- 進行すると胃の灼けるような痛みを感じることも
さらに、冷えによる問題も見逃せません:
- ビールや冷たい飲食物の摂り過ぎで胃気が冷える
- 腸管の動きが停滞し、食べ物がいつまでも残留
- お腹の張りを感じる
- 冷えの程度が強いとお腹が引き絞られるような痛みを感じる
3. 肝気の巡りの問題
肝気の巡りが悪くなると以下のような症状が現れます:
- 腸管の筋肉が過度に緊張し、滑らかな蠕動運動ができなくなる
- 本来の流れとは逆に上向きの動きが生じる(ゲップ、吐き気、嘔吐)
- お腹の張りや便秘
- 脾気の働きが妨げられ、食欲不振や腹痛
- 栄養の運搬がスムーズにいかず、胃が重く感じる
- めまい、ふらつき、だるさ
これらは特にストレスや緊張によって引き起こされやすく、心気(心の働き)との関連も深いのです。
この方の体質はどのタイプ?東洋医学的分析
この方の症状と舌の状態から体質を分析してみましょう:
- 慢性的な胃の不快感、肩こり、吐き気などは気の滞りを示している
- 舌苔が黄色で厚く、水分も水っぽいことから、体内の水分の滞りがある
- 黄色い舌苔は気の滞りによる熱の発生を示唆
- 手足の冷え、白い顔色や舌の色から、強い熱ではなくこもった熱が存在
- 皮膚の乾燥、不眠、不安感は上方にこもった熱と乾きを示す
- 立ちくらみしやすいことから、体の熱源が弱い可能性がある
総合すると、思考過多によるストレスが脾の働きを弱め、気の滞りを引き起こし、胃を中心とした症状となっていると考えられます。東洋医学では「思えば脾を病む」と言われるように、考えすぎることがお腹の調子を悪くする原因となっているのです。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
このような体質の方には、以下の自然療法がおすすめです:
1. 水分摂取の工夫
舌の状態から、体の中央部や下部に余分な水分が停滞していることがわかります。これは以下の悪循環を引き起こしています:
- 気の滞りにより体の中心部に熱が生じる
- この熱が上昇して喉の渇きを引き起こす
- 喉の渇きで水分を摂り過ぎると、体内に余分な水分が充満
- こもった熱と結びついて動きの悪いドロドロした状態になる
- さらに水分を摂ると体が冷やされ、動きがさらに悪くなる
対策としては、喉の渇きを感じても少しずつこまめに水分をとることをお勧めします。
2. 適度な運動
軽く汗ばむ程度の運動を定期的に行うことで:
- 体全体の水分の巡りが良くなる
- ストレス解消効果がある
- 気の滞りを解消する
3. お腹のセルフマッサージ
時間のあるときに、以下のようにセルフマッサージを行いましょう:
- 深くゆったりとした呼吸をしながら
- 手の温かさでお腹のしこりをほぐすイメージで
- 大腿部の前面や下肢の前面もマッサージする(胃と関係の深い経絡が通っています)
- 適度なストレッチも効果的
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この体質の方には、以下のような漢方薬が効果的かもしれません。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、この方に合った漢方薬とは限りませんのでご注意ください。
- 香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう):胃腸の働きを整え、気の巡りを促進する漢方薬。胃もたれや食欲不振に効果が期待できます。
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう):ストレスによる気の滞りを解消し、胃腸の不調を改善する漢方薬。胃痛や胸脇苦満に効果があります。
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):胃腸の熱を冷まし、胃のむかつきや吐き気を改善する漢方薬。不安感の強い胃腸症状に効果的です。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が出にくいことがあります。ピヨの漢方で漢方相談を行っておりますので、専門家による体質診断をお勧めします。
まとめ:胃の不快感を改善するために
機能性胃腸症や胃の不快感は、東洋医学的に見ると気・血・水のバランスの乱れが主な原因です。特に、ストレスや考えすぎによる「気の滞り」が大きく関わっていることがわかりました。
改善のためには:
- 水分摂取を工夫する(少しずつこまめに)
- 適度な運動で気の巡りを良くする
- セルフマッサージやストレッチでお腹の緊張をほぐす
- 必要に応じて適切な漢方薬を取り入れる
何より大切なのは、胃の状態を過度に気にしすぎないことです。胃の調子を気にすることがストレスとなり、そのストレスがさらに胃の調子を悪くするという悪循環に陥らないように、心の持ち方にも注意しましょう。
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