
こんにちは
どうなさいましたか?

口臭にお困りの方から質問をいただきましたよ。
出産は女性の体に大きな変化をもたらす人生の一大イベントです。新しい命の誕生という喜びの一方で、体には様々な負担がかかり、思わぬ体調不良に悩まされることもあります。
「口臭」は産後に現れる症状の一つ。「なぜ出産後に口臭が?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、出産後に口臭に悩まれるようになった方の事例から、東洋医学的な観点での原因と対策について詳しく解説していきます。産後の体調不良でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
出産後の口臭はなぜ起こるのでしょうか?
ある女性の事例を見てみましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 出産時に多量の出血を経験
- 産後も体のつらさが継続
- 育児休暇明けに口臭を指摘されるように
- 肌の乾燥と肌荒れ
- 夏場の浮腫み
- 胃もたれと痰の出現
- 食後の眠気
- 夢が多く、寝ても寝足りない感覚
- 病院や歯科での検査では異常なし
- 六君子湯や半夏厚朴湯、加味逍遥散を試すも効果なし
これらの症状から、東洋医学的にどのようなことが考えられるのでしょうか?
女性の体の変化から考える口臭の原因
妊娠と出産の時期には、女性の体は大きく変化します。特に注目すべきは、出産時の大量出血による影響です。
出産時の失血により、東洋医学でいう「気」(生命エネルギー)や「血」(体の材料となる栄養素)が大きく不足しやすくなります。この方の症状を見てみると:
- 血の不足に関連する症状:
- 肌の乾燥や荒れ
- 夢を見やすい
- 気の不足に関連する症状:
- 夏の浮腫み
- 胃もたれ
- 痰が出る
- 食後の眠気
- 寝ても寝足りない感覚
特に重要なのは、気の不足によって胃腸の機能が低下すると、食べ物が腹部に長く停滞してしまうことです。これにより体内に「こもった熱」が生じ、それが口臭の原因になっていると考えられます。
なぜ漢方薬が効かなかったのでしょうか?
この方は六君子湯、半夏厚朴湯、加味逍遥散などの漢方薬を試されたようですが、効果が出なかったとのこと。その理由を考えてみましょう。
これらの漢方薬は主に「気や水の巡りを良くする」効果を持っています。共通するのは「乾燥」という特性です。確かに、夏の浮腫みや胃もたれ、痰の症状から、余分な水分が体内に充満していると考えられます。
しかし、この方の場合は出産時の多量出血により、血と共に「潤い」も不足していると考えられます。夢が多い、寝ても寝足りない、肌が乾燥するなどの症状はそれを示唆しています。
血や潤いが不足している状態では、余計に「こもった熱」が生じやすくなります。そのため、単にお腹の働きを良くして乾燥させるだけの漢方薬では、かえって乾きを煽ってしまい、相対的に熱が生じやすくなり、口臭の原因となる可能性があるのです。
つまり、この方には「潤い」を補うアプローチも必要だったのかもしれません。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の状態を改善するためには、以下のアプローチが有効かもしれません:
- お腹の働きを応援しながらも、胃の負担にならない程度に血や潤いを補う
- 必要に応じて、体内の余分な熱を冷ます
熱に水をかけて冷ますように、適切な潤いの補充によって体内の熱を冷ますことも期待できます。ただし、これは個々の状態を見ながら判断する必要があります。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
以下の漢方薬が特定の体質改善に役立つ可能性があります(あくまでこの体質に対する一般的な漢方薬であり、この方に特定したものではありません):
- 四物湯(しもつとう): 血を補い、潤いを与える基本的な漢方薬。産後の血虚(けっきょ)状態に有効です。
- 滋陰降火湯(じいんこうかとう): 潤いを与えながら余分な熱を冷ます効果があります。
- 甘露飲(かんろいん): 潤いを補い熱を冷まし、胃腸の働きを整える漢方薬です。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が十分に得られないこともあります。当店では個々の状態に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
産後の方におすすめの食べ物は?
産後の体調回復、特に気や血の不足による口臭対策として、次のような食事がおすすめです:
食べ過ぎには注意が必要ですが、おやつの代わりや胃もたれが続く際には、粟(あわ)を粥状に煮てナツメを入れ、黒砂糖で味を整えたものを食べると良いでしょう。これは産後の虚弱回復に効果的と言われています。
このような優しい食事で消化器系に負担をかけず、徐々に体力を回復させていくことが大切です。
まとめ
出産後の口臭は、単なる口腔内の問題ではなく、出産による体質変化や気・血の不足が原因となっていることが多いようです。特に出血量が多かった場合は、気と血の両方が不足し、体内のバランスが崩れやすくなります。
改善には:
- 適切な漢方薬の選択
- 消化に優しく栄養価の高い食事
- 十分な休息
が大切です。症状が複雑な場合は、専門家に相談して自分の体質に合ったアプローチを見つけることをおすすめします。
YouTubeでも解説しています。

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。
