
こんにちは
どうなさいましたか?

生理前に下痢とイライラに
お困りの方から質問をいただきましたよ。
生理前になると体調が崩れる経験はありませんか?特に下痢やイライラといった症状に悩まされている方は少なくありません。これらの症状は「単なる生理前の不調」と諦めてしまいがちですが、実は漢方的な視点から見ると、あなたの体質に合わせた対策で大きく改善できる可能性があります。
今回は、生理前の下痢とイライラに悩む30代女性の事例を通して、漢方的な体質分析と改善方法についてご紹介します。ご自身の症状と照らし合わせながら読んでいただくと、新たな気づきがあるかもしれませんね。
外見的な特徴とお悩みの症状
この方の基本情報と主なお悩みは以下の通りです:
- 34歳・女性
- 身長:160cm
- 体重:52kg
- BMI:20.31
外見的特徴:
- 顔色が黄色い
- 舌に歯の跡がある
- 舌苔(ぜったい:舌の表面の白っぽい苔状のもの)が厚い
主なお悩み:
- 生理前の下痢
- 生理前のイライラ
この方の体質にはどのような特徴があるのでしょうか?
生理前に下痢になるという症状には、漢方的な視点から見ると明確な理由があります。生理前は濃厚な気血が体の下部へと集まってくる時期です。この時期は下降性の動きが主体となります。
その下向きの動きにつられるように腸管の動きも活発になり、下痢を引き起こしやすくなっているのかもしれません。また、この方は顔色が黄色く、立ちくらみしやすい、手足が冷える、寒がりという特徴もあるようです。
これらの症状から、体が冷えていて「持ち上げる力の弱さ」や「留めておく力の弱さ」があることが推察されます。さらに、胸が張って苦しい、怒りっぽい、食べると腹が張るなどの症状もあり、「気の巡り」があまり順調ではないようです。
生理前のイライラは、まさにこの「気の滞り」が関係しています。生理前は濃厚な気血を集めてくる時期ですので、血を誘導する気の役目が特に重要になります。通常は目立たなくても、生理前にはこの気の巡りの問題が顕著に表れやすくなるのです。
また、気の滞りが腸管の動きを乱し、下向きの動きを過剰にしてしまうことで、下痢になりやすい状態に繋がっている可能性もあります。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の症状を詳しく見ていくと、舌に歯の跡があり、舌苔が厚く、1日に10回の尿回数で夜間尿があり、口が粘り、ふくらはぎがむくんでいるなど、あちこちに動きの悪くなった水分が停滞しているように感じられます。
喉が渇いて水を飲みたくなるのは、冷えによって水が適切に体内を巡れていないことや、気の滞りによって喉の周辺だけにこもった熱が生じている可能性があります。
水を飲み過ぎてしまうと、それだけ体の水を巡らせる力に負担がかかることになり、余計に水の巡りが悪くなります。また、停滞した水が腸管の下部に流れ込むことで下痢にもなりやすくなります。ですので水分の摂り方に注意が必要です。
もし水の飲みすぎかもと心当たりがありましたら、熱中症の時期以外では喉の渇きを感じてから飲むようにして、一度にたくさん飲まないようにするのが良いでしょう。
以下の自然療法がおすすめです:
- 水分摂取の調整
- 一度に大量の水を飲まず、少量ずつこまめに摂る
- 常温か温かい飲み物を選ぶ(冷たい飲み物は避ける)
- 喉の渇きを感じてから適量を飲む習慣をつける
- 体を温める工夫
- 半身浴や足湯で末端の冷えを改善する
- 腹部を温める(腹巻やカイロの活用)
- 生姜茶やシナモン、黒糖など温性の食材を取り入れる
- 気の巡りを改善する運動
- ゆっくりとした腹式呼吸
- ストレッチや軽いヨガ
- 定期的な散歩(特に生理前の1週間は意識的に)
この体質の改善に効果が期待できる漢方薬
この方のような体質の改善に効果が期待できる漢方薬としては、以下のようなものがあります。ただし、これらはあくまで気の滞りや水分代謝の改善に一般的に用いられる漢方薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血行不良や水分代謝の乱れを改善し、下痢や月経前症候群に効果が期待できます。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血の巡りを良くし、水分代謝を促進する効果があり、むくみや生理前のイライラに有効です。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気の巡りを改善し、イライラや情緒不安定を和らげる効果があります。
症状が複雑な場合には、これらの漢方薬を単独で用いても十分な効果が得られないことがあります。当店では、あなたの体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
YouTubeでも解説しています。
まとめ
生理前の下痢やイライラは、漢方的に見ると気の滞りや水分代謝の乱れ、体の冷えが複合的に関わっています。これらの根本的な体質改善には、適切な水分摂取法や体を温める工夫、気の巡りを良くする運動が効果的です。
症状が強い場合は漢方薬の力を借りることも検討してみてください。ただし、体質は一朝一夕に変わるものではありません。日々の小さな積み重ねが、やがて大きな変化をもたらします。
自分の体と向き合い、少しずつでも改善していくことで、生理前のつらい症状から解放されていきましょう。

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