
こんにちは
どうなさいましたか?

耳鳴りにお困りの方から
質問をいただきましたよ。
耳鳴りでお悩みの方は少なくありません。特に季節の変わり目に症状が悪化することも多く、日常生活に支障をきたすケースもあります。
今回は、秋頃から両耳に高音のキーンや低音のブーという耳鳴りを感じるようになったある方の症例を基に、東洋医学的な観点から耳鳴りの原因と対策について詳しく解説していきます。
なぜ漢方薬が効く人と効かない人がいるのでしょうか?それは体質や症状の根本原因が異なるからなのです。ご自身の体質を知ることで、より効果的な対策が見つかるかもしれませんよ。一緒に耳鳴りの謎を解き明かしていきましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 両耳に高音のキーンや低音のブーという変化する耳鳴り
- 症状は去年の秋頃から発症
- 耳の痛みと聴覚過敏を伴う
- 朝方は耳鳴りが小さかった(治療前)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯を服用するも効果なし
- 水毒、瘀血、気滞と診断された
耳鳴りはなぜ起こるのでしょうか?
耳鳴りには様々な原因がありますが、この方の場合、特徴的なのは朝方は症状が軽く、日中から夕方にかけて症状が強まるという点です。東洋医学では、これは「陰の不足」が目立つ時間帯に症状が悪化するパターンと考えられます。
また、秋頃から症状が悪化したという点も重要です。秋は乾燥する季節であり、体内の「渇き」が強まりやすい時期です。特に耳周囲の乾きが悪化したことで、耳鳴りという形で症状が現れたと考えられます。
基本的に高音の「キーン」という耳鳴りは、体内に勢いのこもった「渇き」があることを示唆しています。つまり、単なる水分不足ではなく、エネルギーを伴った特殊な乾燥状態が耳周辺に生じていると考えられるのです。
体の状態によって耳鳴りの音は変化するのですか?
「水毒、瘀血、気滞」と診断されたとのことですが、これは体全体が乾燥しているわけではなく、むしろ耳がある上半身において乾きが目立っている状態を示しているのかもしれません。
耳鳴りの音が変化する理由としては、「気滞」(気の流れの滞り)が背景にあることが考えられます。東洋医学では、肝気の乱れが気滞を引き起こし、それが症状に変化をもたらすと考えられています。
この変化しやすい耳鳴りの様子から、肝気の乱れが根底にあり、さらに乾きが加わることで症状がより不安定になっているのでしょう。体内の気の流れが不安定になることで、高音から低音へと耳鳴りの性質が変化するのです。
なぜ漢方薬が効果を示さなかったのでしょうか?
この方が服用された漢方薬について分析してみましょう:
- 柴胡加竜骨牡蛎湯:この漢方薬は、体内でこもっている気を強化しながら表層の熱を冷まし、下へと引き降ろす働きがあります。しかし同時に水分も引き降ろしながら乾かす作用があります。
- 茯苓飲合半夏厚朴湯:お腹の働きを高めて気の巡りを改善する漢方薬ですが、こちらも水を引き降ろしながら乾かす性質があります。
- 桂枝茯苓丸:血の巡りを良くしながら熱を冷まし、停滞している水を動かす漢方薬です。しかしやはり乾かす作用も併せ持っています。
これらの漢方薬はいずれも「体の働きを応援しながら乾かす」という共通点があります。もともと耳周囲に乾きがある状態で、さらに乾燥を促進する漢方薬を服用したため、効果が感じられなかったのかもしれません。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方のような「耳周囲の乾き」と「肝気の乱れ」が原因と思われる耳鳴りには、以下のような対策がおすすめです:
- 潤いを補う食事療法:
- 白きくらげや黒きくらげなどのきのこ類
- なつめやくるみなどの滋養食品
- 梨や柿などの潤い効果のある果物
- 適度な温かいスープ類
- 生活習慣の改善:
- 適度な湿度の確保(特に就寝時)
- 十分な休息と睡眠
- ストレスを減らす工夫
- 過労を避ける
- 耳のケア:
- 首や肩の緊張をほぐすマッサージ
- 耳周辺のツボ押し(聴宮、完骨など)
- 温めすぎず冷やしすぎない環境管理
耳鳴りに効果が期待できる漢方薬
以下は特定の耳鳴りの改善に効果が期待できる漢方薬です。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、この方に必ず合うというわけではありません。
- 滋陰降火湯:陰液を補い、内部の熱を鎮める効果があり、乾きによる耳鳴りに適しています。
- 加味逍遙散:肝の気の巡りを改善しながら、血を補い潤いを与える効果があります。
- 六味地黄丸:腎の陰を補い、体全体に潤いを与える基本的な漢方薬です。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が出ないこともあります。当店では個人の体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
耳鳴りは様々な原因から生じますが、東洋医学的な視点では「体内のバランスの乱れ」として捉えることができます。今回ご紹介した方のケースでは、秋の乾燥時期に発症し、耳周囲の乾きと肝気の乱れが複合的に作用して耳鳴りを引き起こしていると考えられました。
漢方薬選びは体質に合わせることが非常に重要です。乾燥タイプの方に乾かす効果のある漢方薬を使用すると、かえって症状が悪化することもあります。自己判断で漢方薬を選ぶのではなく、専門家に相談することをおすすめします。
日常生活では、十分な潤いと適度な休息を心がけ、ストレスをためないようにすることも大切です。体質改善は一朝一夕にはいきませんが、継続的なケアで症状の改善を目指しましょう。
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